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コロナで売れた・売れなくなった商品   〜新しい生活様式による消費行動の変化〜

Photo: Getty Images

緊急事態宣言が発令されて1ヶ月以上が経ちました。この短期間だけでも生活において様々な変化があったかと思います。私もSTAY HOMEによる巣ごもりが本格化してから生活変化がありました。政府は国民に対して「新しい生活様式」を取り入れるよう呼びかけていますが、コロナ禍を経て私たちの生活にどのような変化が生まれて消費行動はどう変わったのか。市場調査会社のインテージは、消費動向への新型コロナ禍の影響を示すデータとして、品目別に売上金額の前年同期比の増減率を公表しています。調べによると食料品や医薬品、化粧品など生活必需品の売れ筋は大きく変わりました。コロナによってどのような商品が売れ、また売れなくなったのかを新しい生活様式の変化と合わせて考えていきたいと思います。

売れた商品

増加率トップはうがい薬で、対前年比は359.1%でした。5位の殺菌消毒(228.3%)、13位の体温計(183.7%)、19位のマスク(161.2%)など感染予防の商品が上位に入っています。
食料品ではお菓子作りに欠かせないバニラエッセンスなどのエッセンス類が2位(251.9%)、ホットケーキミックスや唐揚げ粉などのプレミックス製品が3位(245.5%)、小麦粉が6位(210.8%)、ホイップクリームが7位(205.6%)に入っています。ほかにも鍋つゆなどの鍋補完材が11位(189.0%)、メープルシロップなどのシロップ類が14位(176.3%)、スパゲティが15位(173.0%)、パスタソースが16位(166.4%)と食品によるランキングウエイトが高いことが分かります。

上位30品目

※引用:インテージ調べ

売れなくなった商品

減少率のトップは鎮暈剤(ちんうんざい)です。鎮暈剤(ちんうんざい)とは酔い止め薬のことです。前年同期比で22.2%と、8割近い減少となっており4月に入って下落幅が拡大しました。車でのレジャーや帰省自粛が原因なのか、眠気防止剤も20位(60.0%)に入っています。
このほか、口紅(2位、27.5%)、日焼け止め(3位、33.3%)、ほほべに(7位、46.3%)、ファンデーション(8位、49.0%)など、女性の外出が減ることで使用頻度が落ちるものが上位を占めています。

下位30品目

※引用:インテージ調べ

売上げ変化はファミリー層が影響している?

売上げが前年比より増加した商品では子どもが家にいることで必要量が増えたと考えられる品目です。うがい薬や殺菌消毒剤は家族の感染予防として、エッセンス類やプレミックスなどは家族で一緒に料理を作る機会が増えたことによると予測できます。また、売上げが減少した商品の鎮暈剤(=酔い止め薬)は子ども連れで長時間乗り物に乗る機会が増える大型連休中のデータが出てくれば、さらに下落幅は拡大すると見込まれます。ちなみに、ゴールデンウィークの風物詩でもある高速道路の渋滞ですが、今年は緊急事態宣言発令により状況は大きく変わりました。全国の主要高速道路の交通量は前年より7割減少し、ゴールデンウィーク終了後に高速道路各社から毎年公開されていた期間中の渋滞実績を、今年は公開しないという異例の結果となりました。このように商品売上げの前年比からの推移はファミリー層の消費動向が大きく影響しているのではないかと考えられます。

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生活様式の変化による化粧離れ

前年比で販売金額が下落した品目「ワースト30」のうち、12品目が「化粧品」に分類される商品です。「口紅」(▲72.5%)が2位にランクインし、「ほほべに」(▲53.7%)、「ファンデーション」(▲51.0%)といった化粧品の他に「化粧下地」「美容液」「アイシャドウ」といった化粧品も前年比で▲30〜▲40%ほど売り上げが落ち込んでいる状況です。

このデータから「新しい生活様式」として「化粧離れ」の動きがある様子がうかがえます。その理由として、リモートワークや外出自粛によって化粧をする機会が減ったことが考えられます。ここで注目したいのが「口紅」が顕著に売り上げを落としていることです。下落品目で化粧品が多い中でも、他の商品よりも大きく減少しています。リモートワークや外出自粛による理由だけでは説明が付けづらいのです。そこで考えられる要因がマスクの着用です。マスクを着用している間は、顔の大部分がマスクに覆われる形となります。「口紅」は、人の目にとまることも少なくテレワークをしていない人でも口紅を使用しないケースが増えているのではないでしょうか。マスクで隠れない部分の化粧品である「アイシャドウ」「アイライン」「マスカラ」は他の化粧品と比べても売り上げの減少率が緩やかになっています。これとは対照的に、「ほほべに」「ファンデーション」「化粧下地」といった顔に広く使用する化粧品の売り上げ減速がやや強めに表れています。
この事例から、新しい生活様式による消費者の行動に変化が起きていると言えそうです。化粧品であれば目に触れる機会の少ないマスクの下の化粧は控えめとなり、逆に目に触れやすいか所の化粧品は比較的維持されるというように、消費行動にメリハリが生まれます。新しい生活様式の先にどのような消費者ニーズの変化があるのかを捉えることがアフターコロナ市場において重要ではないでしょうか。

書き手:Pomalo株式会社 五嶋一貴


Pomalo株式会社 公式HP

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