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10秒で読める小説

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100作書けたので、次の目標は150作!ってことでボチボチ書いていきます。
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#猫

【10秒で読める小説】懐かしい味

【10秒で読める小説】懐かしい味

僕は日本で人気カレー店を営む、インド人だ。

「ここのカレーは本場の味なのに、なぜか懐かしいんだよな」
客はみな、不思議そうに言う。

「アリガトウ、ゴユックリ」
と笑顔で言い、僕は厨房に戻った。

日本人である僕の妻が、仕込み用の鍋をかき混ぜながら呟く。
「肉じゃがをリメイクしたカレーが、こんなに流行るとはね」

【10秒で読める小説】手玉にとられて?

【10秒で読める小説】手玉にとられて?

うちの猫は私に懐かない。それどころか馬鹿にしている。
今だってキッチン台で毛繕いしている。
登ったらダメだと何度も注意してるのに。

今日こそ思い知らせてやろう。
私は怖い顔で「シャー」と言いながら近づいた。
逃げない猫。さらに近づく私。
その時、チョンと鼻をくっつけて挨拶された。

「き、今日のところは許したげるわ」

【10秒で読める小説】齟齬があった

【10秒で読める小説】齟齬があった

うちの美しい猫は、僕のことが大好きだ。膝で丸まる姿はさながら独占欲の強い恋人だ。

でも今日用意した餌には、どういうわけか口をつけない。僕を見上げて鳴くばかり。
そうだ、猫語翻訳アプリを入れたんだった。
スマホをかざすと、

「下僕よ。いつもよくやってる褒美だ。コレ食っていいぞ」

【10秒で読める小説】味にうるさい

【10秒で読める小説】味にうるさい

猫は一生に一度、人語を話すという。
タマが喋ったのは、唐突だった。
「このメーカーのカリカリ、好きじゃニャいよ。訴えてるのに気付いてくれニャいからさぁ!」
驚きつつも「じゃあ何が好きなの?」と尋ねる。
「ニャーニャー!」

貴重な一回を、好きなものを伝える方で使ってくれたら良かったのに。