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美を選ぶか死を選ぶか

ベニスに死すを観ました。

前々から気になってはいたのですが、ようやく観ることができました。

ここで話す事はネタバレを少し含みますが、論点が大きくズレてしまっているので、実際に映像作品を観なければほとんどわからないかもしれないといった微妙なところです。

読むポイントとして、今後ベニスに死すを観るかどうするかの検討の場というよりは、いつ観るかタイミングを決める場として活用するのが最良だと思います。

ですが“作品はいつでも真っ新の状態で楽しみたい”と考えている方は、ここから先は読まないことをおすすめします。


今のこの時期であるからこそ選んだ

おおよそのあらすじを読んでいたので、どのような話であるのかは事前に軽く把握していました。

主人公の男性作曲家がベニスの街で美少年と出会う。
そして疫病が流行り...
といった話の流れであると説明が書かれてあったので、コロナウイルスが流行っている今のこの時期に観るべきなのではと思ったのです。

※菌とウイルスは大きさなどが異なる別物であるそうです。ですがウイルスと菌はいずれも感染症であるという共通点があるため、このページでは同じものとして扱っています。
違いについて詳しく掲載しているページは⇒こちら


感染症が広がっているという説明

ベニスの街では感染症が広がっているという説明を行うシーンがあります。

国から国へと次々に世界中へと感染症は広まっていった。
病院のベッドはもう空きが残っていない。
2、3日中に交通機関は途絶える。早く帰った方が賢明だ。
観光客が来ることで収入を得て生活をしてきた街であるから、ここの住民は今後生活して行けるかどうかを恐れている。

といった、今の状況にとても当て嵌まる内容でグッとくるものがありました。

この作品は1971年にイタリアで制作されており、コレラ菌が疫病として流行していくという内容です。
おそらく私自身がコロナウイルスを知らない数か月前に観ていれば、単なる疫病が流行る話として軽く認識していたと思います。

「今の時代なら医療体制も整い、薬を飲んだり投与することですぐに治まるはず。この話の中のような重大なことにはならないだろう」。と思って頭の中を素通りしていくような内容でした。

ですが、令和になった今ですら世界中がこのような状況になってしまいました。

コロナウイルスの流行を実際に体感していなければ、如何にウイルスが流行ると街が危険な状態に晒されるのかということもわからなかったと思うのです。

ウイルスの状況を知っている今と、まったくの無知の状態で観た場合では感想が大きく異なったと思います。


正直趣旨がズレた

正直私はこの作品を、あの美しいタジオ君の耽美な世界観を体感したいがために観るつもりでした。
きっと、ベニスに死すを観てみたいなと考える方の大半はそうではないかと思います。

ですが、頭の中はコロナウイルスのことでいっぱいになってしまいました。

「ベニスに死すといえば、あの美少年でしょ?タジオ君の感想は?パッケージに載っているおじさんは?」と思うかもしれません。

趣旨が完全にズレました。これが感想です。

私が今回学んだことは、作品は観るタイミングで感じ取るものが大きく異なるということでした。
思いのほか別の部分に意識が向いてしまいました。

タジオ君に意識を向けるなら、もしかしたら今観るべきではないかもしれない。
でも、よりリアル性を追求するなら今観るべきかもしれない。
といったところです。


あるんですね、こんなこと。




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