【一本目:私と奴と浅草の怪しきこと】『いま、なんどきだい』【第六回】
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茫然自失、だった。
腹は減っている。が、暖簾を嬉々としてくぐり、何を食べようかと心躍らせながら思案する気分には到底なれなかった。
浅草は、その全てを奴の思惑に委ね、私を絡めとっていた。奴の策は私が悪足掻きする前から、既に成就していたのかもしれない。
――サァ、やってみろよ、成仏させるんだろう?満足させられないのなら、せめて手前ェのちっぽけな幸せ見せつけて地団駄を踏ませて、徹底的に死