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とある妊婦の脳みそ【9】仕事がしたい、したすぎる―妊婦とクラウドソーシング

賛否両論ある、クラウドソーシングサービス。

もともと私はリアルのつながりでフリーランスとして仕事を受けていたのだが、転居や妊娠を機に仕事をひとくぎりしたため、妊娠中はじめて、クラウドソーシングサービスを利用して、契約数ゼロの状態から単発の仕事をいくつか受けてみた。

で。

思うところがありすぎて、書きたいことを全部書いていたら、気づけばたいへんがっつりとした記事になってしまった(ので、あわてて最後に冒頭へ戻ってきて、言い訳がましくこの冒頭文を書き加えている、笑)。

ちょっと他のエッセイのテイストとはズレてしまうなぁと思ったけれど、少しでも興味のある方にはぜひ届いてほしい内容なので、今回は開き直ってがっつりのまま行きたいと思う。

万人受けする内容ではない、たぶん。

けれど、「働き方」、とくに「育児中の主婦や妊婦の働き方」「クラウドソーシングサービスと“うまく”付き合う」などのキーワードに興味のある方には、読んで損のない内容になっているはずだ。

というわけで『とある妊婦の脳みそ【9】』、はじまります。

*  *  *

ウクレレが下手ながらもある程度は弾けるようになり、パンづくりやお菓子づくりにも慣れてくると、また「もっと何かやりたい」という気持ちがむくむくと出てきた。

子育てが始まればはもう当分そんな余裕はないだろうからと、週末には夫を誘ってオーケストラのコンサートへ出かけてみたり、映画へ出かけてみたり、大きな公園をゆったり散歩してみたり。

あぁ、こんなにゆったりした時間は今だけだよねぇとしみじみし、それも、とても楽しい。

だが平日になればまたひとり。

ウクレレを弾いてみても、クックパッドにレシピを投稿してみても、どこかぽっかりと空いて満たされない、心の一角。

――仕事がしたい、したすぎる。

*  *  *

今考えれば、そこには経済的な動機と、社会とのつながりを求めているという社会的な動機の両方があったのだと思う。後者の影響の大きさを私は後に思い知ることになるのだが、最初の動機はどちらかというと前者だった。

元来わたしはきっと、ケチなのだ。

いまは自分が働けずとも何不自由なく生活させてもらっていて、夫には心から感謝している。だがこれから育児にはお金がかかる。客観的にみて、同世代と比較すると我が家の貯蓄はどちらかといえばないほうだと思う。

そういった状態で自分が毎日時間を持て余していることに、うずうず、モヤモヤ。ちょっとしたストレスになってしまう厄介な性質である。

まあ考えてみるとその背景には、“お金を稼ぐ”ことが“働く”ことである、という考え方が、社会でも自分の中でもいまだに強く根付いているという状況があるのかもしれない。

今は学生だから、産休中だから、子育て中だから。学生は勉強が仕事、産休中は元気な赤ちゃんを産むのが仕事、子育ては日々の家事が立派な仕事。

そんなふうに文言では言われていても、その状態にある人自身が「今は仕事してないし」「今は働いてないし」と言い、周囲の人にもそう認識されているのが常だ。だれかに「仕事してるの?」と聞かれれば、それは「(お金を稼ぐ)仕事をしているの?」という意味である。

そして私自身も、このnoteで“仕事”や“働く”をその意味で使っている。そして“働いていない”人は“働いている”人に対して、引け目を感じている。

“仕事”や“働く”の認識って、正直そんなところだと思う。

*  *  *

ちょっと話が横道にずれてしまった。

とにかくそんなわけで、ケチな私はこの時間を使ってちょっとでも収入を得られないものかと考え始めた。

当時、妊娠7ヵ月も半ばを過ぎたころ。

これからどこかにアルバイトとして雇ってもらうのは先方にとってまず難しいだろうし、こちらとしてもいつまた体調が変わるかもわからない状態でそんな無理は望まない。

かといって妊娠前に受けていたような、本格的なライティング案件を受けるのも負荷が大きすぎる。

直接の因果は定かではないが、妊娠初期、締切前に夜遅くまで働いていたときに出血し、切迫流産と診断された経緯のある身としては、当時のような責任の大きい案件を受けるのは避けたいと考えた。

“単発で、かかる負荷が自分で選択でき、心身ともに無理のない範囲でだけ受けられる仕事はないものか”。

そう考えて、私はクラウドソーシングサービスの案件一覧をあさり始めた。

*  *  *

クラウドソーシング大手といえば、有名なのがLancers(ランサーズ)やCrowd Works(クラウドワークス)。

私の場合、フリーランスに近い働き方にシフトし始めた約4年前に、どちらも登録だけはしていた。

だが当時は魅力的だと思える案件が見つからなかったこと、またありがたいことにリアルのつながりでいただく仕事で精一杯になったため、結局利用はしていなかった。

時が経ち、また自分の状況も変わって、ひさしぶりに案件を見始めてみたのである。

*  *  *

※ここから先は、以前はフリーランスライターの端くれとして働いていた私の目線から見たクラウドソーシングサービスの世界(悪い点も良い点も)、その単価や内容に対するぶっちゃけた印象や考え方、そして妊娠中、実際にクラウドソーシングサービスで受けたいくつかの案件に関するエピソードや報酬額などなどを結構がっつりつづっています。

また、それらの経験をもとに個人的に感じた「クラウドソーシングサービスとの“うまい”付き合い方」「育児中の主婦や妊婦など(いろいろと時間的制限がある方)の働き方」にまつわる考察もゆるやかに入れてます。

がっつりな内容のため、読んでみたいという方だけにお届けしたいので、以下、課金制とさせていただきます(なお、ノウハウまとめ記事ではありませんのであしからず。あくまでこれまでのようなエッセイ体で、上記の内容をたっぷり書いています)。

ご興味のある方は、ぜひどうぞ。

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