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晴旅雨筆(エッセイ)

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これまでの人生で書き散らしてきたノートの切れ端をちぎれ絵のように張り付けたエッセイ。本を読み、山に登り、酒を呑み、街を歩く。
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2022年3月の記事一覧

クレオパトラのワイン (試験の時間)

人生は《試験》に満ちている。 受験勉強が科目ごとに《パターン化》され、受験生はそのパターンを憶えることにより、偏差値を上げることができるそうですね。 「考える力を推し量る」のが本来の目的だった《小論文》や「人物を見る」ための《面接試験》ですら例外ではなく、既に《パターン化》されているらしい。 半世紀近く前ですら、《チャート式》と称する、 「ここだけ(=チャート箇所)憶えればいいからね」 的な参考書が既に勢力を拡げつつあり、 「余計なお世話だ! 俺はオレ流でやるぜ!」 とい

面接では《What is your ultimate goal?》と尋ねていた (試験の時間)

新入社員が公務員への転職を公言し、公務員試験勉強に精を出していた、という記事を読みました。 おそらく、「個人」のキャラにも問題があり、同僚として「なんだこいつ」的感情を抱くのは理解できます。 ただ一般論で言えば、仕事さえしてくれれば(そうでなければ昇給・ボーナスなどでそれなりのフィードバックをすればいい)本人の人生計画に沿ってやればいい、とジジイは思ってしまいました ── ライバル会社に行くわけではないし。 こんな風に思うのは、私が少し特殊な企業にいたからかもしれません。

「その間の逸失利益です」と人事係長は小銭をジャラジャラ出してきた (エッセイ)

社員の慶弔に際して少額の祝い金や弔慰金を出す会社は多い。 私は既婚者として新卒入社したので、当然、結婚祝金はもらっていない。 最初の子供が生まれたのは入社後2年ほど経った後だったが、そもそもそういう《ルール》があることを知らなかった ── 出産日に特別休暇を取ってもいい、ということは勤務規則に書いてあったので、仕事を休んでビールをたらふく飲んでいたけれど。 それから2年後に2人目が生まれ、さらに1年ほど経ったある日、ヒラ社員だった私は、人事の係長から会議室に呼び出された。

ことばと本質 ─大統領とテロリスト─ (エッセイ)

学校での《いじめ》が大きな問題になると、 ── その多くは取り返しのつかない犠牲者が出た後で ── 《いじめ》事案を担任教師が学校に連絡したかどうか、あるいは学校から教育委員会に届けられていたかどうか、など「責任の所在」に関して報道されます。 文部科学省もこの問題はきわめて重要と考えているらしく、「学校におけるいじめ問題に関する基本的認識と取組のポイント」というHPには、《いじめ》という言葉が97回も出てきます。ぜひ一度ご覧ください。 このページには、 「《いじめ》はどこに

北大恵迪寮の夜 (エッセイ)

昨日投稿したエッセイに、入社面接で学生時代に自費出版した小説の中身を、 「いかがわしい内容じゃないだろうね?」 と尋ねられ、 「── いかがわしいです」 と答えたエピソードを書きました。 この話と、 ➀ 自費出版本 ➁ いかがわしい の2点において共通するエピソードがもうひとつあるのを思い出しました。 明日はどうなるかわからない身の上、忘れないうちに書き残しておこうと思います。 ********** 高校1年の頃から、リュックやバックパッカー(当時は背負子と呼んでいまし

入社面接における《いかがわしさ》の意味 (試験の時間)

学生時代、ある企業の見学兼面接に出かけた時の話です。 夏休みに2週間の《遅いハネムーン》に出かけ(↓)、戻ってきたらほとんどの同級生が既に内定をもらっており、少しあせっていました。 国立研究所の事前面接に出かけ、《天の声》を聴いて断念した話は既に書きました。 そこで、進路を技術系企業へと変え、3か所に見学に出かけました。 そのうち1社でのエピソードです。 社内見学を終えた後、役員面接(それほど大きな会社ではなかった)に臨みました。 人事担当者に案内された会議室に、技術担

「自己組織化」的に《独裁化》を抑制する仕組みになる? (エッセイ)

今、世界で起きていることから、《独裁政権》に関わる記事を1週間にふたつ書きました。 ➀ 自国の《独裁》が完了に近づいた《独裁者》は、必ず、次のステップとして、より弱い(と判断した)国を侵略する。侵略戦争を未然防止するためには、《独裁政権》の発達を抑制するしかない。 ➁ 国連の仕事として、地球上の《独裁者地図》を整備し(尺度を作り、危険度を色分けして、全世界に警鐘を鳴らす)、常に作り変えていく長い取り組みが必要。 しかし、ご存じのように国連は無力です。最強の独裁者が私物化

ロシアのウクライナ侵略がトルコ旅記事に与える影響など (エッセイ)

情報が正しく伝わっている世界のほとんどを怒りに巻き込んだロシアのウクライナ侵略が始まったのは、これとはまったく対照的に、ある個人がNote1周年の連絡を受けた翌々日でした。 「マルマラ海……」のシリーズを終えたら投稿ペースダウン、とそこに書き、かつそのつもりでしたが、こんな状況で《結婚式》の話題には入れない。それは、読者だけでなく、書かれる側も望まないだろう、と思うのです。 下の記事(↓)は既に用意済みのものでしたが。 それは単に《お祝い事》と《侵略戦争》の相性の悪さだけ

世界が学んだこと (エッセイ)

自国の《独裁》が完了に近づいた《独裁者》は、 ➀ 必ず、 ➁ 次のステップとして、 弱い国(=大きな犠牲を出さずに制圧できる、と独裁者が考えた国)を侵略する。 これが、今回、世界が学んだことの《本質》だと思います。 ・ロシアとウクライナがもともと兄弟国だったからだとか、 ・プーチンが旧ソ連の領土を取り戻そうとしているからだとか、 ・自国の防衛ラインが侵されそうになっているからだとか、 いろいろな《理由》が説明されている。 どれも、それなりの《理屈》なのでしょう。 当初は

卒業後20年ぶりの同窓会で「何かひとこと」に「わが社のクルマ買ってください」は《美談》か否か (エッセイ)

昨晩、高校時代の友人10人ほどでZOOM宴会をして、楽しいひとときを過ごしました。 その内容とはまったく無関係に、想い出したことがありました。 ****************** その高校の学年全体の同期会が最初に開催されたのは、卒業後、ちょうど20年が経った年でした。 38歳になった私たちはホテルの大ホールに集まり、1組から10組までクラスごとにステージに上がり、 「マイクに向かって、ひと言ずつお話しください」 と司会者に言われました。 ほとんどの人は、いわゆる《近況

初のポータブル日本語ワードプロセッサは(開発者には敬意を表するけれど)《創作》には使えなかった…… (エッセイ)

昨日投稿の「お代官様…」で書きましたが、20代後半に懸賞論文に応募し、副賞としていただいたのが、業界初のポータブル日本語ワープロ《富士通OASYS Lite》でした。 1984年5月に発表、8月に発売された製品を、発売とほぼ同時に手にしたのです。 このワープロは、それまでの製品が重量11.9 Kgだったのに比べ、3.5 kgと大幅な軽量化を実現しました。 カタログ表紙は秋吉久美子さん、ページをあけると、彼女が砂漠でこの製品を使っており、「思わず言葉でカメラしました。」のキ

お代官様おそるべし ── 《賞金》を確定申告しないと年貢が…… (エッセイ)

確定申告はお済みでしょうか? クリエイターの方で賞金付きの原稿やイラストなどデザイン募集に応じる方もいらっしゃることでしょう。その《賞金》には、既に金額に応じて一定率の源泉徴収がされていますが、改めて確定申告しないとエライことになる、という経験談です。 「お代官様」おそるべし。 税務署のやり口にたまげた失敗談をお話します。 20代後半の頃、某新聞の懸賞論文(という名のエッセイですね)に応募したことがありました。 テーマは「人間と科学」、賞金は100万円でした。 正確には、