猫になりたいわけじゃない【短編小説】
現在中学3年生の戸川晴人は、ベッドの中で悶々と思考を巡らせていた。
晴人には今、片想いの相手がいる。同じクラスの岬夕美だ。
夕美は身長順では常に一番前になる小柄な女子で、垢抜けた派手さは無いが、リスやハムスターのような愛玩動物を思わせる可愛いらしいタイプだ。鼻に掛かった声も相まって、隠れアニヲタである晴人の好みのど真ん中なのだ。
授業中も、隙あらば対角線上の席の夕美を見ているし、家には、ひたすら岬夕美と名前を羅列したノートがある。勉強に集中している時以外は、もうずっと夕