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ソムニウム(47)ピーマン畑


畑のアルバイト
ピーマンの木を抜く
次の種を撒くために
綺麗なピーマンが落ちている
虫や蛙がたくさんいる
もったいないと拾い集め
あっちへ行きなと拾って逃がす
作業が全然はかどらない
ピーマンの木の根は強い
太陽が頭の上にくる
汗がだらだら
肌がじりじり
ピーマンを拾うのをやめてしまう
虫や蛙を逃がすのをやめる
踏まなけれそれでいい
太陽が西へ傾いていく
木を抜くことに集中する
頭の中が空になる
踏む踏まないを忘れ果てる
ただがむしゃらに抜いていく
ばきばきずぼ
ぶちぶちびき
ぐしゃんみきり
どさりばさ
太陽が山の縁にかかる
すべてのものを踏みしめて
すべてのピーマンの木を抜いた
バイト代をもらって帰る
半日でたくさんの生き物を殺した
なのにすごく清々しい
虫も蛙もピーマンの木も
畑の土も
自分だった


(終わり)


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