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「特許」と「SDGs」4~企業の取組~

「特許」と「SDGs」についての4回目です。

前回は「SDGs」に関連した技術カテゴリーの出願動向を簡単にグラフ化しました。

グラフから考えられる日本企業の出願傾向として、

国内向けよりも「世界に向けての出願」を重視する傾向にあるのではないか?」というものでした。

もう少し探るために、前回の日本企業のWOへの出願動向を少しだけ掘り下げて見てみます。

「特許」と「SDGs」2で考えた4つの大きなカテゴリー

①食料・食品
②医療
③教育
④環境・エネルギー

についてそれぞれの2010年以降のWOの出願件数の上位10出願人をグラフ化すると以下のようになります。

※検索式については「特許」と「SDGs」2を参照してください。

※2018年以降の未公開の特許出願は含まれていません。

①食料・食品カテゴリー

食料・食品カテゴリー上位出願人

②医療カテゴリー

医療カテゴリー上位出願人

③教育カテゴリー

教育カテゴリー上位出願人

④環境・エネルギーカテゴリー

環境・エネルギーカテゴリー上位出願人


富士フイルムは全てのカテゴリーでTOP10入りしており、

パナソニックソニーが食料・食品カテゴリー以外の3カテゴリーでTOP10入りという状況です。

ここで、全てのカテゴリーで出願件数がTOP10に入っている富士フイルムの出願動向を見てみます。

次のグラフは富士フイルムの2010年以降のWOへの出願とJPへの出願の年次推移の比較です。

縦軸は出願件数、横軸は出願年です。

※2018年以降の未公開の特許出願は含まれていないことに注意してください。

富士フイルムWOJP出願動向比較

JPへ直接の出願は2010年以降ずっと減少傾向が続いています。

一方、WO経由の出願は、2012年までの増加傾向、その後5年間出願件数をほぼ維持し、2018年に増加傾向が見て取れます。

2017年には、JPへの直接の出願件数をWOの出願件数が上回っていく逆転現象が起きています。

このことから、富士フイルムにおいてもWOへの出願を重視する姿勢が見て取れます。

次のグラフは、先ほどの富士フイルムのWOのみ出願の内、今回のSDGsに関連するカテゴリーに割り振った分類が付与されている特許出願のボリュームを表しています。

縦軸が出願件数、横軸は出願年です。

※2018年以降の未公開の特許出願は含まれていないことに注意してください。

富士フイルムSDGs関連分類割合

出願年によっては約半分の出願が今回割り振ったSDGsに関連性の高い分類が付与されています。

実際には、分かり易い分類のみピックアップしたので、細かく見るとSDGsに関連する出願は他にもあると思います。

富士フイルムの扱う技術はかなりの広範囲ですが、SDGsとの親和性が高い企業であり、WOへの出願傾向を強めていると読み取ることができます。

では、何故WOへの出願傾向が強くなるのか?

まず、SDGsはグローバルな視点での目標やターゲットであるということ。

世界全体のニーズとして捉えることのできるSDGsに関連した技術は、

グローバルに実施する技術ということになり、日本国内のみではなく、

世界各国への出願が必要になっていっているということが挙げられます。

それ以外にESG投資へのアピールという側面もあると思われます。

富士フイルムの所有者別持株状況は金融機関に次いで外国法人等の割合が高くなっています。

富士フイルム所有者別持株状況

出典:https://ir.fujifilm.com/ja/investors/stock-and-shareholder/stock-information.html

海外からのESG投資を引き出すためのSDGsへの取り組みをWOへの出願に反映させている部分もあると考えられます。

富士フイルムのSDGsへの取組はというと、

2017年に2030年度をゴールとする長期目標である「Sustainable Value Plan(サステナブル・バリュー・プラン)2030(SVP2030)」を発表しています。

その中では、重点課題を「事業を通じた社会課題の解決」と「事業プロセスにおける環境・社会への配慮」という両面から位置づけています。

これは「SDGsを企業報告に統合するための実践ガイド」に記載されている考え方に沿ったものと思われます。

そして、SVP2030の計画立案の背景では、明確に富士フイルムが貢献するSDGs目標が記載されています。

富士フイルムSDGs目標

出典:https://holdings.fujifilm.com/ja/sustainability/plan/planning


以上のように富士フイルムは、SDGsと関連した事業戦略と計画を立てていることがお分かりいただけると思います。

計画立案の背景の最後の部分では、「SVP2030の目標達成に向けて、社会の変革をリードする製品・サービス・技術開発によって新たな価値を創出することで、社会課題の解決により一層貢献すると同時に、企業価値向上を図っていきます。」と書かれています。

これは、SDGsの目標とターゲットから新たな技術開発の視点を探ることが可能であると捉えられます。

このように、大企業ではSDGsの視点から新たなニーズや技術開発の方向を模索し、新たな価値を創出しています。

脱線しましたが、「SDGs」が「特許」の出願動向についても影響を与えていると考えられる部分を少し見てみました。

今回は、「特許」と「SDGs」の関係から、日本の大企業の海外への出願動向について考えてみました。

大企業では技術分野の土台が大きくSDGsの目標やターゲットに自社の技術を紐付けることを考えやすい部分はあると思います。

しかし、日本の中小企業や零細企業の取り組みはどのような状況なのでしょうか。

次回からは、日本の中小企業の取組と「SDGsの目標とターゲットから新たな技術開発の視点を探る」という部分について、特許を絡めて考えたいと思います。

緊急事態宣言が延長になり、まだ自粛の日々を過ごしている地域もありますが、頑張って乗り切っていきましょう!

↓ 早く綺麗な朝日を拝みたいです。

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最後まで読んでいただきありがとうございました!

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