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「仲間思いの聖司」

横浜の中華街をトボトボと、

聖司は、肉まんを買おうと並んでいた。

でも、豚まん、あんまんも捨てがたい。

同じ寮に住む友達の分も、買って帰ろうとしていた。

白い雪がはらはらと降っていた。手をポケットに突っ込みながら、

ひたすら順番を待つこと約20分、漸く聖司の注文の番になった。

ふと何を考えたのか、並んでいる店には無いものを注文したくなった。

そう、豚まん。土壇場で、豚まん専門店に並び直すことになった。

お腹が減っていて、チャーシュー専門店の前で足を止める聖司。

何とか列に並び再び、待つことになった。

手をポケットに突っ込み、約20分待って漸く聖司の注文の時がきた。

「あんまん5個ください」そこは、豚まん専門店。

豚まん以外は販売していない。

雪が降る冬の寒空の下、聖司はまたやらかしてしまった。

注文を受けたおじさんは、冬の寒い中、体がガチガチに固まってしまった。

聖司は、列を離れてまたトボトボと歩き始めた。

偶然にも一部始終を見ていた、咲良という女性がいた。

咲良は、聖司の並んでいる列の3つ後ろに並んでいる女性だった。

しかも、肉まんの列に並んでいた時も、聖司の3つ後ろに並んでいた。

咲良は紙袋を持っていて、中には肉まんと豚まんが入っていた。

トボトボと前を歩く聖司に向かって後ろから、

「あの、あの…」 咲良が、聖司に声を掛けた。

「肉まんと豚まん、持ってます」「もし良かったら、一緒に食べませんか」

聖司は、お腹が空き過ぎていて、思考能力がかなり落ちていた。

「ありがとう」って言って、その場を立ち去ろうとした。

咲良は、勇気を振り絞って、

「今から、一緒に食べませんか」と、声を掛けた。

聖司は、歩みを止めて振り返り、「ありがとう」

「あんまん買いに行くの、付き合っていただけませんか」

と言って、歩き出した。


咲良は、後をついていくことにした。

少し距離を置いて、ついていく咲良。

あんまんの売っている店先で、聖司が順番待ちをすることに。

5分程で、聖司の注文の時がきた。

あー!漸く注文できる。聖司は少し大きな声で、

「すみません、ふかひれマン5個ください」

注文を受けた店員さん 「すみません、ふかひれマンうちではないです」

聖司は、また、やらかしてしまった。


その後、

聖司と咲良は、仲良く山下公園で、肉まんと豚まんを一緒に食べた。


聖司は、何が何だかわからずに、

今までの、やらかし人生を、咲良と一緒に語り合って過ごした。


相変わらず、

雪がはらはらと降っているが、二人に周りには白い蒸気が立ち上っていた。


肉まんと、豚まんには、思い出がいっぱい詰まっている。


「あの、中華まん5個ください」


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