「澄んだ世界に」
雨上がりだから、何もかも澄んでいる。
洗い立てのシャツのように、シャキッと。
そこに今の自分を置くことは、まだ早く。
まだ洗い足りないところが、残っている。
そこいらに、夏が起き忘れていったもの。
部屋や車の中、当時のままの姿でいるのと似ている。
今は、焦る気持ちもなく、その姿を眺めている。
時間が経ち色褪せていったとしても、
ずっと眺めているだけかも知れない。
それでも、いつかは、向き合い、自ら動くしかない。
一雨毎に涼しくなり、やがて寒さを感じるようになる。
空や空気が澄んだ世界に、そぐうようになれば、なれれば。
長い年月が経ち、壊れたり破けたりしたものと同じ。
自ら心に働き掛けて、片付けていくのだろう。
今日も明日も、
洗い立てのシャツとパンツを物干しから外し、
そのまま着こむ。
洗い足りない部分を隠す。
柔軟剤の香りでカムフラージュ。
いつかは澄んだ空気を、思いっきり吸って、
シャキッとした姿勢で、そこに立てるようになれるのだろう。
雨上がりの空を見上げて、そっと願う。
小さな、小さな、幸せを願う。
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