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#SF小説
【10秒で読める小説】懐かしい味
僕は日本で人気カレー店を営む、インド人だ。
「ここのカレーは本場の味なのに、なぜか懐かしいんだよな」
客はみな、不思議そうに言う。
「アリガトウ、ゴユックリ」
と笑顔で言い、僕は厨房に戻った。
日本人である僕の妻が、仕込み用の鍋をかき混ぜながら呟く。
「肉じゃがをリメイクしたカレーが、こんなに流行るとはね」
【10秒で読める小説】卒業タイムリープ
6度目の2022年3月19日を迎えた。
卒業したくない、と流した涙はとうに枯れた。
考え抜いた末、私には高校生活でやり残したイベントがあるのだろう、という結論に達した。だから次のステージに行けないのだ。
思い切って告白した。彼に会えなくなるから、卒業が嫌だったのだから。
結果、見事玉砕。でも彼の肩越しに虹が見えた。
これで明日が迎えられる。