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晴旅雨筆(エッセイ)

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これまでの人生で書き散らしてきたノートの切れ端をちぎれ絵のように張り付けたエッセイ。本を読み、山に登り、酒を呑み、街を歩く。
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記事一覧

あんこは自販機だけじゃなかった(街で★深読み)

名古屋市北区天道町の館林製餡さん前に置かれた『あんこ自販機』について、これまでに①目撃情報と②購入&食レポ記事を書きました。 それまでは自販機しか見たことがなかったのですが、たまたま通りかかったこの日は、対面販売も行っていました。 普通の小倉あん、粒あんなどの他に、抹茶、紅芋、コーヒー、ブルーベリー、チョコ、ゆず、……とにかく、ありとあらゆる種類のあんこがあります。 HPによれば、土日の11-13時の2時間、対面で量り売りをしているようです。 北海道産小豆・大手亡10

会社員でよかったかどうかはわからないけれど

25歳から会社勤めを始めた。 国家公務員になる選択肢もあったが、自分との『相性の悪さ』を感じて企業を選んだ。 その時点で、もう趣味のモノ書きに使う時間はないだろう、と諦めていた。というより、既に結婚していたこともあり、生活の糧を得るための仕事に専念しよう、とモノ書き世界には決別するつもりだった。 実際、研究開発系の仕事は忙しく、残業はほぼ毎日で、土日もどちらか出勤していた。 ところが、どういったいきさつだったか、入社1年目から労組機関誌の編集部員を頼まれ、特集企画を発案し

【鉄は熱いうちに打て】(新釈ことわざ辞典)記事版;オスマン帝国《イエニチェリ》のことなど

暴力教師やパワハラ上司の自己弁護。 このことわざには二つの意味があるそうです。 A. 精神が柔軟で、吸収する力のある若いうちに鍛えるべきである。 B. 物事は、関係者の熱意がある間に事を運ばないと、あとでは問題にされなくなる。 意味Bは特に問題はない。まあ、そうでしょうね。当たり前すぎて、なぜわざわざ諺に?と思うくらい。 問題は意味Aです 。部活担当の暴力教師や新入社員を指導するパワハラ上司はこのことわざを引用して自己正当化するかもしれない。 しかも、それは、ある意味、

【口自慢の仕事下手】(新釈ことわざ辞典)記事版

有能な経営コンサルタントに惚れ込んで後継者に据え相談役に退いた創業者が、権限移譲後ほどなくして直面した会社存亡の危機に、頭を掻きむしりながら現社長に浴びせる罵声。 30代の終わり頃、所属企業の業務改革の一環として、外部の経営コンサルタントと合同チームで仕事をしたことがある。 その時に感じた有能なコンサルタントの条件は、 ① 多種多様なデータを保有し、クライアント経営陣を説得するのに最適なデータを即座に取り出せる状態にしてある有能な組織と、 ② クライアント企業のデータをフ

リモート講義は『パケ死』など学生側の負担も大きかった;でも「Let's look at the bright side!」(家で★深読み)

リモートで学会に参加するのは、遠隔地に住む参加希望者にとって、時間もお金も節約になり、いいことばかり!という記事を書きました: ただしこれは、学会や講演会を聴講する場合であり、学生がリモート講義を受ける場合は事情が異なります。 2020年にコロナ禍が始まり、対面講義が制限された時、私は大学院で英語による科学技術論文作成・プレゼン発表に関する講義を持っていました。 もちろん、コロナ禍で突然始まった、という事情がありますが、通信環境や端末の有無という、『環境格差』によって学

大谷翔平選手のドジャース入団会見で…残念だったこと(家で★深読み)

今朝、大谷翔平選手のドジャース入団発表記者会見中継を見ていました。その映像の中で期待を裏切られ、たいへん残念に思ったことがありました。 中日ドラゴンズのユニフォームはドジャースと激似(許可を得て真似てデザインしたので当然ですが)で知られていますが、今から33年前の今月、入団記者会見の会場に、ただひとり、球団の手違いでドジャースのユニフォームを着て(着させられて)出席した選手(富永章敬さん)がいたそうです。 驚くことに、その場にいた人は誰も気付かなかったんだって。 この『珍

平手政秀の志賀城址近くで、久しぶりの名古屋モーニング (街で★深読み)

会社勤めをしていた40代後半の頃、子供たちが家を出たこともあり、毎週土曜の朝は喫茶店のモーニング・サービスで済ませる、という習慣がありました。 名古屋のモーニング・サービス競争は激しく、いや北西の尾張一宮や南東の豊橋ではもっと熾烈と聞いていますが、中には『一日中モーニング』という、一体どうなっているのかわからないお店もあるようです。 織田信長の傅役として知られ、その『大うつけ』ぶりが治まるようにと願って諌死した、と伝えられている平手政秀の居城・志賀城址である志賀公園(名古屋

【据え膳食わぬは男の恥】(新釈ことわざ辞典)記事版

既に異臭を放ち始め、周りの誰もが警戒して手を付けない《据え膳》に、我慢できずかぶりついてしまったため、数々の災厄がふりかかり七転八倒している男が、それでも虚勢を張って言うセリフ。 本当に目の前に、『リアル据え膳』が出てきたら、多少の異臭を放っていても、箸に手を付けてしまう気持ち、わからないでもありません。 でもでも、動画の解像度が向上し、ほとんど『リアル』に見える『バーチャル』が氾濫しています。『バーチャル据え膳』に幻惑されないようにしないと……それ、ディスプレイ越しです

ZOOMクラス会のむずかしさ(家で★深読み)

面着のクラス会は開催可能な状況となり、実際に開催されてもいますが、今年は3か月に1回ぐらいのペースでZOOMを用いた高校のリモートクラス会が行われています。 卒業生の約半数は名古屋を中心とする愛知県内に、3割ほどが関東圏に、残り2割が関西圏などその他に住んでいるイメージでしょうか。リモートのいいのは、時間の制約が少なく、集まるのに旅費や宿泊費もかからない点です。 例えば会社のリモート会議は、ひとりがプレゼンしたり意見を述べるのを他の参加者が聴く、という形で進行します。面着

恵那の秋を愉しむ(山で★深読み)

岐阜県東濃の恵那・中津川は、名古屋から中央自動車道を使って気軽に行ける自然豊富な地域です。海外から友人が訪れると、恵那峡まわりの温泉と、中山道の宿場町、馬籠(中津川市)や妻籠(長野県南木曾町)に連れて行きます。 名古屋から出かけると、まず恵那市があり、それから中津川市、その後長野県入りする、という順序ですが、どうもこの恵那と中津川の位置関係に混乱するのは、恵那山が恵那市ではなく、中津川市の、それも東の端に位置するため、中津川より奥に恵那がある、という誤った印象を持っているか

アドバイスした側にとって貴重なアドバイス

ジブリパークが2005年の『愛・地球博』の跡地利用であることから、別アカウントでこの万博についての簡単なおさらいをしました。 それに関連した個人がらみの話題をこちらに書きます。 県の当初案は、明らかにディベロッパー色の強いものですよね。実際、瀬戸会場は『海上の森』という県有林を切り拓いて住宅開発をする、そのきっかけとして博覧会を利用するのでは、と疑念を持たれ、反対運動も起こりました。 さて、そんなころの夕食の場 ── ちょうど、テレビでこの問題を取り上げていました。 当時

ラグビーのカナタ

ラグビーの魅力について、高校時代のクラスチームでのめり込んだ話を書きました。 もう1件、書きたいこと、特に、まっちゃんの「少年マガジン原作大賞」応募作品ストーリーと関係している話題があるのですが、こちらは自分以外の人が関わっているため、匿名アカウントの方に書くことにします。 私には2歳上の姉がいますが、彼女が大学で入部したのがラグビー部でした。 その大学を訪れた時に練習風景を遠目に見たことがありますが、男子部員がグラウンドをランニングしている最後尾を、姉が走っていました。

【笛吹けど踊らず】(新釈ことわざ辞典)記事版

今回は、お相手の男性がさすがにシニア過ぎたのでは……? 高校時代の同級生が内科のクリニックを開業したため、40代半ば頃によく診てもらっていました。その頃の話です。 「Pochi、お前、あっちの方は大丈夫か?」 「え? あっちって?」 「ウチでバイアグラの処方もできるぜ」 今は特許が切れてこの薬以外の製品もあるようですが、その頃はほぼ独占状態でした。 「ああ、……今のところ必要ないけど……まあしかし、そこまでしてカミさんと……」 「ハハハ! カミさん相手に使う人なんているわ

けっこう信用がある?(街で★深読み)

顔面激突→救急搬送→治療→抜糸、と一連のプロセスを経て、脳外科医に、 「もう顔、洗っていいよ」 と言われた2日後、高校のクラス会が予定されていました。 医者のコメント次第で欠席しようかとも考えていましたが、コロナ禍をはさみ4年ぶりの開催でもあり、既に飲酒を解禁していたこともあり、出席しました。 会場に行くと、 「お、Pochi、頭、どうしたんだ?」 と当然の問い。 「いやあ……実は……カミさんとひと悶着あってね」 「ええっ!」 「……いろいろ、バレちゃって……」 「えええ