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新竹ビーフンのできるまで(前編)

2016年春の台湾旅で新竹ビーフン工場見学したときの記録。


工場見学に行くまで - 茹でない、もどさないビーフン

次に台湾にいくときは、何かいつもと違うことをしたいと考えていたところ、以前の訪問で他購入したビーフンがことのほか美味しかったことを思い出した。

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ビーフンは一度お湯で戻してから野菜と炒め合わせると思っていたが、こちらのビーフンの説明には「炒めた野菜に、さっと水洗いしたビーフンをのせ、その上から少しの水を加えて蓋をして蒸し焼きにする。」と書いてある。

ちゃんと柔らかくなるのか?と心配になりながら作ってみると、ちゃんと火が通っているが、柔らかすぎず絶妙な歯ごたえが残る、なんとも美味しいビーフンができた。
ビーフンって歯ごたえがなくてズタズタに切れているイメージがあったから、この歯ごたえと美味しさはかなり衝撃だった。

ビーフンってどうやって作るんだろう?
新竹ってビーフンで有名だけど、ビーフン工場見学できないかな?
ということで、次の台湾旅行では、ビーフン工場見学をする!という目的ができた。

さっそく見学できる工場を探すためにネットで検索してみたが、自社Webサイトがある工場もそれほどなく、見学させてくれるかどうかの情報が得られない。そもそも見つけられたとしても、通訳がないと無理だ。
そこで、ロコタビ(当時はトラベロコって名前だった)で、工場探し+通訳をしてくれる方を探し、運良く見つかった。

お願いしたロコさんが、個人でも見学できるメーカーを3つほど探してくれ、その中から選んだのは「東德成米粉」。

 100年以上続く老舗メーカー、東德成米粉

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こちらは親族だけで営まれている100年以上続くメーカー。
オーナーの郭さんは3代目。訪問したのは2016年で、そろそろ息子さんに譲りたいと言われていたから、今はもう4代目なのだろうか。

新竹は風がよく吹く

新竹でビーフン作りが盛んな理由は、風。
強い風が吹く地域のため、ビーフンを乾かすのにちょうど良いとのこと。
ただ最近はビルが建ち、風の通りが昔より悪くなり、機械を使って乾かすこともあるそうだ。

ビーフン製造工程

後編の記事で紹介。

食感にこだわる理由

台湾でタピオカミルクティーの表記に書かれているのを見かけるQQ(キューキュー)という食感が台湾の方たちは大好き。
つるり、プルプル、モチモチ、といった感じなのかな?

そのため、数年前まではビーフンの成分は米100%ではなく、QQの食感を強くするためのデンプンなどを混ぜたビーフンがたくさん作られていたそうだ。
そんな中、「台湾のビーフンは米100%のものだけ純ビーフンと名乗ることができる」という規制ができ、100%ではないものは調合ビーフン等の表記をしなければいけなくなったらしい。

今回訪問した「東德成」では、昔から米100%で、混ぜ物をしなくても美味しい食感のビーフンを目指している。
そのぶん手間や時間もかかるが、米だけでもちゃんと歯ごたえのある仕上がりになるような工夫を惜しまない。
製造工程で食感を良くするための工程が多いのも、そのためなのだろう。

この昔ながらの作り方と味を親族でしっかりと代々伝えていこうされている姿がとても温かくて素敵だと思った。

台湾訪問時、または日本でも、ビーフン購入時にはぜひ、どんなものが含まれているのか見てほしい。そして、もし米100%のビーフンを見つけたら、ぜひ、それを選んで食感の違いを感じてほしい。

出来たて生ビーフンをいただく

工場見学が終わった後、せっかくなので新竹でビーフン料理を食べたいと思い、いいお店がないか聞いてみると、なんと「今から生ビーフンを配達にいく店があるから一緒においで。いつも行列ができる店だけど、今の時間なら並ばずに食べられるよ」と、オーナーの郭さんが店まで案内してくれた。

工場近くの、店名がどこにも書いていないお店。
11時半を過ぎたくらいで、並んではいなかったものの気が付けばあっという間に満席になっていた。

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汁なしと汁ありの2種類があり、汁なしを選択。
汁なしといっても、少しスープが入っていて、魯肉飯の餡をゆるくしたようなものがかかっている。

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細いビーフンに、台湾らしい味付けの餡がからんで、なんとも言えないほっとする味。
日本だと焼きビーフンばかりで、こんな調理の仕方のものは食べたことなかった。
生ビーフンというところも大きいポイントだとは思うが、今までのビーフンのイメージが覆る、嬉しい料理だった。

ビーフンの調理方法 - 茹でるべからず!もどすべからず!

こちらの工場では、細いビーフンと、太いビーフンの2種類があるのだが、太いほうが調理しやすい、ということで太い方を購入。
「どう調理しても美味しいけど、食感がよくわかるのは炒めビーフン」とのこと。
ちなみに、こちらのビーフンはこの工場に直接来ないと購入できないそう。

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調理方法が書いてある袋にいれてくれたので、その部分を紹介。

やはりこちらのビーフンも、記事の一番最初に紹介したビーフンと同じく、もどしたり茹でたりせずに調理を行う。

【ビーフンの調理方法】

  • 水につけない・お湯につけない・水で軽く洗う

  • 調味料が煮立ったら、ビーフンを入れ、1〜2分で火を止める

  • 汁ビーフンにするなら、水を多めに入れる

  • 焼きビーフンにするときは、はしを使って炒める。絶対にしゃもじでまぜないこと。

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私が焼きビーフンを作った方法は以下の通り。少し深めのフライパンで調理するほうが良いと思う。

  1. 先に肉野菜炒めを作る。

  2. 水でさっと洗ったビーフンをほぐしたりせず、そのまま野菜炒めの上にのせる。

  3. 上から、ごく少量の水をかけて蓋をして数分蒸し焼きにする。

  4. 蓋をとって、野菜とビーフンを箸で混ぜながら絡める。絡めている間に少し残っている調味料と水分をきれいにビーフンが吸いこんでくれるはず。

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