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カール・マルクス、フリードリヒ・エンゲルス著『共産党宣言』に見る資本主義の今後

突然ですが、『共産党宣言』を読んだことありますか?私はずっと前に読んだような記憶があります。
読み物としてはボリュームが少ないので、是非読んでみてください。

ちなみに私は共産主義者ではありません。

その中に、こんな文章があります。

昔ながらの古めかしい固定観念や意見を拠りどころにしている一定不変の凍りついた関係は一掃され、新たに形作られる物もすべて固まる前に時代遅れになる。固体は溶けて消滅し、神聖は汚され、人間はついに、人生と他者との関係の実相を、理性的な五感で受け止めざるを得なくなる。生産物を売るための市場を絶えず拡大する必要に迫られて、ブルジョアは地球上をせわしなく駆けめぐる。あらゆる場所で家庭を作り、定住し、つながりを結ぶ。ブルジョアの世界市場開拓によって、生産物と各国での消費には、全世界共通の特徴が備わる。反動主義者は無念だろうが、それは、産業の拠って立つ国家の基盤から生じたものである。古くから確立していたその国に固有の産業は、とうに滅ぼされたか、あるいは徐々に滅ぼされようとしている。そうした産業を駆逐した新しい産業の導入が、すべての文明国の死活を左右する。新しい産業では、国産の原料ではなく、遠隔地の原料を加工する。生産物は国内で消費されるのではなく、地球のあらゆる場所で消費される。昔はさまざまな欲求を国内生産だけで満たしていたが、いまは遠い国や地方の生産物によって欲求を満たすことが求められる。かつては地方や国が閉じこもって自給自足していたが、いまはあらゆる方面と交流し、世界各国が相互に依存している。物質ばかりではなく、知的生産面の面でも同じである。一つの国の知的創造が、共通の財産になる。国家が偏向した狭い考えを持つことは、いよいよ難しくなり、無数の国や地方の文芸から、一つの世界文芸が生まれる。生産のためのあらゆる道具が急激に改良され、交通手段が飛躍的に便利になると、ブルジョアは極めて未開に近い国までひっくるめて、あらゆる国を文明社会に取り込もうとする。商品価格の安さは、万里の長城をも打ち壊すことのできる巨大な大砲に匹敵する威力がある。外国人を毛嫌いしている非文明人すら降伏するだろう。絶滅を避けようとするなら、どの国もブルジョアの生産方式に合わさざるをえない。いわゆる文明を取り込むことを余儀なくされる。つまり、自分たちもブルジョアにならざるをえない。ひとことでいうなら、ブルジョアは世界を自分の姿そのままに作り変える。

カール・マルクス, フリードリヒ・エンゲルス. 共産党宣言
初版発行: 1848年2月21日

これ読んでみて、どのように思いますか?特に太字のところ。
まさに今の社会を見事に言い当てていることに私は鳥肌が立ちました。

しかし、『資本論』においては資本主義は自滅すると記述されています。

たしかに、現在は富裕層が増えており、行き過ぎた格差や経済の発展による環境問題など、社会を根本から揺るがしかねない状況です。アメリカの様子を見ていると本当に自滅するのではないかと思います。

資本主義は果たしてこのままであり続けるのでしょうか?
一方で、マルクスが予見できなかったことは情報革命です。実はマルクスが言う社会革命の一つである階層の打破は成し遂げられていると考えられるかもしれません。

というのも、情報革命によって資本の価値は下がり、誰でも資本家になれるかもしれないエンパワメントが促進されたからです。

いつの時代も(それこそ中世ヨーロッパなど)、階層間の対立は問題となり、革命などによって社会は変わっていきました。それが近代です。

とすれば、情報社会によってさまざまな力を個人が持てるようになった現代は、今までよりも最も人々にとって平等な時代と言える側面もあります。
今後も従来の産業社会型資本主義は終わりに近づけど、高度情報社会型資本主義はしばらく続くのではないかと思います。その先はどんな社会になるでしょうか?

緩やかで平和に社会が変わっていってもらうことを願っています。

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