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トラウマ(PTSD)の治療法について

日常生活に影響を及ぼすトラウマやPTSDは、心の健康を著しく阻害する可能性があります。
本記事では、トラウマやPTSDの治療法にはどんなものがあるかを、説明していきます。

過去のトラウマからさまざまな症状がある方へ

トラウマとPSTDの違いについては、一つ前の記事で紹介しましたが、ここでは過去のショッキングな出来事により、現在なんらかの問題や、支障を感じている方に、その対象法を広く知っていただくために書きたいと思います。
そのため、時として医療上や学術上の厳密なルールから少し外れていることもあることをご容赦ください。

PTSDの治療にはいくつか種類がありますが、下記のような方法が一般的といえます。

  • 医療機関での受診・服薬

まず、専門の医師に話を聞いてもらい、診察の中で自分の状態や症状について詳しく説明してもらうことができます。
自分がトラウマを抱えているのか、症状があるのかは、自分でジャッジすることは難しいので、専門家に判断してもらうことが良いでしょう。
また、症状に合わせていくつかの薬を試してみることができます。PTSDには不快な症状が伴いますから、その症状の緩和や軽快ができれば、生活の質の向上につながります。 

  • カウンセリング

トラウマや症状の有無について、カウンセラーやセラピストに相談するという方法もあります。
多くの精神科クリニックは患者さんがたくさんいて、混んでいたり、診察の時間が限られています。
カウンセリングは予約時間ちょうどに始まりますし、決められた時間ゆっくりと話を聞いてもらいたい人には向いているでしょう。
カウンセラーは医師ではありませんので薬の処方はしませんが、薬に抵抗がある方や、薬以外のオプションをお探しの方には良いと思われます。

  • 心理療法(トラウマ治療)

PTSDに特化した心理療法がいくつかあります。
これには暴露療法、認知行動療法、EMDRなどが含まれ、トラウマに直接的にアプローチします。

⭐️暴露療法(PEなど)
…セラピーの中で一定期間「不快感情(恐怖や嫌悪など)」に安全に自分を曝し、それに慣れるという人間の能力や強さを活かした療法です。
具体的には、セッションの中で不快感情を喚起させるトラウマエピソードについて繰り返し語り、そこから逃げることなく、一定時間感情と身体感覚にフォーカスをしていきます。

⭐️認知行動療法(CPTなど)
…トラウマの中で生じる自罰的で「ゆがんだ認知」に焦点をあて、それを現実的で受け入れやすいものに変化させていく方法です。
具体的にはトラウマエピソードについて「何が起こったか」と「なぜそれが起こったか」を書き出し、セラピストとともにその中のゆがんでしまった認知を探し出したうえで、より現実的で生産性のある認知を考えていきます。

⭐️EMDR
…眼球運動を用いて、過去のトラウマ体験を処理をすすめていく心理療法のひとつです。脳がリラックスしているときの眼球運動を再現します。
具体的には、セラピストがクライアントの顔の前に指先などを示し、そこに眼球の焦点を合わせるエクササイズを行います。

トラウマ治療は、上記のような技術を習得した心理療法家(カウンセラーやセラピスト)にかかって、それらを受ける方法があります。

他の方法は、対症療法や日常生活の質の向上に重きをおいており、トラウマそのものにアプローチはしないことが多いです。

どの方法を選ぶか

自分を苦しめるトラウマを治療したいと思ったとき、やっぱりベストな方法が選べたらいいですよね。
上記ではその一般的な方法を紹介しましたが、まずはチョイスとして知っておくことが大事だと思います。
そのうえで、自分のトラウマがどんな種類のもので、どの方法が向いているか、そしてどのくらいの時間がかかるのか、その判断はなかなか難しいので、できれば専門家に相談しながら決めていくことをおすすめします。

しかし、残念ながら相性や方向性の違いがあり、相談がうまくいかないこともあります。
せっかく勇気を出して相談に行っても「大したことじゃない」、「PTSDとはいえない」と言われてしまったら、心が折れてしまいますよね。
人の心の悩みは個別に違うものですから、あなたがしんどいと思ったら、それは「大したこと」です。
医療的にPTSDであろうとなかろうと、それを取り扱わない人は「専門家」とはいえません。気にせず、別の人を探してください。

もしこの記事をご覧になっている方で、トラウマ治療をご希望の方や、さらに詳しい説明が必要な場合は、お気軽にポラリスカウンセリングオフィスまでお問い合わせください。

文責:湯浅紋(臨床心理士・公認心理師・心理学博士)

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