VNL2021雑感「男子日本代表の面白さと脆さ」

こんにちは。ヤオトモクフです。

今回の記事は自分のVNL振り返り記事になります。

一時期上げていたような戦評ではないのであしからず。

大学生コンビの活躍

今回は男子バレーを中心に見ていましたが、男子日本代表はこれまでより数段チームとしてのレベルが高くなっていると思いました。

男子には今回2人の大学生(早稲田大3年大塚達宣、日体大2年髙橋藍)が選出されました。報道による印象操作もありますが、これまでの若手選手は「起爆剤」のような扱いを受けていたのに対し、この2人はしっかりチームの1ピースとしてVNLにおける日本代表を支えた存在でした。

特にチームを支えたのは大塚選手。今大会OPとして出場し、器用にライトから得点する姿は痺れました。試合途中にポジションチェンジをしても対応していたところも評価できるポイントです。

あらかじめその試合で行うポジションが1つと決まっていればそのプレーを準備すればよいですが、試合途中に変更となると単純に人の倍準備する必要があります。しかしそれを世界大会で成立させたのは、代表以前からの環境で培われた能力によるものです。髙橋選手もそうですが、この大学生コンビの活躍には育成年代の成長を感じさせるプレーが多く、その点でも代表してこの2人を高く評価したいです。

スピーディな攻撃展開、複数枚攻撃、位置差

今大会ではトランジションや返球位置が難しい状況であっても、積極的にレフトスパイカー(OH)が1stテンポ、2ndテンポでのアタックを行う場面が多かったです。2019WCを見ていた時は、石川選手や福澤選手が多く使っていたハードティップ(いわゆるプッシュを突いたようなもの)を今大会多くのOHが用いていました。これによりブロックを利用することでトータルディフェンス相手ではなくブロッカーとスパイカーとの対立状況に持ち込める場面が多く「効率的な点の取り方」が出来るようになっている印象でした。

またその攻撃を行う背景に、「助走距離の簡略化」があるように思いました。以前であれば乱れた場面は高いトスを供給し、スパイカーは出来るだけ自分の最高が出せるように助走を取っていましたが、今大会ではあくまで「点を取れるだけの打点高を出せる助走」を意識して、スピーディに早いトスをアタックしている印象でした。それが特に見られたのは石川選手、高梨選手、福澤選手でした。この中でも高梨選手はどの状態でも一定の助走距離を取って攻撃準備を行っている印象でした(アタックラインから一歩弱エンド側の位置から2、3歩で様々なテンポのトスを打っていた)。

この簡略化の背景には、「複数枚攻撃」の意識がチームに根付いていることがあると推察します。

旧時代的なレフト一辺倒のバレーであれば最適解は「レフトスパイカーが準備しやすい、攻撃しやすいトス」ですが、現在男子日本代表は西田有志の登場による従来よりもよりスピーディなライト攻撃に、後衛OHのバックアタックが備わっています。この状況であれば、レフトスパイカーが優先すべきは「ほかのスパイカーと出来るだけ同じタイミングで攻撃参加」です。この仮説が真だとすれば、チームとして勝つことを考えた結果OHのスピーディな攻撃参加、ハードティップの多用、助走の簡略化につながったと言えるでしょう。

ビッグサーバーの減った現状、崩れた時の脆さ

今大会浮き彫りになった課題で一番大きいのが、「サーブ」なのは間違いありません。特に今大会では西田選手の長期離脱や石川選手の移動に伴う調整不足、ビッグサーバー柳田選手の落選など大会以前から危惧していたものが、結果として現れた大会でした。

この「サーブ」が課題というのは、ポジティブなものだと私は捉えました。以前の全日本時代の男子であれば、相手にサーブで乱されサーブ権を得ることが出来ず、やっととれたと思えばサーブミス、という様なネガティブな印象を素人目には与える場面が多かったです。

しかし今大会では、これまで格上としていたチームに対しサーブで乱されることなく、例えラリーとなっても得点する等チームとしてのトータルディフェンス、オフェンス両方に手ごたえを感じる場面は各段に増えました。だからこそ、自分たちのサーブミス(直接的な失点以外も含む)による「流れ」の悪さにモヤモヤしてしまいました。「レセプションアタックは上手く行ってるのに!!!」「ラリー中のブロック良くなってきてるのに!!」「狙い自体は良いけど!そこに狙うのが良いんだけど威力!!!」などと思いながら、相手チームのサーブを見て「お前さっき逆方向打っといてそのコースはお手上げですよ」「いや俺も相手ならその密集地帯狙うよやっぱそうだよな」「サービスエース何本目!?」などと悔しさ半分圧倒半分になっていました。

サーブで乱され自分たちのペースでない時には上記のような良いプレーも相手に封じられてしまい、まだまだ発展途上のチームなんだなと思い知らされました。数値で言う100点から50点くらいの状況で良いプレーを当たり前に出来るチームにはなったんだけど40点の状況で世界を相手にするのはこれからに期待という感じでした。

「サーブはバレーにおける唯一の個人技」という言葉がとても世界との差を感じさせます。だからこそ日本代表の皆さんには五輪の舞台で相手レシーバーをサーブで蹴散らし、ノータッチエースで黙らせて欲しいなとファン心に思っています。


この記事は以上になります。

次回は他国や女子大会についての雑感を投稿予定です。

お楽しみに。

ヤオトモクフ

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