来て良かった
明日で今の施設の最終日。
特にこの数日間で一気に嫌になっていたので「あと一日」と自分を励ます。
けれども、自宅にいても介護職員さんや利用者さんの言葉や表情が浮かんでくる。ふとしたひと言や一瞬の表情。
「辞めないで下さいね。」と、まだ辞める気がない頃から言われていたので不思議に思うほどだった。
普段は強気&勝気に働いている人々の、素に戻った顔は、子供のような表情を浮かべていた。
高齢の利用者さんたちまでもが内情を危惧する施設ってどうなのだろう。
「介護の子たちはみんな良い人たちなのよ。でもね・・・、上がああだから皆辞めてしまうの。」
喫煙所の地面を見てうつろな瞳で「辞めちゃうんですよ。でも、自分はここしか知らない。」と呟いたケアマネの子。
その瞬間には気にしないように流していたのに、こういう場面が沢山あったなあと、今、思い返す。
尊敬するところもあった上司で、あのタフさや厳しさは、福祉や利用者さんを愛する気持ちから来るものと思いたかった。
しかし、冷静になって思い返してみると、利用者さんや職員を見て笑顔一つ見せたことがない。いつも気が付くと楽しく働ている人々を蛇のように見つめていた。
割と圧力を気にしないでいられる方の自分が、何となく肩が重いな~と思うことが多かった。空気がじっとりと重い。
他の人々もそんな思いをしていたのか。どうにか変えたいと思っていたのだろう。
ただ、それはその人たちの問題だ。
私はやっぱりコロナを目前にして「手袋は3重だけどN95マスクは無し(高いから)」と言っている人の元で働けない。
福祉の世界に何十年もいて「私は素人ですから」と威張っている人は、やはりダメなのだ。
固執する箇所を間違えて勝手に笑顔を失った人というのは、楽しく仕事をしている人を全力で潰しにかかる。利用者様たちを笑顔にして来た介護職員さんたちのあの陰鬱な表情の答えが分かった。
もう少し頑張って変えて行きたいと思っていた瞬間があった。
が、ある日気が付いた。注いだエネルギーの総量と結果が全然釣り合っていないということに。
毎日毎日費やしたエネルギーよりも、嫌なことや疑問の量が増えていくとしたら、それは疲労困憊しても無理もない。
そんな時に、先に辞めて行く派遣ナースさんがどんなふうに扱われているか?というのを見て、改めてダメだ、こりゃ!と思った。
あなたに言っているわけじゃない、あなたにやったことじゃない、だから正社員になってね、でも、あまり元気に働かないでね、あまり色んなことに気づかないでね、介護職員さんと仲良くしないでね・・・etc
そりゃ皆辞めるでしょ。
大きな法人でもないし独特の世界で運営して来ているせいなのか経営者は離職率に無頓着のようだ。
以前居た施設で私もうまくは出来なかったものの、約5年間離職率ゼロだったことを思い出す。どうにかして働きやすい環境を作ることを考えていたから。
色んなことを思い出して首を傾げたくなるものの、謎解きはここまで。
人生の時間には限りがあるから。
自分が何が好きで、何がダメなのか?ということがハッキリ分かった4か月だった。ここは派遣社員のまま立ち去ることにした。
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