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言葉がなくても通じ合える

発達ゆっくりさんには言葉での表現が少ない人がいます。
そういう人と関わっていると、言葉はコミュニケーションのほんの一部なんだよなぁと思わされます。
言葉以外にコミュニケーションをとる方法はたくさんあるんですよね。
ジェスチャー、文字、絵、行動、表情、仕草、声色…

私は割と言葉の表出の少ないゆっくりさんの言いたいことややりたいことがわかる方です。私が感覚的な人間だからかもしれません。
もちろんわからなくて歯がゆい思いをすることもあります。
人の気持ちを完全にわかることは難しいです。
だけど、わかりたいと向き合うことが大切だと思います。
そのためのコツを挙げてみました。

知りたいと思うこと

これは何よりも大事なことです。
相手のことを知りたい。何を考えているのかわかりたい。
そんな気持ちがないと、そもそもコミュニケーションはできないと思います。

よく観察すること


行動や仕草、表情などをよく見たり、声色などを聞き分けたりします。
ちょっと手を動かした、そういえば、その手の動きはあの時もやってたな、など小さいヒントが見つかることもあります。

こちらから働きかけた時の反応もよく見ます。
一見反応がないように見えても、何か動いたり表情が変わったりしているかもしれません。
その反応で次の働きかけを決めて、細かいやりとりをすることもあります。

音楽を聴くのを終わらないといけない時に、「これを聴いたら終わりにしよう」と事前にタイマーなどで視覚的に伝えながら、終わったら支援者が機械を触ります。触ることで、もう終わりを示します。
機械を取ろうとしたり、手を払い除けようとしたり、怒ったり、なんらかの激しい拒否をしないか反応を見て、その行動が伝わったこと、納得できたことを受け取ります。
言葉のないやりとりは、反応をよく観察します。

思い込みや決めつけをなくすこと


1つの行動、表面に見えたことで、すぐに「こう言っている」「こう思っている」と思い込んで決めつけてしまうと、他の可能性が入る余地がなくなります。
もしかしたら違うかもしれないのに、本当のことには気づけないかもしれません。
1つのことで何かひらめいても、すぐに決めつけず、他の可能性も視野に入れて考えてみることが大切です。

また、大人でいろいろ経験していると、先入観というものがあります。
ゆっくりさんや子どもには、常識や一般的な考え方では測れない発想力があります。
こうに違いない、というその思い込みを一度外してフラットに考えてみます。


いろいろな角度から案をたくさん出すこと

いろいろな角度から、こうかも、ああかも、と案を出して考えていると、突然ピンとひらめくこともあります。
パズルや謎解きみたいにピースを組み合わせて考えていくイメージです。

普段の習慣や行動、過去にあったことや今周りにあることなどがヒントになることもあります。
視野を広く持って、いろいろなことをヒントに推理していきます。

物が欲しい場合はわかりやすいです。
「これ?」「これ?」と次々に見せていけばいつかは見つかります。
ただ、時間がかかるので、事前の出来事や行動から推察することもあります。
少し前にバスを見たこと、いつもしているバスの動きをしたことなどから、バスの本が見たいんだとわかります。

物ではなく、気持ちの場合はそう簡単にはいかないことが多いです。
人の気持ちは完璧にはわかりません。
だからこそ、こうかな?ああかな?といろいろな案を出して、深く考えていくことが必要です。

言葉に頼りすぎないこと


どんな人でも、物事を外から受け取る時に聴覚優位や視覚優位などがあります。
普段、耳で聞いて受け取ることが得意な人や言葉をよく話す人などは、相手にも言葉だけで伝えようとしたり言葉を求めたりする傾向があります。

言葉に頼っていると、伝えたいことが伝わらなかったり、言葉以外のサインを見逃したりします。
凸凹さんで過敏の人だと言葉が刺激になって、他のことが入らないこともあります。

意識して言葉を減らして、言葉以外のものを見て使おうとすることが大切です。

先程の「音楽終わり」の場面でも、言葉で「終わり」と言うのは最低限で、最終的には行動で示しました。
言葉で言い続けると、それが刺激になって気持ちが昂ぶって余計終わらないということにもなります。
言葉は減らして静かに行動で伝えることも必要です。

私は言葉の表現の少ない方のことも、常にわかりたいと思って関わっています。
わかった時はとても嬉しいです。
コミュニケーション1つからも喜びをもらえている世界がとても楽しいと思っています。

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