結構前に途中まで書いた小説をもう続きを書く気がないから無茶苦茶な展開にしてみた
もし人生をやり直せるなら、どの時の自分に戻りたいか。
30歳を目前にして漫画家を目指して上京するが、コンペには箸にも棒にもかからず、漫画家を諦めるも地元に帰ってやりたいこともなく、なぁーんとなく東京に居続けて3年程何でもないフリーター生活を送っている僕にとっては、人生のどこかで歯車が狂ったと、今こんな状況になったのは過去に何かがあったからだと、そう決めつけるしか自分が自分を維持して生き続ける方法はなかった。
毎日に大きな差はなく、アルバイトまでの適当な時間に起き、適当なものを食べ、適当に過ごし、深夜のコンビニでそこまで疲れない程働き、帰りに酒を買って帰る日もあれば、そのまま布団に直行する日もある。自分の遠い未来はおろか明日の目標すら持っていない日々。ただ流れるように生きている毎日。変化があるとすれば、また一から漫画を描こうとペンを握る時。真っ白な原稿を前に頭の中も真っ白になってしまい、結局またすぐに諦めてしまう。変化といっても、つまりは何もしていないのと同じ。
とにかく時間だけは有り余っている。
自分の人生を振り返ればああしていればよかった、こうしたかったという後悔の記憶が蘇る。
もしあの時こうしていれば、今自分はこんな生活を送っていなかったかもしれない。そんな出来事が最も多い時期、それは高校時代である。
ぼくにとって高校時代は後悔の塊。
あの時こそ何も行動を起こさなかった。今の消極的な自分が完成したのは高校時代なのだ。
その時の自分から殻を破るために漫画家を目指したわけだが、結論はあの時の自分のままであった。もし人生をやり直せるなら、高校時代をもう一度やり直し青春を、人生を謳歌したい。そんなことを思いながら、朝日を遮るため布団を被り眠りについた。
「あんた、いつまで寝てんの!」
一階から聞こえてくる母親の最も嫌いな台詞で目が覚めた。これで目がさめる時で気持ちのいい目覚めの日はない。母親の声?バッと目を開くとそこは実家の自分の部屋。壁には高校生の頃の制服がかかっている。
ダダダダダっと階段を駆け上がり襖を開いた母親は普段は見ない少し綺麗目な格好をしていた。
「あんた入学式早々遅刻する気か!」
ああ、入学式だからこんな格好をしてるのか。え?入学式?
いけない!起きなきゃ!なんで目覚ましは鳴らなかったんだ!
そう思って目覚まし時計を見ると既にパンツボーイにパンツインされてる!最悪だ!パンツボーイのパンツの中は防音だ!目覚ましの音が聞こえないわけだ!
ぼくはシルクのネグリジェを脱ぎ、新しい制服であるブレザーに、そうブレザーに着替えようとしたのだ。
ブレザーに着替え、ブレザーを脱ぎ、パンツを脱いで、ブレザーを着て、パンツを履いた。
「お母さん先に行ってるからよってに!遅刻しちゃだめだにー!お母さんぷんすか!ぷんすかお母さん!ぽんそこお父さん!お父さんぽんそこ!わたしたちぺんさけ夫婦!夫婦ぺんさけ!」
そう言って、お母さんは寝た。
ぼくは入学式に出たいので家を出た。そして、道を歩いた。
そして、角で曲がった。
そうしている間にも為替と株は動いている。
為替と株の動きを感じながら家に帰った。
入学式は間も無く始まろうとしている。
このままでは間に合わない。
そう思った瞬間、一夏の恋が終わった。
まだ春なのに夏の恋が終わった。
夏の恋の前払いと思った。
「夏の恋の前払い」ぼくは言った。
「夏の恋の前払い」母さんは言った。
「夏の元気なご挨拶」鈴木杏樹は言った。
日清のサラダ油セットを持って学校に向かった。
学校に到着した頃には、すでに深夜2時を回っていた。
もちろんすでに入学式は終わっていた。
そして、再び昨年度の卒業式のリベンジが行われていた。
卒業生一同が再び在校していた。
新入生とリベンジ在校出来た卒業生によるすし詰め状態の学校にぼくは入りたくなかった。
しかし、寿司は好きだ。
なので学校の前に小皿に醤油とわさびを添えた。
すると学校からすし詰め状態の生徒たちが小皿にに飛び込んできた。
まるで餌に群がる池の鯉のようだとぼくは思った。
「まるで餌に群がる池の鯉のようだ」と鯉は言った。
鯉が喋ったことにビックリしすぎて、ぼくは心臓が止まった。
もちろんパンツボーイもぼくの分身なので心臓が止まった。
母は言った。
「母は言った」と。
夏ですね スイカでも食いたいもんですわね