見出し画像

レインボーブリッジを歩いて渡ったら、人生を感じた話

いつだったか、レインボーブリッジは歩いて渡れるって知ったのは。それを知ったところで、実際に歩いてみようなど一度も思ったこともなかった。遠くからも見える巨大で長い東京のシンボル的存在は、いままでずっと眺めるものでしかなかった。

横浜 港の見える丘公園から見たレインボーブリッジ

休日はどこに行こうか、ネットで探している時、日帰りできて興味あるスポットはもう行き尽くしてしまったように思った。
「今まで行ったことないところで、おもしろい体験できるところないかな」そう考えている時に、突然ひらめいた☆
「レインボーブリッジを歩いて渡ってみよう」私にとってチャレンジだ。

ひらめきは突然舞い降りる

JR田町駅からレインボーブリッジ遊歩道入口までまっすぐ行けばよいから15分くらい・・・のはずだが、道を間違えた。よくある、初めて行くところへはすんなり行けないってことが。
「今日はここまででいいか、また出直してもいいかも」
かすかに心によぎるあきらめ。すぐに朝の意気込みを思い出した。
「今日はチャレンジをするんだった。やれるところまでやってみよう」
携帯のナビを見直して方向修正し、無事レインボーブリッジのふもとへ到着。のどがつっぱるくらい見上げると、鉄の枠組みがはるか遠くまで続いていた。その距離1.7㎞、たいした距離じゃない、気合いを入れた。
お台場へ向かって左側がノースルート、東京タワーが見える側。右側はサウスルート、お台場が見える側。深く考えずにノースルートを選んだ。

すぐそばをものすごいスピードでビュンビュン車が走り抜けていく。
誰ともすれちがわないし、追い越されもしない、歩いているのは私だけ。
見下ろすとコンテナや船が小さく見えて、すごく高いところにいるんだといやでも思いださせてくれる。
車の音、風、揺れ、高所、ひとり、この状況はスリリングというより怖い。
「今日はここまで来ただけでよしとして、途中で引き返してもいいんだから」
そう思って先を歩いていった。

歩いているうちに不安は薄れていった。左側に都会の摩天楼がひろがっている。東京タワー、スカイツリーも見える。いろんなところから眺めていたあのレインボーブリッジを今、私は歩いているんだ。すごいことのような気がした。
途中、なぜか小走り。きっと早く対岸について安心したいのだろう。

ちょうど半分くらいまで来た。後ろを見ても、前を見ても、ブリッジの長さは同じくらい。どっちを見てもとても長い道のりに思えた。それなら前に進むしかない。

残りあともう少しというところで、反対側のサウスルートへの連絡通路があったのでお台場側へ。フジテレビの建物や海浜公園がすぐそばに見えてやっとホッとした。ゴールを目の前にして達成感がじわじわわいてきた。そしてとうとう、私のためだけに張られたゴールテープを切るようにバンザイしてゴール。

振り返るととてつもなく長い橋が向こうの方まで伸びている。この大きな存在に立ち向かったんだと自分を誇らしく思えた。

お台場海浜公園 海の向こう側を眺める鳥たち

レインボーブリッジを歩いて渡るチャレンジ。私の人生の縮小版のような体験だった。
「無理だと思っていたことでもやれるところまででいいからやってみよう。思っていたほど難しくないかもしれない」
「やり始めたけど途中でつまずいたり、やっぱり無理かもって思うかもしれない。その時は、最初にやりたいと思った時の熱意を思い出せば、再び力がわいてくる」
「途中でとてもつらく、きつくなってしまったら無理はしない。今はここまでやれたことでよしとする。またチェレンジすればいいのだから」
「慣れるまでは不安になることもある。とんでもなく高いところにいると思うからおびえる。うつむいてばかりでは地面しか見えない。顔を上げて回りの楽しい眺めを見ながら前に進めばいづれ不安はなくなる」
「そうして目的地にたどり着いた時、新しい自信が自分の中に生まれる。たとえそれが小さなチャレンジだったとしても、自分の中に刻まれる自信に大きいも小さいもない」

これからレインボーブリッジを見る度に私は思うだろう。
「あの巨大な橋を歩いて渡ったんだ、私ってすごいな」って。


この記事が参加している募集

やってみた

今こんな気分

いただいだサポートは、感動や喜びを見つける旅のために使わせていただきます。 インスタに身近にある素敵なものをアップしています。 https://www.instagram.com/poemist_akemi