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人間失格を読んだ。

久しぶりに太宰治の「人間失格」を読んだ。

物語の主人公は、女性と自殺未遂、実家から勘当同然になる、酒に溺れる、薬漬けになる、最後には精神病院に入れられる…と結構やらかしている。

主人公は、精神病院に入った時に自分自身を「人間失格」と思った。

これで人間失格ならば、どうなれば人間合格?なんだろうか?とふと思った。

主人公は結構やらかしているが、私は人間失格とまでは思っていない。大いに世間のレールから外れまくってはいるいるが。

本当の自分をさらけ出せなくて道化を演じる様、意思が弱くて止めると言った酒を飲んでしまう、等の弱さや愚かさや自分勝手さが、人間くさいなぁ、と感じる。
聖人君子の様な完璧な人間よりは、ダメダメな感じをさらけ出している方が親近感を感じる。

人間合格ってどんなん?と思うが、生きてるだけで良い様な気もする。
人間を合格とか失格とか決める(決められる)のもなんだかな…と感じる。他人にそんな事言われたら「私の全てを知らない癖に、勝手なレッテル貼るんじゃねぇ」と思うだろう。


私が「うわぁ…」と来た場面がある。
主人公がシゲ子と言う女性の元に居候していた。
彼女には5歳の娘がいて、雑誌社に勤めに出ている間は、主人公と娘でお留守番していた。

主人公は、娘に「神様に何をおねだりしたいの」と聞いた。
「私の本当の父親が欲しい」と言われ、ショックを受ける場面だ。

「自分は必要とされていない」と言った孤独が、私の胸に突き刺さった。
求める者の代わりにはなれない、此処には自分の居場所が無いんだ、と感じられる様な絶望感…。
悪気がなく本当に出た言葉だろうと言うのが余計に、受けた衝撃の強さを思わせた。

主人公が幼少の頃から家族の前でさえも自分をさらけ出せず、大人になっても落伍者の様な思いを持って生きてきたと言う背景が、とてつもない生きづらさを感じさせる。


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