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部活の主将になりたくなかった話。

大学時代、部活で新たな幹部決めの話し合いが持たれた。
三回生が主将(部長)や副将(副部長)等の幹部になる。部の運営をやっていく学年だ。

ぶっちゃけ主将にだけはなりたくなかった。
部の顔みたいな所があり、部員を引っ張って行く重圧とか責任を感じたくなかった。

それよりも本当に嫌だったのは、主将になると師匠と関わる頻度が増えるからだ。何かあると主将に連絡が行くのが殆どだった。

私がやっていた部活は伝統芸能系だ。師匠はその世界のプロで、大学のOBだった。
発表会がある前は稽古を見て頂き指導して頂いた。

ただ私は師匠が苦手だった。
感情の起伏が激しく、部員が何か失礼な事をやらかしてしまった時は、烈火の如く怒り、部員がスーツを来て謝りに行った事も何回かあった。

師匠主催の会の受付や下足番など、部員でやっていたが人遣いが粗かったのもある。
…お世話になっていたけども(小声)

部員の中でもお気に入りの部員とそうではない部員の扱いの差がハッキリしていた。
伝統芸能の謡や舞が上手い人や可愛い子など、あからさまな程分かりやすかった。
ある特定の演目は、お気に入りの部員にしか与えられないとかもあった。

私は明らかに気に入られている部類ではなかった。気に入られたいとも思わなかった。

1つ上の先輩が主将だったが、明らかに師匠に気に入られていなくて(正直あまり好かれていなかった)、やらかしてしまった時にめちゃくちゃ責められていたのを目の当たりにしていた。
師匠と関わるのは、尚更必要最小限にしたいと言うか関わりたくないと思ってしまった。

三回生になる前位から、就活や将来の勉強等で部活続けるか分からないみたいな事を同回生に言っていた。辞める辞めるサギだ。

1つ上の怒られてた先輩は四回生に上がる前に退部してしまった。四回生の先輩が止めるのを振り切って強引に辞めて行ったから、うんざりしていたんだろう。今となっては気持ちが分かる。


次期主将候補は私含め4人いた。正確には5人だが、1人はめったに部活に来ない子なので実質4人だ。
私ともう1人は明らかに主将をやりたくなくて辞めるかもとぐだぐだ言っていた。
話が進まないので、じゃんけんで決める事になった。2人が勝ち、私と仲がよかった子が残ってしまった。

私が「あぁ、負けたら主将やらないといけないのか…キツイな」みたいな顔をして運命のじゃんけんに挑もうとした時、
もう1人の子が「もう、私が主将やるわ」と言った。
諦めた様な覚悟した様な感じで。

…よかった。首の皮一枚繋がった気分だった。
多分じゃんけんに負けていたら辞めていたかもしれない。
引き受けてくれた子に感謝だ。
それとは対照的に嫌な事を回避しようとする私のクズさ加減が身に沁みる。

だって嫌だったんだもん。1年間だけだから我慢せぇよ、社会に出たら幾らでも同じ事あるだろと言われそうだ。
社会人になった今でも嫌だわ。

「部活を続けなきゃいけない」「嫌な事でもチャレンジした方がいい」「途中で辞めると逃げ癖がつく」…世間の風潮でよく言われるやつ。
やりたくない事を無理してまで続ける理由どこにあるんだ?我慢は美徳と言うやつか?
無理だと思ったら、見切りをつけて新しい道に行く決断も大事だと思うけどな。


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