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職場で厄介払いをした

「やっかいだな」心の中でつぶやいた。忙しくなると気持ちの余裕がなくなる。それはどの職場でもあること。
ひとりひとりが同じゴールを目指してハイスピードで突っ走る。そして嵐が去った後、たいへんだったね、と笑って終わる。それは清々しかったりする。

回りの人が自分と同じように忙しくしている時は、共に戦う仲間だと感じる。
回りの人がおしゃべりしたり余裕をみせているのがわかると、自分だけが忙しいように感じて腹が立つ。

厄介なのは、自分では精一杯やっているのに、傍からはそう見えない時。あえて冷静でいようとつとめているのに、傍からは余裕があるように見られる時。
そんな時、回りの人は「自分だけが忙しい思いをしている、不公平だ」と思う。その不満が徐々に大きくなり、いきなり怒りとなって爆発する。

「こっちはこれもあれもやってたいへんなんですから、手伝ってください」
突然の怒鳴り声に一瞬、時が止まった(ように感じた)。

怒りに対して怒りで返してはいけない。怒りは炎。燃え上がった炎を消すのは大変だし、火傷するのもいやだ。

怒りには冷静を。冷静は冷たい水のようなもの。相手の怒りは次第におさまる。
怒鳴り声に言い返さず平静を装った。

翌日、爆発した相手がご機嫌で話しかけてきた。
「花粉症のせいで昨日からすごく変なんだ」と。これは間接的ではあるけど、謝っているってことかな。

厄介だな。
素直にあやまっちぇばいいのに。
「厄介」って厄を介するってことか。
誰かが方々に散らばったわざわいの間に立つ、仲介すると厄介払いできる。

今日は忙しさの中にわざわいは現れなかった。

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