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小さな花 / 炬燵 / 転職祝い

冬枯れの道を歩いていたら、よくよく見てみると、足元に可愛らしい花がポンポンと無数に咲いていた。

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通勤距離が長くなったせいなのか、今年の冬はいつもより身体が冷える。

Kちゃんが通い始めた施設も、方向は違えどだいたいと私と同じくらいの通勤距離にある。彼女もまた「今年は寒いな~。」と言っている。

が、Kちゃんが今月から通い始めた施設もまた、何だか面白い施設のようだ。特養なのだけど、亀や熱帯魚が飼われていたり、職員も感じが良い人が多いらしい。
働き始めて一週間ほどで既に力量を見極めてか、施設長を始め違う部署の人々も正社員に誘って来ているのだとか。

そんなに遠いところでもないので、もしかしたらそこに落ち着いても良いかもね?と話したのだが、「いや、Ohzaちゃんのところが募集し始めたら絶対そっちへ行く。」とのこと。
どこに勤めても介護職は過酷だと思うので、あまりお薦めは出来ないのだけど、うちの施設も色々と面白いところだと思う。
どうなるのかは分からないけれど、とりあえずはお互い目の前のことを頑張って進んでみよう。

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10代で横浜や東京に移り住んでからは炬燵というものと無縁だった。寒いと言えば寒いのだが、高校の頃までいた熊本の冬ほど寒くはない。
最後に過ごした故郷は熊本市内に位置していたのだが、大粒の雪も降ったし自宅や友人宅にも炬燵があった。

そう言えば北海道は釧路に居た頃は炬燵がなかったが、あれはいったいどうしてだろうか?と幼い頃のことを思い出してみると、最近ではお見かけしないほどの立派なストーブがあった。家に煙突がついていたなあ。部屋は二重窓で部屋は暖かった。
なので記憶の中の冬は、熊本が一番寒いという印象。何だか変な話である。

そんな話を二人でしていたら、唐突に「そうだ。炬燵を買おう。」ということになった。
二人でとっとと買って来て、とっとと組み立てた。

もう、そこからは二人とも一歩も動かなくなってしまった休日だった。

夕飯に塩ちゃんこ鍋を作って温まり、また炬燵に入って映画を観て、お風呂に入って、また今に至る。

東京の冬も暖かい。

この冬は、なるべくぬくぬくと過ごして行こう。

暖まるだけで何だかウキウキしていた。

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ちなみに炬燵に入って色々話している時に出た話題が「さっき、一緒に炬燵の部品を組み立ててたじゃん?」と、少しだけ過去の話。

「部品の形が合わなくてネジが閉まらない時、何考えてた?」

答えは、同じだった。
「無理だろ!これ!観れば分かるだろ?!」とイライラしていたあの気持ち。
前の施設に居た時の気持ちに似ている!ということで一致したのだ。

が、今日は相手が炬燵だったので力業で乗り切ったのだが、人間相手の仕事で、あんなことはもう二度と嫌だ。

転職して良かったね!と、蜜柑を食べつつ笑い合っている夜だった。

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