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おすすめの詩

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今週の詩、おすすめの詩のまとめです。
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#秋の詩

今週の詩|冬のある日(八木重吉)

今週の詩|冬のある日(八木重吉)

こんにちは。詩のソムリエです。

今週の七十二候は「朔風葉を払う(きたかぜ このはをはらう)。
福岡でも昨日から北風が吹いて、「冬だなぁ」と窓の外を見つめています。

今日は、こんな詩をどうぞ。

冬のある日 八木重吉

くさがかれたんだから
わたしのおもいだって
すなおにかれたらいい

ひらがなで書かれたみじかい詩なので、するっと読めます。
でも、なかなかにすごいことを言っている詩。

この詩を

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今週の詩(霜降)|あたたかい手

今週の詩(霜降)|あたたかい手

こんにちは、詩のソムリエです。急に寒くなりましたね!今週のはじまりは、七十二候「霜始めて降る」。

さいきん急に寒くなりました。人肌恋しい季節、にぴったりのみじかい詩をひとつどうぞ。

あなたの手は
握りしめるとあたたくなる手だ
あなたの手は
あたためるとひよこが生まれる手だ

*****

なんとも、あったかみのある、それでいてしんと静かな作品。

この詩を作った矢沢宰(やざわ・おさむ)は 昭和

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今週の詩(蟋蟀戸にあり)丨虫たちの歌

今週の詩(蟋蟀戸にあり)丨虫たちの歌

おはようございます。詩のソムリエです。急に寒くなりましたね!

今週のはじまりは、七十二候「蟋蟀戸にあり」。この蟋蟀は「キリギリス」だけではなく、コオロギや鳴く虫の総称です。寒くなってくると暖かさをもとめて虫が玄関さきにいることを愛おしむ気持ちがあらわれています。

虫の音を愛おしむ気持ちは紀元前からこの「蟋蟀戸にあり」という季節は紀元前からあるそう。
『詩経』に「十月蟋蟀」ということばがあるほか

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今週の詩(鴻雁来)|帰る場所について

今週の詩(鴻雁来)|帰る場所について

おはようございます。詩のソムリエです。
(家のことや体調のことで更新が滞りました、ごめんなさい!)

今週のはじまりは、「鴻雁来」。春に北へ帰って行った冬鳥が再び日本へやってくる頃です。

故郷はひとつなのか?渡り鳥が群れで飛んでいるのを見あげると、「帰る」という動詞が思い浮かぶのはわたしだけでしょうか?
鳥たちに、帰る場所について問いかけられているような気すらします。

「望郷」は、万葉集や漢詩

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