虎徹書林店主あらたま

文筆家(小説・エッセイ)時々占師見習い(占術研究)。 noteの中の記事もだいぶ書き…

虎徹書林店主あらたま

文筆家(小説・エッセイ)時々占師見習い(占術研究)。 noteの中の記事もだいぶ書き溜まってきました。 そろそろ現世に引っ張り出しましょうか?

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  • 【虎徹書林のチョイ怖】第六話『いまなんどきだい』

    虎徹書林ぷれぜんつ 【虎徹書林のチョイ怖】第六話 人気の観光スポットが集まる東京・浅草に、どこか似てる架空の【浅草】で、妙な景色が浮かんでは消え……街に集う人々が垣間見る、不思議でちょっと怖いかもしれないお話を、週に一度の連載でお届けします。 チョイ怖では最長になるかも⁉約5が月に渡る連載になりそうです💦 毎週木曜日20:00頃/三つのエピソードで完結/一回の配信は約5000字 ※最終回までは全文無料公開。あとがきやオマケの類は付きません。 ※最終回配信後、二週間くらいしたら有料マガジンにまとめます。その後の無料公開・単発公開の予定はありません。

  • 【虎徹書林のチョイ怖】第一集

    虎徹書林が木曜日にお送りする「チョイと怖い話」シリーズ 略して【虎徹書林のチョイ怖】 この有料マガジンでは連載が終了したお話を 目次付きでまとめています

  • 文学フリマ東京37 虎徹書林ブースへのおさそい

    虎徹書林も文学フリマ東京37に出店します! 会場がどんどん広くなって、探検の難易度が上がっていく文学フリマ東京。 虎徹書林のブースまでの最短ルートを提示します……たぶん(*´з`)

  • 文学フリマ福岡9 虎徹書林ブースへのおさそい

    文学フリマ福岡9に出店します イベント情報とお持ちする商品・無料配布物・ちょっとした企画やお願い事などを随時お知らせしていきます

  • 【不定期】私的調理実習記録

    自炊の記録。食養生的な備考も添えてみる。

最近の記事

  • 固定された記事

文学フリマ福岡9 虎徹書林ブースへのおさそい もくじ

 こんにちは、こんばんは、おはようございます、おつかれさまです、はじめまして……虎徹書林店主のあらたまです。  虎徹書林の活動範囲も少しずつですが広がってまいりまして、この度九州への出店が叶います(=゚ω゚)ノ  東京から京都と続き……なんと、文学フリマ福岡への出店です!  実は店主、人生初福岡です(/ω\)キャー  ハジメマシテの読者様が今まで以上にたくさんいらっしゃるのを想定し、今回の出店広報はnoteのマガジン形式を活用してより細かく丁寧にお伝えしていこうと思います

    • 【三本目:時そば椿事】『いま、なんどきだい』【第十九回の配信】

      <ろく> ※無料公開中は虎徹書林作品のご紹介(真ん中へんと最後あたりの二回)が含まれます  ※一部、表記ゆれがあるように思われるところは、演出として意図して書かれたものです。種明かしは次週、最終回にて明らかに……って、イマドキはいちいち書かねばならんのか……はぁコンプライアンスよ(悲哀)  大将の肩をポポンと叩いたのは、先ほどの店員――詠の読みが正しければ、その『目利き』は絶対に外すことが無いという、この蕎麦屋の番頭だった。 「おや、大将。蕎麦の御利益、御休みの『目』にも

      • 【三本目:時そば椿事】『いま、なんどきだい』【第十八回の配信】

        <ご> ※無料公開中は虎徹書林作品のご紹介(真ん中へんと最後あたりの二回)が含まれます 「俺はここしばらくずーっと、本業が『休み』でな」  大将が徐に語り出したのは、遠浅の海にポツンと浮かぶ小島のような、どこからでも上陸できそうでどこから上陸したものだかハテ困ってしまう、相槌に困る話だった。 「嬢ちゃん、さっき就職活動中って言ってたな?ありゃホントかい?」 「あ、ハイ!ああいう場合、下手に設定を作り込むと話がややこしくなると思いまして」 「確かに一理ある。そうか……機転が利

        • 【三本目:時そば椿事】『いま、なんどきだい』【第十七回の配信】

          <よん> ※無料公開中は虎徹書林作品のご紹介(真ん中へんと最後あたりの二回)が含まれます  やれやれと、着席すると詠はすぐさま、絶妙なタイミングで出されたコップの水を一気に飲み干した。  その様子に思わずフフっと笑い、大変お待たせしましたねぇと労う御用聞の店員に、詠はメニューも見ずにおかめそばを注文した。彼女の目はメニューを検めるのも惜しいと言わんばかりに、今しがたまでそこに立ち店内を一望していた壁際の通路と、もはや三人組限定が確定となった調理場前の席を、ゆるゆると交互に見

        • 固定された記事

        文学フリマ福岡9 虎徹書林ブースへのおさそい もくじ

        マガジン

        • 【虎徹書林のチョイ怖】第六話『いまなんどきだい』
          19本
        • 【虎徹書林のチョイ怖】第一集
          30本
          ¥444
        • 文学フリマ東京37 虎徹書林ブースへのおさそい
          3本
        • 文学フリマ福岡9 虎徹書林ブースへのおさそい
          8本
        • 【不定期】私的調理実習記録
          39本
        • 『私とタロットのヨモヤマ話』【大アルカナ編】
          24本

        記事

          【三本目:時そば椿事】『いま、なんどきだい』【第十六回の配信】

          <さん> ※無料公開中は虎徹書林作品のご紹介(真ん中へんと最後あたりの二回)が含まれます  太陽が西に少し傾き、店内の照明の色に温かさを見出せるようになった頃。  もう何度目になるのか?ガラガラっと景気よく開いた引き戸から大学生風の男子三人が転がり込んできた。壁衆の一番後ろに悪びれなく並び、腹ヘッチャッタヨナ!なんて無邪気に笑いあっている。  彼らが加わったことで、壁衆はきっちり十人になった。誰かがトザイトォォザイィィ……なんておっぱじめれば、長ッちりの外国人グループが拍手

          【三本目:時そば椿事】『いま、なんどきだい』【第十六回の配信】

          【虎徹書林、はじめての岩手!】文学フリマ岩手9での出品作品一覧

           こんばんは、おはようございます、こんにちは、虎徹書林です  『2024年は北へ進路をとるぞよ!』  年始に作業場会議で打ち立てた目標のもと  虎徹書林が岩手県で出店します 【文学フリマ岩手9 イベント詳細】 【虎徹書林のブースと出品作品について】 公式WEBカタログが出ています 今回、内容を充実させたことに加え、読みやすさもちょっぴりUPしてると思うので、ぜひご一読くださいませ ちなみに、今回の出店で店主が個人的にオススメしていきたいのは、こちらの作品ですm(__)

          【虎徹書林、はじめての岩手!】文学フリマ岩手9での出品作品一覧

          【三本目:時そば椿事】『いま、なんどきだい』【第十五回の配信】

          <に> ※無料公開中は虎徹書林作品のご紹介(真ん中へんと最後あたりの二回)が含まれます 「よう、嬢ちゃん……他人の喰いっぷり、そんなに気になるかィ」  大将が剣呑な声音で、そう聞いた。  詠の目の中に、ニィと笑った大将の歯が、青白く光って映る。 「ハァ……失礼なのは、頭では判ってるんですが……人間観察、どうにも止められなくって。こっそり、バレないのを心掛けては居るんですけど」  興味本位で相手の日常をエンタメのように観察する楽しみに関して、大っぴらになって良かった思い出など

          【三本目:時そば椿事】『いま、なんどきだい』【第十五回の配信】

          【三本目:時そば椿事】『いま、なんどきだい』【第十四回:三本目のお話、開幕!】

          <いち> ※無料公開中は虎徹書林作品のご紹介(真ん中へんと最後あたりの二回)が含まれます  アシカガ詠(えい)は、その日、もはや何度目か数えるのも面倒になった最終面接ってやつに挑み、撃沈したのかさせられたのかの判別も定かでないまま、足取りも重く、浅草にある自宅に真っ直ぐ帰るのを渋っていた。 (あンのデブ、就職先が決まらん新卒の足元見やがって……)  中堅どころの商社、という説明に間違いは無いようだが、今日の様子では顧客満足度は最悪と聞かされても特段の驚きはない。  まかり間

          【三本目:時そば椿事】『いま、なんどきだい』【第十四回:三本目のお話、開幕!】

          【二本目:その席にて待つ】『いま、なんどきだい』【第十三回の配信】

          <六~過去と別ち今を吹き抜け三本目へ続く~> ※無料公開中は虎徹書林作品のご紹介(真ん中へんと最後あたりの二回)が含まれます  突然ですがこっからは「あたし」が、勘が良いばっかりに面倒に巻き込まれた一見さんに替わりまして、皆様に一席伺います。  本来ならば、一見さんをもてなした張本人の説明ってのが筋なんですが、こちらものっぴきならぬ事情があるようで……なぁに、大したことじゃございませんよォ。過ぎたるはナントヤラ。少々張り切り過ぎたツケで、暫し充電が必要なんだそうです。  そ

          【二本目:その席にて待つ】『いま、なんどきだい』【第十三回の配信】

          【二本目:その席にて待つ】『いま、なんどきだい』【第十二回の配信】

          <五> ※無料公開中は虎徹書林作品のご紹介(真ん中へんと最後あたりの二回)が含まれます  私の動揺は、今や幸せ家族そのものに見える三人の親子にも当然の如く伝わっていなかった。  もはや孤立無援と言っていい状況下で私は、端をそっと置き、その手で鞄をひっつかんで腰を浮かせた。  こんな場所に長居は禁物。私の副業界隈では『本能が警鐘を鳴らしたなら理屈は抜きに即時撤退』が鉄則である。 「お客さん」  その一声は、部屋に一瞬の凪を呼び、私の足腰の発条を制した。 「お客さん……これ

          【二本目:その席にて待つ】『いま、なんどきだい』【第十二回の配信】

          【二本目:その席にて待つ】『いま、なんどきだい』【第十一回の配信】

          <四> ※無料公開中は虎徹書林作品のご紹介(真ん中へんと最後あたりの二回)が含まれます  腹が減っているのは皆、同じ。無理矢理にでもそういうもんだと信ずれば、辺りの席から漏れ聞こえてくる陰気な囁きも、昼飯に真剣勝負を挑まんとする熱意の現れに思えなくもない。  相席の老人と共に品書きを眺め、これにしようかそれともこっちにしようかと思案していると、徐に老人が、わざと無愛想な風を装い、女将を左手を上げる仕草のみで呼び止めた。 「玉子とじ」  それを受けた女将が心底意外だといった顔

          【二本目:その席にて待つ】『いま、なんどきだい』【第十一回の配信】

          【二本目:その席にて待つ】『いま、なんどきだい』【第十回の配信】

          <三> ※無料公開中は虎徹書林作品のご紹介(真ん中へんと最後あたりの二回)が含まれます  列の最後尾に落ち着いたところで、鞄に忍ばせていた文庫本を取り出した。私は常に本を携帯していなければ落ち着かない、いわゆる本の虫ではない。休憩時間や交通機関での移動中、不用意に怪異と顔を突き合わせないようにするために、読書という手段は大変に都合がいいのだ。  つまり私は、きわめて消極的な読書好き、である。  消極的ゆえに、選書の時に本の内容やタイトルを確かめない。今日は書棚の○段目、この

          【二本目:その席にて待つ】『いま、なんどきだい』【第十回の配信】

          【二本目:その席にて待つ】『いま、なんどきだい』【第九回の配信】

          <二> ※無料公開中は虎徹書林作品のご紹介(真ん中へんと最後あたりの二回)が含まれます  その路地はやけにひんやりと、そしてひっそりとしていた。  いたずらに警戒心が強くなっていた私は予想以上に腹が減り、少々胃が痛くなってきていた。 (一刻も早くまともな食事にありつかねば)  鞄の中をまさぐり、アンパンと一緒に買っておいたペットボトルの水を一口、二口……と飲み下し、痛みが和らぐのを暫し待った。  空腹のせいか、道幅の狭さのせいか、まばたきを二、三度やると視界がくらっと傾くよ

          【二本目:その席にて待つ】『いま、なんどきだい』【第九回の配信】

          【二本目:その席にて待つ】『いま、なんどきだい』【第八回:二本目のお話、開幕!】

          <一> ※無料公開中は虎徹書林作品のご紹介(真ん中へんと最後あたりの二回)が含まれます  私のもとに、あの差出人不明の書簡が舞い込んだのが、ケチのつきはじめだったのだろう。絶対に、そうに決まっている。  白い封筒の表書きには、力強くも流麗な筆文字で私の名前と自宅住所が明記されていた。匿名の封書を手にすることに些か戸惑いはあったが、まあそれはいい。  それよりも、消印に記された『浅草』の文字に、私の勘は並々ならぬ引っ掛かりを覚えた。  視線がその二文字を捉えた途端、意識に猫

          【二本目:その席にて待つ】『いま、なんどきだい』【第八回:二本目のお話、開幕!】

          【一本目:私と奴と浅草の怪しきこと】『いま、なんどきだい』【第七回:一本目のお話これにて幕引き】

          <七~隅田の風は二本目へ~> ※無料公開中は虎徹書林作品のご紹介(真ん中へんと最後あたりの二回)が含まれます  街中華でタンメンを食うという嫌がらせをもって死者への手向けとし、永遠の決別を図らんとする野望は潰えたが、これはこれで悪くは無いなと観念しつつプラ容器を懐に入れた。  空腹は峠を越え、もはや腹が減っているのか悟りを開いたのかさえ分からなくなっていて、私は女将の最後の忠告に従うまでもなく、路地を抜けるまではただひたすらに歩くに努めた。  紅い闇が濃密な湿り気を帯びてき

          【一本目:私と奴と浅草の怪しきこと】『いま、なんどきだい』【第七回:一本目のお話これにて幕引き】

          【一本目:私と奴と浅草の怪しきこと】『いま、なんどきだい』【第六回】

          <六> ※無料公開中は虎徹書林作品のご紹介(真ん中へんと最後あたりの二回)が含まれます  茫然自失、だった。  腹は減っている。が、暖簾を嬉々としてくぐり、何を食べようかと心躍らせながら思案する気分には到底なれなかった。  浅草は、その全てを奴の思惑に委ね、私を絡めとっていた。奴の策は私が悪足掻きする前から、既に成就していたのかもしれない。 ――サァ、やってみろよ、成仏させるんだろう?満足させられないのなら、せめて手前ェのちっぽけな幸せ見せつけて地団駄を踏ませて、徹底的に死

          【一本目:私と奴と浅草の怪しきこと】『いま、なんどきだい』【第六回】