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【詩】セミについて思ったこと

今、エリック・クラプトンの「Wonderful Tonight」を聞きながら、この文章を書いている。

思い返すこと、今日の昼、母校の後輩と歩いていた時のこと。

「○○(私の本名)さーん、昨日道歩いてたら、木に止まってたアブラゼミが急にこっちにパチパチ飛んできて、まじでビビりましたよ。」

なんだパチパチって擬音。村上春樹か。

まぁでも、たしかにセミは怖い。木に止まってるセミに気を使って、ヒソヒソと通りがかろうとすると、狙ってたかのようにパチパチ飛んでくるし。


地面に裏返ってる時に死んだかと思って、余裕かまして歩くと、甦ったかのように、地面をバチバチと叩きつけ、ビビらせてくるし。たしかにセミは怖い。嫌いだ。


でも私はふと、後輩にこう返してしまった。

「セミって命は1週間強しかないでしょ?俺ら人間なんて80年も生きるんやで?俺ら80年かけて、小さな悪い事を積み重ね続けるのに、セミはたった1週間強しかない命の間に、自分の羽を動かすことで、人間を驚かせることしかしてこないんだよね〜。もし俺らに1週間しか命がなかったら、どする?やりたいこと自由にやりたいでしょ?」


なんでこんなのを反射で返してしまったんだろう。
セミなんてこの世から消えちまえって思うのに。


後輩も「あ〜その視点は思いつかなかったです〜」と納得してしまった。


よくよく考えてみたら、俺ら人間80年も生きれるっていう虚の方角から差し出された仮説の中で生きてるから、こんな真夜中でさえも、エリック・クラプトンの「Wonderful Tonight」を聞きながら、この文章書いてるワンダフルなトゥナイトを自分は送る余裕がある。しかしセミはこの夜中に持ち前の鳴き声を出せない。ってことは、セミはワンダフルなトゥナイトを送れない。7回強しか夜は巡ってこないのに。


もしかしたら、地面に裏返ってる時に、人が通りかかったら、バチバチ地面に羽を叩きつけるのは、我ら人間に、表に返してくれ!と助けを求めてるんじゃないのか。

たしかに日向の地面は熱い。そこに背中をずっと付けてるんだ。なんて可哀想なんだ。


もしかしたら、セミって地表に出てくるまで、7年かかるのに、成虫になったら1週間しか命がないってことは、日本に四季があることを知らないのか?暑い日本しか知らないのか。

まさか、玄関の前によくセミがいるんだけど、もしかして隙あらば、家に忍び込んで、冷房が効いた部屋に入って、寒い日本を疑似体験したいんじゃないのか?

なんで俺らはセミを人間の冷ややかな視線だけでしか、涼しい日本を味あわせることしかできないんだ。

いろいろ考え出したらキリがない。

 でもセミに対する考えは1つ。

「消えてくれ。それだけ。」






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