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インテル入ってる。

僕が高校生のとき、パソコンのCPUの最大手メーカーは、米インテルだった。主要なパソコンには、必ず、「intel inside」という文字が書かれたシールが貼られていた。しかし、日本で流れるCMやその他媒体には、「インテル入ってる」という、広告的な、あまりに広告的なキャッチコピーが作られ、流通していた。

高校生である僕は、パソコンから、シールを剥がし、筆箱、傘、ロッカー、学生服のポケットなど様々な小道具にそれを貼り付け、遊んでいた。ちょっとしたいたずらである。インテル入ってるわけないのに。周りの誰もが呆れていた。その偏差値の低さに。

その証拠に、インテルをインストールした直後から僕の成績は下降の一途をたどり、高校を卒業する頃には目も当てられない数字になっていた。インテルの効果、逆に絶大である。

記念に受けた大学に予想通り不合格となり、僕は浪人生活に入る。僕は筆箱からインテルのシールを剥がした。インテルとの決別である。インテルに頼っていてはいつまで経っても合格できない。自分が変わるしかないのだ。未来は自分で変えるものなのだ。さようなら、インテル。

そこから、僕のインテル入ってない生活が始まった。ゴロは悪いが、成績は悪くなかった。右肩上がりで伸びていき、夏が終わり、秋が来て、冬を越し、春になろうとしていた。僕は、そこそこの有名私大に合格することができた。

この話から学べる教訓や気付きは一切ない。

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