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早川沙織からの手紙

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2024年の春。 楠将樹(くすのき・まさき)の通う高校に、早川沙織(はやかわ・さおり)が転校してくる。 沙織は、艶のある黒髪をした美少女だった。 初対面にもかかわらず、なぜか突っ…
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#SF小説

早川沙織からの手紙 #26

水晶の見る夢1  授業が午前で終わった日、バスを乗り継いで、街を見下ろす西の高台に向かっ…

ブルー
1か月前
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早川沙織からの手紙 #25

科学館4  プラネタリウムのホールは、半分ほどの席が埋まっていた。  ぼくらの席は、同心…

ブルー
1か月前
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早川沙織からの手紙 #24

科学館3  展示物が不規則に置かれた広いフロアを、トイレを探して歩く。  案内の矢印を見…

ブルー
1か月前
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早川沙織からの手紙 #23

科学館2  こういうのは、早めにいったほうがいいと思い、チケットを譲ってもらった日の夜に…

ブルー
1か月前
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早川沙織からの手紙 #22

科学館1  放課後、ヨシオに誘われて第一体育館に行った。  ヨシオは、観客席の柵に寄り掛…

ブルー
1か月前
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早川沙織からの手紙 #21

ぼくは、それを一番おそれている5  数学の小テストで勝負することになったのは、夏期講習の…

ブルー
3か月前
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早川沙織からの手紙 #20

ぼくは、それを一番おそれている4  駅前にある、大手予備校に下見に行った。  10階建ての立派なビルで、大きな看板を誇らしげに掲げてある。ぼくも場所は知っていた。  名古屋に本部があるK予備校は、テキストと設備が充実していて、学力や志望によって講座が細分化されている。東大理類数学なんていう、名前を聞いただけで背筋が伸びそうな講座もある。合格実績で、毎年1位を取り続けている。  同じ駅前には、いま勢いのあるT予備校もある。こちらは東京に本部があって歴史は浅いが、有名講師が多数

早川沙織からの手紙 #19

ぼくは、それを一番おそれている3  日が変われば、沙織の機嫌が直ると思ったのは、ぼくの甘…

ブルー
3か月前
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早川沙織からの手紙 #18

ぼくは、それを一番おそれている2  女子のダンス動画を撮るから手伝ってくれとヨシオにいわ…

ブルー
3か月前
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早川沙織からの手紙 #17

ぼくは、それを一番おそれている1  昼休憩のヤガミ少尉の部屋で、ぼくらは音楽を聴いていた…

ブルー
3か月前
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早川沙織からの手紙 #16

沙織ふたたび4  カフェを出ても、沙織とナオミは、空白の時間を取り戻すみたいにしゃべりっ…

ブルー
3か月前
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早川沙織からの手紙 #15

沙織ふたたび3  土曜日の昼下がり、センター街の時計広場に到着すると、すでに沙織の姿があ…

ブルー
3か月前
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早川沙織からの手紙 #14

沙織ふたたび2  翌日、沙織はケロッとしてた。  ヤガミ少尉の部屋で、肘掛け付きの木製の…

ブルー
3か月前
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早川沙織からの手紙 #13

沙織ふたたび1  廊下で、沙織が木嶋と親しそうにしゃべっているのを見かけた。  ぼくは、(へー、意外な組み合わせだな)と思った。  たまに3組の教室を見ることがあるけど、沙織が小田桐ヒナ以外の女子といるのをはじめて見た気がする。  木嶋は明るい髪をしてるし、ネクタイを緩めて、スカートもかなり短い。6月に入って衣替えの時期だけど、制服の着こなしからして対極的なふたりだ。  ぼくは、沙織に近寄って声をかけた。 「なに話してたんだ、木嶋と」 「面白い人ね、彼女。陽気というか、畳み