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日本式プラットフォームの限界

どうも、タジです。

前回、私が現在新規事業に取り組んで挫折真っ最中であること、そして「子どもにはゼロイチの能力を身につけさせたい」という思いを強くしたという話をしました。

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そんなことない!

むしろ現代人の必須スキルだと思っています。
なぜなら、日本式プラットフォームは必ず崩壊するから。

経営難だったUSJをV字回復させたことでも有名なマーケター森岡毅さんは、次のように語っています。

かつての日本のいいところは、普通の人が、普通に頑張れば、普通に豊かに暮らしていけたことです。
(中略)
しかし、これからは、どんどん二極化が進んで、超二極化していくと思います。普通の人が大して稼げなくなるおそれがあります。
なぜならば、日本のパイ自体が相対的に小さくなって、日本の中で1人当たりのパイを食い合う時代になるからです。
引用|NewsPicks(2019/4/30記事)

本記事では、日本式プラットフォーム崩壊の理由を「高齢化」「少子化」「現状維持体質」「テクノロジーの進化」の4つの視点から解説していきます。

長文になりますが、ご自身やお子さんの未来に不安を感じている人、ずっと日本に住み続けていたい人はぜひ最後までお付き合いください。

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いまの年金や社会システムは80歳までの暮らしを想定してつくられています。しかし医療技術の発展や衛生環境の改善により、100歳まで生きられるようになってきました。

少子化の影響で年金の受給開始年齢はさらに引き上げられ、給付額も減額される未来が予想されます。
また、2025年には1.2人の現役世代がひとりの高齢者を支える構造になることから、後期高齢者の医療費負担割合の引き上げが議論されており、老後の医療費自己負担額が増えることは不可避でしょう。

国内最大のクラウド診療支援システムを手がける株式会社メドレー代表取締役医師の豊田剛一郎さんも次のように話しています。

近い将来、日本は医療費の予算を組めなくなり、医療システムが破綻してしまう、という議論があるのをご存じでしょうか。
(中略)
全世代型保障で高齢者の負担を2割にする話も出ていますが、今後、団塊の世代がすべて75歳以上となる2025年には、国民の5人に1人が後期高齢者となります。
健康保険組合連合会によれば、2025年度には医療費は総額約58兆円となる見通しであり、このまま国民皆保険制度を維持できるのか、多くの人が懐疑的です。
引用|NewsPicks(2019/12/18記事)

2019年には金融庁が公表した「老後2,000万円問題」が話題になりましたね。

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は、もう夢物語。

人々が長生きできることは良いニュースなのですが、持っているお金以上に長生きするかもしれないことは悪いニュースなのです。

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このように現実を直視すると、いま現在、将来のために貯金や投資にお金を回すことができていない人はかなりマズい。
むしろ投資をしていない人も黄色信号だと私は思います。

なぜなら貯金では資産は増えないから。

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ご覧のように、三菱UFJ銀行の普通預金金利は年0.001%です(記事執筆時点)。

利率の良い定期を組んだとしても0.002%ですから、1,000万円預けていても1年でたったの200円しか増えません(そのうえ税金が引かれます)。

さらに最近では口座維持手数料を導入する動きもあります。
三菱UFJ銀行も休眠口座に対し年1,200円(税別)の手数料を検討しているそうですので、仮にまとまったお金が遺産などで入ってきて、それを銀行に預けっぱなしにしていると、金利で増えるどころか手数料でマイナスになっていることも十分にありえるのです。

これに対し投資であればインデックスファンドの投資信託に預けるだけでも年利4.0%は固いです。
私は複数のファンドに投資していますが、ほったらかしで年利5.0~7.0%くらいのリターンが出ています。

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と、未経験者は考えがちですが、ちゃんと勉強すればリスクはかなり減らすことができます。

そもそもなぜ銀行に預けるとお金が増えるのか考えたことがありますか?
それは、銀行も結局のところ投資で増やしているのです。

投資が本当にギャンブルならば、銀行がそんなに危ない橋を渡って私たちから集めた資産を運用するでしょうか?

そんなことない!
銀行は堅実に投資でリターンを得ているのです。

その投資に対する私たちへの分け前が0.001%だという話で、

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と気づいた人は、みんな自分で投資をしています。
昔は「貯金しろ!」と言っていた政府も、いまではiDeCoやNISAなど非課税枠を用意して投資を斡旋しているくらいです。

それでもなお、

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と言う人もいるでしょう。
では、これはご存知ですか?

老後に必要となる2,000万円を頑張って貯金したとしても、その銀行が経営破綻したら1,000万円を超える預金は100%補償されるわけではないということを。

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これに対し投資資金は、証券会社が経営破綻したとしても購入した株式や債券がなくなるわけではないので、何十億円運用していようが安全に保護されます。

つまり、銀行は貯金箱としての機能すら満足に果たせてはいないのです。

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これまでの歴史を振り返ると、確かにそうだったかもしれません。

しかし、2016年にはじまったマイナス金利政策により銀行は日銀への預金で資産を増やすことができなくなり、預金に回していた資金を企業への貸付に回すようになりました。

理想的な融資先に理想的な融資が実行できる話などかんたんには見つかりませんし、地方銀行は人口動態(高齢化や若者の都市部への流出など)から少ない融資先の取り合いになっています。

さらにここに来てコロナ不況による融資先の経営不振。
倒産による回収不能のリスクまで背負っています。

極めつけに、菅首相の「地方銀行多すぎる」発言、GoogleやAmazonといった巨大企業の銀行業参入報道…。

逆風はやむどころか増し続けているのに、それでも「銀行に預けていれば安心」だと言える根拠はどこにあるのでしょうか?

私の住んでいる青森県でも地銀統合の話が出ています。

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うーん、中々しぶといですね。

そこまで貯金が大好きなら、このニュースはご存知ですか?

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私も普段づかいしているKyashが、デジタルバンキングにお金を預けておくだけで1%の残高利息が付くというサービスを開始すると発表しました。

あいにく「想定を上回る反響で混乱が生じる恐れがある」という理由から、直前になってサービスリリースの一旦中止が発表されましたが、こういう情報を敏感にキャッチしていることが大事なのです。

同じ「銀行にお金を預ける」という行為でも、金利の差は大手銀行普通預金の1000倍!
仮に1,000万円預けていれば1年で10万円も利息がつきます(預け入れ金額に上限がある可能性がありますが)。

とにかくゼロイチの能力を身につけるためには、自分の頭の中にある常識を疑い、脳を働かせることが重要です。
思考停止のクセが付いていては、いつまでのプラットフォームから抜け出すことはできません。

ちなみにアメリカ人は日本人にくらべ非常に投資意識が高いです。

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上のグラフはロボアドバイザーが全自動で世界分散投資を行ってくれるWealthNaviのIPO資料からの引用になりますが、創業者の柴山和久さんは同資料で次のように語っています。

あるとき、アメリカ人である妻の両親と、日本人である私の両親には、退職後の資産に10倍もの差があることを知りました。
アメリカ人の妻の両親は若いときから20年以上、専門のアドバイザーに資産運用を任せ、「長期・積立・分散」による資産運用を続けてきた結果、富裕層の仲間入りをしました。その一方で、日本人である私の両親の金融資産はほとんどが預金でした。
引用|ウェルスナビ株式会社『目論見書』

そして、この日本人貯金大好きマインドは、そもそも国策でつくり上げられた思想だということをご存知でしょうか?

戦争に勝つために国民はせっせと貯金せよ
当時の政府のこのプロパガンダのせいで日本人は投資から遠ざかってしまったのです
引用|『インベスターZ』第22話

くわしくは『インベスターZ』著者、三田紀房さんの公式サイトに掲載されていますが、そもそも日本人は投資が大好きで実はとても上手だったそうです。

戦争の資金調達のため強制的に切り替えられた貯金マインドが、いまもなお怨念のように根付いていると思うと、くやしくないですか?
その一方で、戦勝国のアメリカ人は投資で資産を増やしています…。

さらに、下のグラフはNPOカウフマン財団がまとめたアメリカの起業家に関する報告書からの引用です。

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アメリカでは新規で起業する人の年齢が高まっているということが分かりますでしょうか?

起業家=意識高い系の若者というイメージは過去の話。
2017年では55-64歳が最も多く起業しているというのは驚きの事実です。
日本人だと定年に備えて仕事のペースをゆるめてもおかしくない年齢ですよね。

平均寿命の伸びや年金受給年齢の引き上げは、日本に限った話ではないのです。
アメリカ人のこの変化は、プラットフォームを疑い、自分の身を自分で守ろうとする動きに他なりません。
70歳になってもコンビニでこき使われて「こんなはずじゃなかった…」と後悔したくはありませんからね。

投資マインドを持ち、何歳になろうともゼロイチの世界にチャレンジしようとするアメリカ人から、保守的な日本人は多くを学ばなければならないのです。

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高齢化とセットで考えられることが多い少子化ですが、もっとも影響を受けるプラットフォームは教育です。

まず、少子化は学力レベルの低下を招いています。
特に高等教育機関でその傾向は顕著。

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大学がコモディティ化し日本式プラットフォームに組み込まれたために、こんな安直な理由で進学する若者が量産されました。

将来への展望もなく大学に進学した結果、

・時間ギリギリに教室に入るか、少し遅刻する
・一番前の席には座らない
・授業中は発言しない
・自発的な挙手はありえない
・居眠りをする
・友だちに出席を頼む
・休講に大よろこび
・マンガ以外の本は読まない
・勉強というより部活をしに来ている
・卒業単位キッチリしか履修しない

こんな学生であふれているのが現状です。

アメリカのサンダーバード国際経営大学院に進学し、卒業後日本マイクロソフト、Stripe日本法人へとジョブホッピングした徳永康彦さんは、留学生活をこう振り返ります。

過酷だったのは、プログラム中に求められる尋常ではない勉強量。課題本を読む範囲も、たとえ日本語だったとしても間に合わないほど膨大だった。
「なんとかするしかない」
そう自分にいい聞かせ、いかに取捨選択をして生き延びるか、常に危機感と戦っていた。しかも課題をこなすだけでなく、授業では積極的な挙手と発言が求められる。さもなければ点数を下げられ、卒業も難しくなるからだ。
引用|Forbes(2020/12/15記事)

この勉強量と積極性評価はアメリカの大学全般にいえることなのですが、それにくらべ日本の大学生はなんと平和ボケしていることか…。

でも昔は違いました。

大学職員として働いていたときに開学期の卒業生とお話しする機会が多くありましたが、いまの学生とくらべて明らかに熱量の差を感じたことが強く印象に残っています。
当時は学生運動が盛んだったこともあり、

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と、本気で思って大学に通っていたのです。

いつから日本の学生たちは変わってしまったのでしょう?

私自身、本当に何も考えずに大学に通っていました。
いまにして思えば、なんともったいないことだったか…。
大学に進学するのが当然で、「なぜ大学に進学したいのか?」と自問することは一度たりともありませんでした。

さらに問題なのは、そんな学生に対して大学が敷居を下げていることです。
これも少子化とプラットフォーム文化が背景にあります。

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※私立大学のケース

受験マンガ『ドラゴン桜2』で、底辺高校だった龍山学園を復活させた伝説の弁護士桜木建二が、次のように話しています。

世界に類のない若者の新規一括採用が日本社会の核となっている
この新規一括採用を円滑に進めるためには生徒学生を同じ条件で揃えなくてはならない
その条件とは新年度を前に全員卒業することだ
全員卒業全員就職が社会の要請であれば人材を供給する教育機関は全員一斉に送り出さざるを得ない
引用|『ドラゴン桜2』26限目

このようにプラットフォーム文化が生み出す強烈な社会からのプレッシャーと、定員を充足しないと国の補助金という生命線が断たれる恐怖から、日本の多くの私立大学はまともに評価選別できる状況にないのです。

教育レベルの低下は国公立大学も例外ではありません。

原因は18歳人口が減少しているにも関わらず募集定員を減らさないから。
これでは相対的に競争率が低下し学生の質が低下するのは当然です。

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過去には世界ランキングトップ10に入っていたこともあるとう東京大学も、この低調ぶり。

エンジェル投資家で京都大学客員准教授を勤められていた故・瀧本哲史さんも次のように話しています。

ここ10年間で、人口減少の影響が非常に大きく、学生のレベルが間違いなく落ちました。
引用|NewsPicks(2019/6/1記事)

一部では募集定員縮小の動きが見られますが、それも医学部や教育学部などの出口(職業)が限定される学部だけですね。

もっと留学生が増えてくれれば競争率も回復するのですが、日本語の障壁があまりにも高いため期待できません。

すなわち、このまま日本式プラットフォームに身を任せ大学進学の道を選んでいては、4年間という貴重な時間と1,000万円近くの大学費用(生活費含む)を無駄にする可能性が高いです。

ところが、ゼロイチの能力があればステータスを得るために大学に進学する必要がありません。
実際にビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズ、マーク・ザッカーバーグを代表するように、アメリカでは大学を卒業しないで成功している起業家も多くいます。

日本でもZOZO創業者の前澤友作さんは高卒ですし、CAMPFIRE創業者の家入一真さんは中卒です(経歴としては高卒認定ですが本人は中卒と公言しています)。

同じく中卒で、2020年7月にマザーズ上場を果たしたサンアスタリスクCEOの小林泰平さんは、早稲田実業高校を中退した理由について次のように話しています。

高校は無意味だから辞めて、ふつうにホームレスやっていただけですよ。
ルールで決められていないのに、みんなと同じ見た目があたりまえだとされる学校生活。そのことが次第に怖くなっていった。
今思うと、思考停止を迫られる高校生活から抜け出したかったんでしょうね。
引用|PRESIDENT Online(2020/11/25記事)

極論、

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なのですが、それだと物議をかもすので少しだけフォローすると、専門職や研究職に就く以外に大学の優位性を挙げるとすれば、それは多様性です。

前出した瀧本さんが生前に東京大学で行った伝説の講義を収録した著書『2020年6月30日にまたここで会おう』で、次のように語っています。

みなさんが通っている大学というのは、本来、異質な者同士を結びつける機能を持った場所なんですよ。
大学というのは、いろんなバックグラウンドの人が集まって、その人たちが自由気ままに研究を進めるなかで刺激を与え合うことで、新しい知を生み出す場所であり、「ユニバシティ」というのは、多様な知恵や人材が一つに結びつく理想の場のことなんですね。
しかし残念ながら、東大も京大もダイバーシティはそんなに高くなくて、似たような経歴と年齢の日本人ばっかなんですけど(苦笑)。
引用|『2020年6月30日にまたここで会おう』

ところが、そんな多様性も瀧本さんが危惧しているように日本では失われています。

算数専門のタブレット教材を提供するRISUJapan共同創業者の加藤エルテス聡志さんも

「いろんなユニークな人にシステマティックに会えるところにいこう。」
と、東大の中でも最も進路が分散している教養学部に決めました。
(中略)
実際に東大に入学してみて気付いたのは、思っていた以上に「マジメで画一的な人ばかり」ということでした。
みんないわゆるガリ勉で、勉強以外のことはほとんどしてこなかったような人ばかり。
正直、全然面白くないなーと。
引用|NOW OR NEVER(2015/3/28記事)

と、瀧本さんと同じような印象を抱かれたようです。

特に近年、地方大学はその傾向が顕著で、私が勤めていた大学でも年々地元率が高くなっていました。

その理由として考えられるのは、出生数低下で地元思考(子どもの思考というより親心)の傾向が強くなったこと、大学のコモディティ化で経済的理由から実家通いが増えたことなど。

このように日本のプラットフォームに組み込まれている高等教育は、「優秀な学生に高等教育の機会を与える場」という点でも「多様性の場」という点でも、すでに崩壊しているのです。

私は進学する必然性を説得できないかぎり、子どもを日本の大学に進学させようとは思いません。
海外の大学なら多様性の面でありですけどね。

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日本社会には現状維持体質が染み込んでいます。
これもやはり日本式プラットフォームに絶大な信頼を寄せているがゆえのことでしょう。

変化をしないことはとても楽ですが、現状維持は退化のはじまりともいい、経済の発展を鈍化させ、私たちの暮らしが豊かになる機会をうばうのです。

日本社会に現状維持体質がまん延しているのには、「ことなかれ主義」と「既得権」のふたつの力が働いています。

ひとつ目の「ことなかれ主義」は、変えるのがめんどうだとか、変えることで失敗したときの責任を負いたくないという心理から、結局現状維持を選ぶ人が多いということです。

みんなで相談して決める…
この日本の美徳は責任逃れの裏返しでもあるんだ
リーダーが一人で決めたわけではないから失敗しても自分のせいじゃない
責任は平等になる
すると経営責任者は任期中はなるべく穏便に済ませたいと思うようになる
心の中はなんとか問題なくやり過ごしたいってことだけ…
日本企業の体質が弱くなっている最大の原因は
こんなサラリーマン社長がどんどん増殖してることにあるのさ
引用|『インベスターZ』第45話
「市販のネジでいいのでは?」とは国も大企業もとても怖くて言えない
もし市販のネジで失敗したら誰が責任を取るのか…
そこに明確な対応策が見つからない
だったらはじめから試さないほうがいい
だから…失敗を極度に恐れる
互いの顔色をうかがって自主規制を重ね慎重に進める
そのぶんコストと時間がかかっているのさ
引用|『インベスターZ』第48話

それぞれ『インベスターZ』より、主人公が所属する道塾学園投資部の先輩月浜蓮と、OBでロケット開発を行っているベンチャー企業社長リッチーさんのセリフから引用しました。

私が勤めていた大学もかなりの公務員体質だったので、似たようなものでした。
仕事をしていても

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っていわれることがめちゃくちゃ多くて、

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と言ってくれる上司は、残念ながら少なかった印象です。

会議にも無駄にたくさん人を呼んで、いかにも責任を分散している感じでした。

日本の公立小中学校はいまだに多くが学区制を採用していて、基本的に学校を自由に選べません。
これが学校独自の教育改革を阻む根源です。

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なぜなら保護者は子どもを通わせる学校を選ぶことができないので、学校ごとに特色があっては不公平感が生じるからです。

しかし学校が選択制だったらどうでしょう?

プログラミングや英語教育に力を入れている学校に人気が集まるかもしれませんし、ギフテッド(天才)プログラムを提供する小学校が日本にもできれば、全国から優秀な子ども達が集まってくるはずです。

逆に、こんな学校に私は子どもを預けたいと思いません。

福岡県弁護士会は22日、福岡市内の全市立中学校に実施した校則調査の内容を明らかにした。8割以上の学校に下着の色規制があり、大半の学校で頭髪や眉毛に関する校則があった。
(中略)
違反者には「整髪料は発見次第、洗髪させる」「眉が生えそろうまで書くこともある」「下着を学校で脱がせる」などの記載もあった。下着は白と決めている学校が目立った。頭の側面を刈り上げ、頭頂部を長めに残すツーブロックは禁止など、それ自体に合理性がないものもあった。
引用|毎日新聞(2020/12/22記事)

このニュースを見て、私が中学校に入る直前に「男子は全員坊主」という校則がなくなったことを思い出しました。
あれから20年以上も経っているというのに、まだこんな意味不明なルールが残っていることに驚きを隠せません。

いつまで軍事教育の延長線上にいるつもりなのか…。
時代遅れにもほどがあります。

このように学校選択の自由度が高いと小学校の評価が見える化し、より学校は選んでもらうために改革に励むという好循環が生まれるのです。

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と考えた人は、日本式プラットフォーム脳に陥ってしまっている証拠。

そもそも小学生がひとりで登校できるのは日本の奇跡的治安ありきで成り立っていて、海外では小学校でもスクールバスや家庭での送迎が当たり前。
子どもの安全を思えば、日本もこれに倣うべきなのです。

また、公立学校の先生は数年で異動するため学校独自の特色が出しづらいという問題もあります。

最大権力を持つ校長先生にしても定年間際に就任することが多く、現場を知る友人の言葉を借りれば「最後の思い出に校長先生をしている人がほとんど」だそうです。

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「校長先生になる」ことが手段ではなくゴールになっているのですから、イノベーショが起きるはずもありません。

その一方で、こんな良い例もあります。

2005年までさかのぼりますが、神奈川県に新設された横浜市立東山田中学校の初代校長に、三木谷浩史さんとともに楽天を創業し取締役副社長まで務めた本城慎之介さんが公募で採用されたのです。
なんとそのときの年齢は若干32歳。国内公立学校の校長として最年少の民間校長誕生の瞬間でした。

本城さんの赴任中に学級委員長を務め、後にマザーズ史上最年少で上場を果たしたサイバーセキュリティクラウドの大野暉さんは、当時の様子を次のように語っています。

これまでに見たことのない世界の大人が、目の前に現れた。
企業に就職するのではなく、事業をつくり世の中に価値を生み出す経営者という生き方があるということを初めて知り、大いに影響を受けた。
「人としての厚みが違う」と感じた。
引用|Forbes(2020/6/18記事)

もし横浜市が「ことなかれ主義」の思考停止で通常の候補者から校長先生を選んでいたら、山田中学校はどこにでもある普通の学校だったでしょうし、大野さんの人生にここまでの影響を与えることはなかったでしょう。

ちなみにその後、本城さんは修学旅行引率中の飲酒が原因で辞職。
民間校長という革新的なことを行っておきながら、ここでもまたしょうもないルールが残っていたものです。

そして教育の現場をいくつか経験し、現在は軽井沢に幼小中一貫の学校を創設されています。

一般的な公教育とは一線を画す魅力的なカリキュラムを提供しているところがさすがですね。

ちなみに軽井沢には全寮制インターナショナルスクールISAKもあるので、教育環境としてはとても魅力的なエリア。

こういった特徴的な学校がもっと全国的に増えてほしいと願ってやみません。

さて、「ことなかれ主義」といえばこんなエピソードがあります。
それは私が実際にサッカー評論家セルジオ越後さんの講演会で聴いた話です。

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こんな感じのことを話されていたのが、とても印象的でした。

野球の強豪校だと部員数は100名を超えるところもありますが、ベンチに入れるのはせいぜい20人とかですよね。
補欠人員を考慮したってB・Cチームをつくることは可能ですし、そのレベルとちょうどよい対戦相手だって必ずいるはずです。

小中学校では少子化の影響で特に団体競技の部員確保が困難で、学区制ゆえに競技の継続を断念する子もいます。

さらには教員のブラック部活動問題。
拘束時間が長く、時間外や残業手当も出ない。
その上、自分の専門外で指導ができないケースも多く、指導者はOBや保護者のボランティアだのみ。
その人たちも別に指導者としての特別な教育を受けているわけではなく、経験則で教えているにすぎません。

考えれば問題ばかりなのに、長年「ことなかれ主義」をつらぬかれてきた部活動。
そして、それが当たり前だと思ってしまっている私たち…。
どちらも問題です。

欧米ではスポーツがしたければクラブチームに加入するのが一般的で、能力別にクラス分けされているため豊富に試合経験を積むことができます。

日本人は部活動のボランティア指導もそうですが、無料のサービスを期待しすぎる傾向にあるようです。

超合理主義で急成長したシンガポールに移住されたファイナンシャル・プランナーの花輪陽子さんは次のように話しています。

日本の顧客もサービスに対してお金を支払うという海外では当たり前の常識を理解する必要があると思います。
(中略)
それにより掃除や配達や飲食店に仕事を与えているので経済は回りやすくなります。
引用|『シンガポールで見た日本の未来理想図』

やりたい人はお金を払って参加する。
クラブチーム運営という産業が全国に生まれる(雇用も生まれる)。
指導者は実績を出さないと自分たちの生活が危ないので勉強をおしまない。
よいクラブチームと指導者が増えることで、競技レベルも上がる。

これが健全な姿だと思います。

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日本社会に現状維持体質がまん延しているふたつ目の理由、「既得権益」は相当やっかいなシロモノです!

「ことなかれ主義」は

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という、まぁ十分イラッとはしますがかわいいものでした。

しかし「既得権益」は

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という、新興勢力を押さえつける敵意があるものなのです。

元経済産業省官僚で政府の規制改革委員や、大阪府市の特別顧問を務める原英史さんは次のように話しています。

最初規制をつくったときにはまだそこそこ意味があったんだけども、「いまや意味がなくなっちゃいましたよね」というような話もすごい多くて、大体その規制を一回つくっちゃうと利権がへばりつくんですよ。
規制によって守られる人たちが出てきちゃって。
「いまの時代の社会環境とか技術とかを前提としたらそんなもんいらないでしょ」というような規制が残っちゃうってのは大量にあります。
引用|HORIE ONE(2020/11/9放送)

規制やルールというものは「既得権益」を守る強力なツールです。

ソフトバンクの孫正義さんも、このように言っています。

日本における規制とは、新規参入を妨げることだった。アメリカにおける規制とは、独占企業を制限して、新規参入組にチャンスを与えることなのに
引用|『志高く』

NTTという超巨大組織を守るためにはびこる規制と戦った逸話は、読んでいるこちらもイライラとさせられるものでした。

それに比べアメリカは、GoogleやAppleを反トラスト法(独占禁止法)違反で訴えるなど、確かに既得権益を解体し新陳代謝を促す風土がありますよね。

既得権者は他にもさまざまな手段を用いては、新しいアイディアを抑え込もうとしてきます。

みなさんが世界を変えようとするとき、自分の夢をかなえようとするとき、周囲の大人たちが応援してくれると思ったら大間違いです。大人たちが応援するのは、自分の地位を脅かさない若者だけ。「世界を変えない若者」だけです。大人たちからすれば、みなさんの手で世界を変えられることは、大迷惑なのです。
引用|『ミライの授業』

この本は、何度も登場しています瀧本さんが各地の中学校で行った14歳のための特別講義のエッセンスを集めたものですが、これを聴いた子ども達はショックを受けたことでしょう。

しかし、これが日本社会にはびこる現状維持体質の正体なのです。

ここからは私の妄想も含まれますが…、

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すみません、調子に乗りました…。

ぜんぶ規制しているわけでは当然なく、あくまで既得権のイメージとして捉えていただければ幸いなのですが、そういうことなんです。

NHKの受信料問題なんてまさに典型。

ネットフリックスが税込み880円で映画見放題のサービスを提供しているのに、NHKの受信料は月額1,225円(口座・クレジット払いの場合)。

公共放送を主張していますが、選挙放送・災害情報はまだしもドラマは無理があります。

2019年度の受信料収入は約7300億円、利益は約220億円です。
(中略)
「内部留保」に当たる繰越剰余金が1280億円も積み上がっています。剰余金全体を見ると、連結決算で建設積立基金と子会社の剰余金を含めれば、3700億円くらいあるわけです。
(中略)
これだけの利益を出しているのに、受信料の値下げをぐずぐず言っているってこと自体が、国民に対して常識がないですよ。
引用|ダイヤモンド・オンライン(2020/12/17記事)

会計事務所で働いていたことがある友人は、NHKの受信料を取り立てる訪問員の確定申告をした際に年収が700万円もあって驚いたと言っていました。

本当に公益放送が必要なら納税方式にし、訪問員の人件費を削減、公益性のない放送を廃止し制作費用を削減するなどすれば、受信料はかなり下げられるはずです。

でも、しない!
なぜなら既得権を守りたいから。

NHKをぶっ壊すためにわざわざ政党をつくっちゃう人がいても変わらないくらいですからね。

政界も既得権者であふれ返り、橋下徹元大阪府知事のような新興勢力はつぶされます。

「アメリカはルールをつくる国、日本はルールを守る国」と言われることがありますが、このまま既得権者の権利がいつまでも守られ続けるのであれば、日本社会に発展はありません。
当然ながら、昔つくった人に都合よくできている日本式プラットフォームも、時代に合わなくなり崩壊の一途をたどるのです。

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インターネットの誕生は社会の変化を急速に加速させました。
様々なテクノロジーが生まれ、手軽に世界中の情報・サービスにアクセスできるようになったのです。

しかし、日本式プラットフォームはこの変化に乗り遅れています。
特に最近のコロナ対応でそれが露呈しました。

たとえば医療機関から保健所、保健所から自治体へのコロナの報告はFAXで行われ、これが医師や看護師の負担を増幅させていると問題になりましたが、先進国でいまだにFAXを使っているのは日本だけだと言われています。

在宅ワークを導入しても、結局ハンコ決済のために出勤しなくてはならないというありさま。

特定給付金の申請はマイナンバーカードを所持していなければオンライン申請ができず、そのマイナンバーカードの申請もまた、手続きが煩雑で普及率が伸びていません。

一方でシンガポールやエストニアではほとんどの行政手続きがアプリ上で完結します。
中国でもWeChatなどのアプリで行政手続きができる都市が拡大中。

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日本も技術的にできないはずがないのですが、ここでも「現状維持体質」がブレーキをかけているのです。

印鑑は紛失リスクもありますし、どこででも買えるのであまり意味がないと思います。習慣的にやっているけれども意味のないところをやめていき、世界標準に合わせていかないと今日のビジネスのスピードに追いつかないのではないでしょうか。
引用|『シンガポールで見た日本の未来理想図』

領収書や契約書だって未だに紙がほとんど。
電子化すれば印紙代だって節約できるのに、とにかく紙+ハンコがないと安心できない人種なのです。

DX(デジタル・トランスフォーメーション)には、高齢者にやさしくない側面もあるので、行政や医療サービスで遅れが生じるのは100歩ゆずって理解できますが、それだけでは説明できない物も多くあります。

私がより時代遅れで深刻だと思っているのは教育のプラットフォームです。

コロナのパンデミックによって日本でも急速にオンライン学習が普及しましたが、このEdTech(教育のデジタル化)の動きはアメリカでは2012年からMOOCと呼ばれる形で始まっていました。

インターネットと教育は非常に相性が良く、EdTechには公教育にくらべ次のような優位性があります。

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2013年にモンゴルに住む16歳の少年がMOOCで優秀な成績を修め、学費免除の特待生でMIT(マサチューセッツ工科大学)に進学したというニュースが話題になりました。
EdTechが国境を越えて少年とMITをつなぎ合わせたのです。

これこそがテクノロジーのなせる技。

ところが、日本でこれを真似しようと思ってもできません。

なぜなら日本の教育に飛び級制度がないから。
どんなに優秀な子どもでも、16歳で大学に進学することはできないのです。

孫正義財団の財団生でIQ154の頭脳を持つ中森萌さんのお母さんはインタビューで次のように応えています。

中森にとっては、頭に浮かんだ回答やアイディアを喋りたくてたまらない。しかし挙手をしても、なかなか先生に当ててもらえない。
「先生たちの気持ちもよく分かるんです。なぜなら当ててしまうと、ずっと喋り続けますから」
これから自分のレベルに合わない公教育の授業に、つまらない気持ちを我慢して参加しなくてはいけないのか。この子がもつ才能は、それでは勿体無いのではないか。
思案した末、インターナショナルスクールで英語による教育を1年間受けた後、カナダにある小学校で「ギフテッドプログラム」を受けることを決意した。
引用|NewsPicks(2018/5/15記事)

孫正義財団はこのような才能に恵まれた子ども達を経済的に支援し、積極的に海外に送り出しているのですが、それもこれも日本式教育プラットフォームに限界を感じているからです。

このような教育機会を与えられた子どもの中には、そのまま海外の大学に進学し、就職し、そのまま帰ってこないケースもあるでしょう。
でもそれって日本にとっては大きな損失だと思います。

すでにEdTechが学習ペースの足並みを崩しているというのに、いつまでも年齢と学年を一致させ続ける必要性がどこにあるのでしょうか?
先に述べた学区制の見直しとともに、もっと個々の学習レベルに合わせて柔軟に教育環境を変えられるような仕組みにするべきです。

そして日本で生まれた天才児が日本で育ち、日本社会に貢献できる人材になるよう支援した方が、よっぽど国益になると思うんですが…。

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また、インプット重視の詰め込み教育も問題です。
アメリカの大学では授業中に発言しないだけでも評価を落とすということを話しましたが、非常にアウトプットが重視されています。

なぜアウトプットが大事なのか。
それにはふたつの理由があります。

ひとつ目は、「記憶の定着が早い」ということ。

人間の脳は、「重要な情報」を長期記憶として残し、「重要でない情報」は忘れるようにつくられています。「重要な情報」とは、インプットしたあとに何度も「使われる情報」です。
つまり、インプットしても、その情報を何度も使わないと、すぐに忘れてしまうのです。
引用|『学びを結果に変えるアウトプット大全』

「何度も使う」=アウトプットのことで、具体的には人に話したり説明したり、日記やブログに書いたりすることをいいます。

そして、インプットとアウトプットの黄金比は3対7。
めっちゃアウトプット大事です!

これに対し、日本の教育は感覚的に9対1くらいでインプット重視ではないでしょうか?
2020年の学習指導要領改訂でようやくアクティブラーニング(能動的学習)が推奨されるようになりましたが、普及までの道のりは遠いです。

アメリカの大学では講義内容のインプットは課題として各自で済ませ、教室ではディベート中心に行うスタイルが定着していますし、エッセイ(小論文)も非常に多く書かされます。

私もnoteを書き始めたことで思考が整理されましたし、下手なこと書けないのでより深堀りして調べるようになりました。

会議でも「議事録を書いてくれ」っていわれると、しっかりと内容を理解しないといけないので、必然的に集中力がアップしますよね?
それと同じで、アウトプットを前提にしていると情報の感度が高まります。

また他者からのフォローアップを受けられるので、別な視点で物事をより深く考察することができるのです。

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ふたつ目は、「ゼロイチの能力が身につく」ということ。

東京工業大学リベラルアーツ研究教育院長の上田紀行先生は次のように話しています。

人がつくった問題は解けるんだけど、自分で問題を発見できない。
先生が「君こういう問題を解きなさい」って与えられればエレガントに解きます。
でもそもそも、自分が勉強していることに先立つ問があるはずなんだけど、その問がまるでない。あるいは見つけることができない。
そして指示待ち、問待ち人間が大量に生まれる。
でもその人ってイノベーション力もないし、ある種の創造性もない。
引用|上田紀行と考えるリベラルアーツ教育の本質(Audible)

瀧本さんも考えは同じです。

当時は、「なんの疑いももたず、与えられた課題をガンガンこなす人」が求められていました。数学の問題集をたくさん解いていくような、「課題解決」の力です。
(中略)
それでは現在、みなさんにはどんな力が求められているのか?
答えはひとつ。「課題発見」の力です。
引用|『ミライの授業』

では、どうして昔はインプット型人材でも活躍できたのに、現在はアウトプット人材が求められているのか?

ひとつには、「モノ消費からコト消費に変わった」ということが考えられます。

モノが少なかった高度経済成長期の日本では、景気回復と人口ボーナスの恩恵もあってつくれば売れる時代でした。
このころ重宝されたのは、マニュアルどおりに仕事を数多くこなすインプット人材です。

しかし現代ではどうでしょう?

多くの人にこれまで必要とされてきたモノが行き渡ったことで、モノ自体への意識が薄れてきたように感じます。
むしろ環境負荷の観点から大量生産大量廃棄が問題視されるようになり、クラウドファンディングで受注生産をしたり、メルカリでリユースをするといった新たな消費文化が生まれました。

そして、モノを購入するだけでは得られない、体験や経験などの「コト」に対する感動や満足感、自己承認欲求を満たすためのサービスに消費意欲が移っていったのです。


そしてアウトプット人材が求められる、最たる理由がこれ。

我々の評価によれば、総米国雇用の47%が高いリスクのカテゴリにあり、これは関連する職業が不特定な年数、おそらく10,20年内で潜在的に自動化される可能性があることを意味する。
引用|THE FUTURE OF EMPLOYMENT(雇用の未来)

こちらは2013年にオックスフォード大学でAI研究を行っているマイケル・A・オズボーン准教授が発表した論文で、話題になったので知っている人も多いと思います。
日本語訳はこちらから引用させてもらいました。

つまりインプット型人材が得意とする「与えられた指示を的確に処理する」能力は、いずれロボットに代替されるということなのです。

みなさんはどう思いますか?

私は十分にありうると考えています。

たとえばドローン。

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順調にいけば2022年には最終規制レベル4に到達し、都市部での荷物の配送などが可能になることをご存知でしたか?

長距離運送の自動運転とラストワンマイル運送のドローンが組み合わされば、物流業界の破壊的なイノベーションとなることは間違いありません。

もちろんオズボーン准教授も同様の未来を予想しています。

第一の波では、運輸、物流業の労働者の大半が、事務や行政支援労働者、製造業の労働者の大半と共に、コンピュータ資本によって代替される可能性があることがわかる。
引用|THE FUTURE OF EMPLOYMENT(雇用の未来)

もっと身近なところではユニクロなどで始まっている無人レジ、WealthNaviなどのロボアドバイザー投資、掃除ロボットなど、ひと昔前まではマンガの世界だったのが、気づけば現実のものになっていますよね。

ユニクロの有明倉庫の動画もスゴイので、ぜひ視聴してみてください。

マンガでは「スゴイ!カッコいい!」で済まされていた話も、いざ現実となると深刻です。
こうして、すでにロボットが我々の雇用をうばっているのですから…。

洋服のタグなどを見るとかつては「メイドインチャイナ」が一般的でしたが、最近では「メイドインベトナム」が増えてきていますよね。

近年の中国は経済成長が著しいため、人件費が高騰し製造コストがあがっています。
アパレル会社の役員を務める友人の話では、「中国の縫製単価は、もうほぼ日本と変わらない」のだそうです。

もともと日本でつくるより中国でつくった方が安いから「メイドインチャイナ」が普及しました。
いまでは中国よりベトナムの方が安いから「メイドインベトナム」だという単純な理屈です。

では当然、次のような理屈も成り立つことになります。

このまま「安い人が選ばれる時代」が進んでいった場合、最終的に選ばれるのはどんな人たちだろう?
アジアの人たちよりも安く働いてくれる、アフリカの人?
ボランティアで働く人?
正解は、「ロボットだ」。
24時間、ひと言の文句も言わずに働いて、風邪で休んだり、寝坊したりすることもない。しかも人間のような育成期間もいらず、雇った(導入した)その日から即戦力として働いてくれる。当然、給料はゼロ。こんなにありがたい「社員」はいないだろう。
引用|『ミライの授業』

日本式プラットフォームに流されて、ひたすらインプット力を磨き、とりあえず偏差値の高い大学や大企業を目指している人には、ロボットに仕事をうばわれる未来が待っているかもしれません。

では、そんなロボットに対抗するにはどうしたら良いか?

ひとつは「ロボットをつくる側になる」ということ。
つまりエンジニアになる道が考えられます。

2020年に小学校ではプログラミングが必修化され、菅総理はデジタル庁の設置に乗り出しました。

国をあげてエンジニア人材育成に力を入れ始めていることが分かりますが、これもやはり海外にくらべると非常に動きが遅いです。

中国では幼稚園での人形ロボット導入が増えていて、幼少期からテクノロジーに触れる機会を与えています。

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もうひとつの道は、「ゼロイチをつくる側になる」ことです。
ロボットはルーティーンワークやビッグデータ分析に優れていますが、新しいサービスや商品をゼロからつくる能力はありません。

さすがにこればかりは今後どんなにテクノロジーが進化しようと、人間には勝てないのではないでしょうか?

前出した東京工業大学リベラルアーツ研究教育院長の上田紀行先生は、特命教授に任命された池上彰さんとMITに視察に行った時の印象に残ったエピソードについてこう語っています。

ヘイスティングス教授っていう宇宙工学の有名な権威でNASAと巨大プロジェクトをガンガンやっている人が学部教育統括部長をやっていたんですよ。
彼が「MITでは最先端科学なんて教えないよ」って言うわけ。
でも教えないわけないからそれはウソなんだけど、その後のことを聞いて納得したのは
「だって最先端科学なんてのは4年経つとぜんぶ陳腐化しちゃうんだよ。陳腐化するくらいならまだ良いけど、その分野が分野ごとぜんぶなくなっちゃうってことも多いんだ。ここで最先端科学のその部分だけを勉強したって4年後には使い物にならなくなっているんだから、その4年後にどうやってもう一回学び直すか、あるいは自分を立て直してもう一回わくわくするような分野を再構築していくか、その能力こそ大学で教えるべきことなんだよ」って。
引用|上田紀行と考えるリベラルアーツ教育の本質(Audible)

それほどテクノロジーの進化スピードは高速で、ゼロイチが次々に生まれているこの世界では、固定観念など意味を持たず、インプット人材の価値は薄れる一方なのです。

私が学生時代のエピソードも少し紹介します。

いつも適当な授業ばかりする、評判の悪い先生がいました。
話している内容もピントがズレているし、やる気のなさが漂っていてみんな単位のため渋々授業を受けているという感じでした。

そんなあるとき、先生が驚くことを口走ったのです。

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おいおい!とうとうやりやがったな!
このインチキ教師め!

と思ったのですが、つづく話を聞いてものすごく腑に落ちました。

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つまり先生は「疑うことなく言われたことを鵜呑みにしていると、自分で考えることができなくなるぞ!」と言いたかったのだと思います。

結局、このとき以外は相変わらず中身のない話ばかりでしたが、大学の講義でいまも私の心に残っている数少ない名言でした。


大量生産大量消費時代に適合したインプット人材を効率よく生み出すための日本式プラットフォームは、すでに時代遅れなので絶対に崩壊します。

まだそのことに気づけていない人は、まず目の前の常識を疑い、自分の頭で考えられるアウトプット人材を目指してみてください。

インプット人材が

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こうだとすると、
アウトプット人材はこう。

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私が社長なら、ぜったいにアウトプット人材を採用しますね。

おわりに

私自身、ゼロイチの仕事をしはじめインプット、アウトプット、フィードバックをくり返していくうちに、とても視野が広がりました。

いままた大学職員にもどれば、色んなアイディアを出せる自信があります!
(現状維持体質なので結局は何も変えられないでしょうけど)

起業家でも私のようなイントレプレナーでなくても、ゼロイチの能力はどんな人の仕事にも役に立つと断言できます。

それはもう、ここまで18,000字オーバーの超大作にお付き合いいただいた方(いるかな?)であれば、納得していただけるでしょう。

さいごになりますが、ゼロイチの能力を身につけるとても良い方法をお伝えしたいと思います。

それは、「夢を持つこと」です。

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ライト兄弟が「鳥のように空を飛びたい」という夢を描かなければ、この世に飛行機は誕生しませんでした。

夢を持つと、それを実現するために何をしたらいいか考えるようになります。

私であれば
「世界中のディズニーリゾートを制覇したい」
「ニュージーランドに移住したい」

この2つです。
いまは実現のために英語の勉強と、海外に住んでいても収入が得られる仕組みづくりを常に考えています。

この記事がみなさんの人生のヒントになれば幸いです。

それでは。

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