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ハードルは踏みつぶして通る

今行っている施設は派遣として契約している。

が、仕事は正社員と同じ内容を求められ、『覚えが早いですね。今度から土曜日を一人でやってください。』という話になっている。

よく分からない考え方なのだが、平日に3人以上のナースを確保するために、日曜と祝日、下手すると土曜日もナースが不在なのだという。そんなわけで、5連勤が強いられる。

週5契約で月から金までガッツリ出て、さらに土曜日も危うくなるとすると用事も済ませられないし歯医者にも行けませんがな。

あなた方がきつくないのですか?

と訊くまでもなく、全員顔と足が浮腫んでいるのだが、いちおう訊いてみた。

『もうきつい。人を入れてくれないと本当に困る。』

いや、だから、土日も交代で出ることにすれば5連勤じゃなくなるやん。それが看護師の業界ってもんじゃん。

『遅刻や欠勤がないのってOhzaさんだけなんだよね。』

嘘でしょ。何、それ。
いや、だから、この変なシフトと変な考え方、辞めればえーやん。

しかも、朝出勤した際に準備があるというのは、どこでも共通の話だが、何故だか重たい体重計とストレッチャーを毎日外に出し、帰る時には医務課に移動して仕舞うという儀式がある。それ、ずっと出しといてええんちゃうか?

二つの高窓を開けるためにデスクの上に乗っかって埃まみれのブラインドをあげて、固く錆び付いた窓のカギを開ける。帰りには同じ手順で「うぬぬぬ!」と窓を閉める。

なんで、この窓のところにデスク置いたん?

で、デスクが向こう向きだから往診のときは、先生の背中見ながら会話しなきゃならないじゃん。

全てがわざわざ手間がかかり面倒な仕組みになっていてハアハア言っているわけである。

まあ、派遣なので9時からと始業時間も決まっている。知るかと思っていたが「鍵を渡しますね。」と言う。要らないし。暗に一番に来て体重計やその他諸々のことをやって準備しとけと言っているらしい。

うーん。9時からで良いならやるけど。

***

今日は一人勤務をやっているつもりで、全部やってと言われたので「はい、分かりました。」。

処置やバイタルや与薬、急変者の対応、全部一人でやった。

『大変だ、無理だと思ったら、声をかけてね。』と相方は書類仕事をなさっていたが。

特に困らないんだよね。充分にご利用者さんや介護さんとも会話が出来た。

そうすると、それも良くないらしく細かいことを色々言い出すのだが、私はもう店じまい。
どうしてこう、世の中は、沢山頑張る人に仕事を上乗せして来るのか。自分が楽をするために。余計に働く人から余計に税金取るシステムと似ている。

誰かが頑張って自分が楽した方が得だし、楽していても理屈をこねれば生きていけると思い込まれがち。

でも、そんなことはないのよね。年齢が行けば行くほど、それは著明に表れる。人より多くを体験した人ほど心にある種の財産が溜まる。それは現実の形として現れる。
『なんで私ばかり?』と言っていた過去の私や、どこかの誰かにメッセージを送りたい。

頑張っている人が得をするんだよ。

それを知るころ、自分たちで作り出した苦労の手順を人に押し付けて来た者たちが後悔する。
もっとも、後悔できるのはまだ幸せな方で、そこも認められず逃げ続ける人々もいる。

何はともあれ、私に体験をありがとう。

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