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孤狼の血 LEVEL2

台風が接近するという、まさにその日。

Kちゃんが『今晩、映画観に行かない?』と言う。

夜には通り過ぎているだろうし、台風だから街も映画館もすいているだろうという予想だった。

「行く。」

そう返事をした後、慌てて映画館を検索するので笑ってしまう。場所と観る作品くらいは決まった上でのお誘いと思っていたから。

でも作品は決まっていたららしい、先月あたり私が観たいと言っていた『虎狼の血2』。

***

仕事が終わってから電車に揺られて銀座まで。

それでも上映までまだ時間が空いたので、カフェで少し時間を潰すほどだった。

感想。

観て良かった。

前作の俳優・女優の面々の演技にかなり感動していたから。

とは言うものの、あくまで主観なのだけど、前作を観た後だと、不満な箇所が出て来る。あくまで個人の主観。

役所広司という俳優の凄さが際立ってしまったのだけど、うんと引きのカメラで観て、映画の中のキャラクターだけで語っても、ガミさんと日岡では、詰めの甘さが目立ってしまう。ガミさんなら、きっと先の先まで読んで闘っていただろうから、死ななくても良い命があったような。足りない覚悟で引き継いではならない仕事だったのだろうなと、そんなことを感じる。

そして、ストーリー的にも何となくスッキリしない。カタルシスはゼロ。前作で主人公が空手の有段者だという設定はどうした?やられっぱなしじゃないか。でも、泥臭く勝っていくという点で良いのかも知れない。

しかし、欲を言えば、せっかく良い俳優を使っているので、もう少し新聞記者役の獅童と主人公が組んで県警の悪を倒し切るとかあっても良かったんじゃないだろうか?

で、これも本当に主観。好みの問題かも知れないけれど、もうちょっと綺麗なお姉さんを沢山出さねば!←いやいや、好みの問題だってば。

バブルがはじけた後の時代を象徴するためだったのか、華やかであるはずのバーやクラブのシーンで『あれ?』となる。ヒロインもまだあどけなくてママを張る役柄ではなかったような。

この辺りのシーンで、右に座っているKちゃんが、何と、こちらを向いて眉をひそめたので爆笑しそうになった。

でも、無駄足ではなかった点について。

話題にもなっている鈴木亮平の怪演。目がやばいし、残虐なシーンの後の爽やかな笑顔が余計に怖い。

しかもですよ。数日前に天皇の料理番を観終わったKちゃんにとっては、さらなる衝撃だったらしい。

何せ、あの優しい”兄や”にいやが、あんなことになっているわけだから。帰り道の電車の中で『ないわ。ないわ。怖かった。もう、ほんとに怖かった。』と、フルフルしながら、ずっと言っていたくらいだったので、涙が出るほど笑った。Kちゃんは、きちんと観る人なので、『いやいや、映画ですよ。役作りですよ。』という私は、よくぶっ叩かれる。

その役作りについて。天皇の料理番で結核と闘病している”兄や”の役をしている時のゲッソリ痩せた感じを知っていたので、『せごどん』の時の太って筋肉質になった同一人物を観たときには驚いた。

で、今回凄いと思ったところは、画面の中で明らかにデカいの。凄い体格差が表現されているので、それだけでも怖い。登場する際の分かるか分からないかのBGMも怖い。

でも、『せごどん』の時と違うのは、大きくなっても健康的に見えてはならないというところ。身体を大きくしても病的でなければならない。だから、顔は太らせていない。同じくウエイト増量でも、せごどんの時のメイキングとは、明らかに違うのだ。そんなことを達成してしまう俳優さんの仕事と感性って、いったいどういうことなんだろうか?

そんな感想を述べている私に『知らないよ、もう。とにかく怖かったんだから。』と相変わらず怯えているKちゃん。

いつもダラダラしてお風呂が沸いたのに中々入ろうとしないKちゃん。なので、この日は『早く風呂入らないと鈴木亮平来るよ。』と言うと、ささっ!と支度して風呂場に向かっていた。

これは『プリズンブレイク』でティーバッグ役を演じたロバート・ネッパーばりに凄い。

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あくまで役作りであって、決して彼が凶悪なわけではないと誰もが知っているというのに、当時はエレベーターが開いて彼が立っていると、関係者ですら思わず『ぎゃあああ!』と悲鳴をあげていたという逸話があるくらいなので。

結果、もう一回観たいと思える映画だった。

***

良い1日でありますように。

いってらっしゃいませ。

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