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現代アート研究

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現代アートを学び始めた外資系IT企業のプリセールス。 難解な現代アートを探求する学びの記録。
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#大学院

大学院ゼミに関わっていくという事

先週末、後輩の修士課程の修了式に参加させてもらった。修了生が、わざわざなんで、というお邪魔虫な感じがしないでもないが、修了生の一人に誘ってもらい、謙虚さの表明から断るのも無粋だと思った。 社会人向け大学院、入学年度が違うだけで人生の先輩も多い、もはや先輩、後輩という考え方もどうかと思う。話はそれるけど、外資系企業の海外の影響が強い会社は年齢をあまり意識しない。年下が上司になることもあるし、上司だった人が部下になることもある。タイミングの違いでロールが変わり、年齢によって態度

社会人向け教育 リカレント教育・リスキリング 現代アートなんてどうだろう?

このnoteは、大学院に進学した際の研究考察メモとして書いてきた。修士を取った後も続けているのは現代アート研究を習慣化させたかったから。思いついたときに書くのではなく毎週書く、ただし曜日までは固定していない。執筆にあたっては、ゆるさと厳しさを持ったルールを課している。 社会人向けの大学院、それほど選択肢は多くないけど選ぶことはできる。働きながら学ぶ、それをリカレント教育と呼ぶと思っていたけれど、リカレント教育は就業と学習のサイクルを指すということで、一旦職を離れることを言う

ゴドフリーの『コンセプチュアル・アート』再読メモ 脱物質化、展覧会、体験

修士論文に着手するにあたり、60年代のコンセプチュアル・アートの流れを整理する必要に迫られた。難解な現代アートはコンセプチュアル・アートから今に接続していると考える。60年代後半から70年代前半までの社会情勢も踏まえながら、再考していきたい。 修士課程1年目。美術教育を受けていないために、遅れを取り戻そうと、積極的に展覧会、書籍、映画などからインプットし、2年目に至る。幸いにして研究着手許可が出た。ほっとした年次切り替えのアイドリング中に、修士論文のテーマを考える。アーティ

研究の方向性 その2

ようやく現実の時間軸に追いついた。 2019年4月から学び始めた現代アート、展覧会に出かけたり、本を読んだりしたことをまとめるのはもちろんのこと、そうしたことを記録しようと思い、12月頃にnoteを始めた。記憶が新鮮なうちに記録しておこうと思った次第。 12月は教授の指導がある。11月に提出した中間報告について講評。 中間報告にあたっては4月からのアート活動、自分の中に元々あるもの・あったもの、社会情勢と情況からアートの交点を議論したいと思っていた。 アートビジネスに

研究の方向性 その1

大学院入学前、デザイン思考に関する問題意識を持っていた。アート思考という言葉もできはじめていた。2000年代はロジカル思考が全盛だったよな、なんて思う。 VUCAの時代、先の見通しがつかない中で、世界が溺れているような、そんな印象がある。かなり大きなパラダイムシフトに直面している。そうした社会に対して何がどうなっているのか、問いを投げかける役割、そこにアートの可能性があるのではないか、そう思ったのが現代アートを学ぼうと思った理由のひとつ。 入学と同じくらいの時期に始まった

アート漬け 物量という学習方法

某テレビ局で番組制作をしているゼミの同級生。彼女のお世話になっているというアーティストの個展があった。 ストライプハウスギャラリーで開催していた小堀令子展。 残念ながら、愛知県のグループ展の準備だったかで、アーティストは不在、他に人はおらず、貸切状態で鑑賞することができた。 壁面を覆う大型の作品、包み込まれているよう。 ネットワークと表現される。見ているうちに引き込まれてしまう。作品の大きさという圧。 同級生の説明によると、このペイントはベースに風景画がある。そこに

土砂降りの中、バスキアを

塩田千春展と連チャンしようと思っていたのだけど諦めた。ゼミでも話題になっていたし、日を改めて鑑賞にきた。土砂降りの六本木...。 前回の塩田千春展の note にも書いたのだけど、展覧会に参加する際に無手で行く。バスキア展では失敗だった。アートのお値段に少し登場していたけれど、夭逝したこと、思い悩んでいたこと、ストリート出身くらいの認識だった。もう少し、背景とか、きちんと予習しておけばよかった。 ニューヨーク出身の英会話講師、彼はバスキアのファンであり、英会話レッスンを始

ドレス・コード?ー着る人たちのゲーム ファッションとアート

8月、京都で開催していた「ドレス・コード?ー着る人たちのゲーム」を見に行った。ゼミのT先輩が、アートとファッションの接続に関する研究を行っている。僕も、ファッション企業のデジタル化に関するコンサルティングを行っていることもあり、ファッション系の話題にはアンテナを張っている。 アートとファッションの接続。 様々な作品の中のファッション 広い展示室は、スーツの展示から始まる。様々なブランドのスーツ、一言でスーツと言っても様々な様式があり、クラシカルなスタイルながらモダンに見

「もう一度、写真の話をしないか。」

ロバート・フランク展。清里フォトアートミュージアムで展覧会があった。 ロバート・フランクの未公開作品を含む100点以上の作品の展示。代表作『アメリカンズ』とそれ以降の作品を含む。 展覧会にあたり、ニューヨークのロバート・フランクを訪ね、展示する作品ひとつひとつについて確認を行う。彼の意向により、作品をスマホなどで撮影して欲しくない。SNSに掲載して欲しくないとして撮影禁止だった。展示を見ていて、プリントのクオリティの高さに釘付けになる。確かに、これをスマホなどで撮影したら

抽象と写実

抽象世界 国立国際美術館の抽象世界。6月の大阪でサミットが開催されるタイミングで鑑賞した。警備の人たちは、すべての路地に配置されるのだと分かった。また、大阪の人たちのおもてなし、というか、そうした歓待のエピソードが面白かった。 6月というと、まだまだ現代アートがわかっていなかった時、ともかくスクーリングで話題に上がった展覧会は見ておこうと考えていた。 抽象画は、ともかくよくわからない。どう見ればいいのだろうか。 展示室すぐのエルズワース・ケリーの「黒い斜めのレリーフ」は

デザインと絵画の研究

きたれ、バウハウス新潟に観に行こうと思っていたバウハウスの展覧会、西宮市大谷記念美術館に巡回展がきていた。神戸でグレゴール・シュナイダーを見る前に立ち寄ってみた。結果としては、グレゴール・シュナイダーのインパクトが大きすぎて、鑑賞した実感が飛んでしまったような、もったいないことをしてしまった。 建築、家具、デザイン、タイポグラフィ、様々な影響を与えたバウハウス。開校100年の機会は、見直しのよいタイミングだという。 デザインを学ぶ、これほど体系立てていたこと、今のデザイン

ちょっとだけのつもりが

現代アートを学ぼうと思ったきっかけは、MFAホルダーになりたいと考えたから。なにしろ、外資系企業だとMBAホルダーがゴロゴロ、ヨーロッパでは、ドクターもゴロゴロいる。 同僚が冗談で、ヨーロッパでは「ドクターいくつ持ってる?」という質問が飛び交っていると話をしていた。その同僚から聞いたのだけど、ヨーロッパの博士課程の学費は、日本に比べて安いということらしい。 さて、本筋に戻る。社会人大学院に行ってみよう、どうせならMFAがいいんじゃないだろうか。そうしてアートスクールに入学

レジリエンスについて

あいちトリエンナーレの帰り道、思索のスパイラルに入っていた。 鹿沼の事故をテーマとしたインスタレーション。それが、僕にとても影響を与えた。ショックを受けたというか、その事故を思い出したというか、自身に投映したというか。思考がグルグル回る。 最後に見るべき展示じゃなかったな。クライマックス効果として捉えてしまい、帰り道ずっとリフレインしていた。恐らく、この作品を最初に見てから他の作品を見ていたら、また違った感想、印象を持ったものと思う。朝から一日かけて、7会場の展示を見て回

あいちトリエンナーレに行ってきた

「アートを研究する者は、今、愛知で起こっている事を見ておかねばならない。」K先輩の言葉を受けて、早速、日程調整、愛知に出かける。東京から愛知へ日帰りの強行軍の予定。午前中に豊田市に移動し、豊田市美術館の開館待ちの列に並ぶ。クリムト人気。 最初の展示こそ、スタッフのプロジェクタスイッチ入れ忘れがあったものの、至って普通の展示に見える。 レニエール・レイバ・ノボの作品 巨大なインスタレーションとコンクリートの絵画。実は、これが新聞紙がかけられた作品だった。ゼミの同級生からも