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10秒で読める小説

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100作書けたので、次の目標は150作!ってことでボチボチ書いていきます。
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#童話

【10秒で読める小説】懐かしい味

【10秒で読める小説】懐かしい味

僕は日本で人気カレー店を営む、インド人だ。

「ここのカレーは本場の味なのに、なぜか懐かしいんだよな」
客はみな、不思議そうに言う。

「アリガトウ、ゴユックリ」
と笑顔で言い、僕は厨房に戻った。

日本人である僕の妻が、仕込み用の鍋をかき混ぜながら呟く。
「肉じゃがをリメイクしたカレーが、こんなに流行るとはね」

【10秒で読める小説】空飛ぶ姿は美しい

【10秒で読める小説】空飛ぶ姿は美しい

妻は整形美人だ。
僕は気にしていない。
だが、母親に似ていない娘は、いつか自分の容姿を気にするかもしれない。

「あなたはアヒルの子。でも将来は白鳥になるからね」
妻は娘に言い聞かせている。
娘にも整形を受けさせる気か、と僕は危ぶんだ。

が、成長した娘はパイロットになった。
飛べないアヒルから、大空を飛ぶ白鳥になったのだ。

【10秒で読める小説】老後のお楽しみ

【10秒で読める小説】老後のお楽しみ

アリは老後三千万問題に備えて日々貯金、倹約しています。
一方キリギリスは歌って楽しく暮らしています。

アリ「君も貯金くらいしたら?」
キリギリス「貯金したって目減りするだけさ。それより若い時は自己投資だ。多様性に触れて世界を広げるのさ」

定石通りアリの生き方がうまくいくのか。
それともこの令和の時代
キリギリスの生き方を選ぶべきなのか。

答えは老後のお楽しみ☆彡

【10秒で読める小説】北風と太陽とオカン

【10秒で読める小説】北風と太陽とオカン

「寝坊した!今日試験なのに」
俺は家を飛び出した。
外は風が強く、俺はコートの前をかき寄せた。

大学の講堂に入ると今度は暑い。
汗がダラダラ流れる。
まるで「北風と太陽」だ。
しかし俺は頑としてコートを脱がなかった。

だって、コートの下は、オカンが買ってきたヒヨコ柄のトレーナーだったから。

【10秒で読める小説】辛辣

【10秒で読める小説】辛辣

「三匹のこぶたの教訓は、地震の多い日本では通用しない。
レンガの家は一番ダメだ。
崩れて下敷きになると危ないからね。
木の家はマシだけど安全とはいえない。
その点、藁の家は安全だ。
だから俺たちの愛の巣は藁の家にすべきだね」

「あなたの考えは現代の女性には通用しないわ。
豚と結婚したら?」

【10秒で読める小説】BL白雪姫

【10秒で読める小説】BL白雪姫

娘が、白雪姫の二次創作を考えたらしい。

「毒りんごを食べても、白雪姫はピンピンしていました。
日々の食事に少しずつ毒を混ぜ、耐性を作っていたからです」

いかにも厨ニ病っぽい設定、と私は苦笑した。
「それはそれは…。七人の小人たちも、さぞ喜んだでしょうね」

「いいえ、彼らは白雪姫の毒入りメニューの犠牲になり、すでにこの世には…」
「ひえぇ…」

「でも安心してください。もうすぐ王子様が現れて、

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