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momokei様単独インタビュー

第44回

NFTを始めてみたいなと思われる方は、まずこちらをご覧ください。

今回のインタビューは青インクでアナログアートを描くという
momokeiさん(@InksMomokei)
をお迎えしてお送りします。

華やかなアートが目を引く中、青色のインクで描くmomokeiさんの作品に込められた思い、単色とは思えないほどの透明感と鮮やかさを放つ作品についてその由来をお伺いました。

ではどうぞ

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構想中(以下、構)こんにちは本日はよろしくお願いします。

momokeiさん(以下、momokei):よろしくお願いします。

構:早速ですが、momokeiさんは今、inktober期間中なんですよね。momokeiさんからお話をお伺いするまでは存じ上げておりませんでした。

※inktober:10月1日~31日の間、毎日お題に沿って、インクで描いた絵毎日投稿しようという企画です。ハッシュタグ「#Inktober」をつけてSNSで投稿します

毎日投稿するって大変な作業ですよね、お題があるとは言っても。


Inktober 2022 Day 13 "Kind"

momokei:そうですね。今年はすべての作品を OpenSea に出品していますし、慌ただしいです。

お題の発表があるのですが、年々早まっていて今年は9/1に発表されました。そこから制作をスタートさせています。毎日一個ずつお題が出されています。10月に入った今で半分ちょっと描き上げまして、あともう少しですね。

構:今、ハッシュタグで検索するとたくさんの作品がヒットしました。確かに漫画家さんなどインクで描くのは当たり前ですからたくさんの人が投稿するのもうなずけますね。

展示会の一種だと思っていたのですが違ってましたね。特典は何かあったりするのですか?

momokei:特にそういったものはないのですが、バズると知名度がとても上がります。いいねが8000ついたりする作品もありました。

構:それはすごいですね!注目度があるイベントなんですね。確かにそういった知名度が上がるイベントなら皆さんがんばって毎日投稿されますよね。去年も参加されているんですよね。手ごたえはどうですか?

momokei:万人に受けるような作風で描けばいいねがたくさんもらえることが去年分かったのですが、そればかりすると目標とするスタイルが壊れちゃうので、私自身が描きたいテーマ、どういった作品が好きかを追求して制作しています。

構:なるほど。例えばアニメ的な作品がウケやすいのでしょうか?

momokei:アニメ的というか、細い黒いペンで緻密に描いた作品やクールな作品が好まれますね。

構:そういった意味では、momokeiさんは大胆に筆を使って描かれていますね。

momokei:最近はそうです。最近の私のトレンドとして、青インクで描く勢いのある線が好きで、自分の身体動作の軌跡として絵を描いています。

構:体の動きを表しているのですか?

momokei:腕は体の一部なので、体の動き、それを残すという描き方です。

構:青一色の作品が多いのですが、透明感があっていいですね、なぜかとてもカラフルに見えます。単色で色を表すのは難しいはずなのですが。

momokei:私の感情を青という色に込めています。インクにも色がたくさんあるのですが、大切なものはそんなにたくさんなくても大丈夫と思っていて、青をメインにしています。作品をにぎやかにするのは簡単ですが、どんどん削いで作品を完成させるところに美学というかやりがいを感じますね。


2022 "blue tulips"

構:青ともともとの白をうまく使って作品を描かれていますね。momokeiさんは青が好きなのですか?インクを使った手法のシンプルさが心地よいです。

momokei:青は好きですし、わたしにとって運命的な色です。

構:アーティスト活動はいつから始められたのですか?

momokei:2019年にアーティスト活動を始めています。また、2020年に個人事業主として登録しています。

構:アーティスト活動だけで生きていく、アーティストさんとして目指したいところですよね。素敵ですね。

momokei:残念ながら、まだそれだけで生きてはいけていませんね。本業は夫の家業を手伝っていまして。出産を機に、勤めていたIT企業から転職してずっと続けています。

構:家業をお手伝いするのも大事なことですからね。momokeiさんは、小さなころから絵が好きだったのですか?

momokei:大好きでした。けれど、私が描いた絵に母が手を加えるようになってしまって。県とかの賞をじゃんじゃんもらって、それが母の心の支えになっていた感じでしたね。小学校低学年のころから、とても残念に思っていました。

構:そんな小さなころから感じ取られていたのですね。

momokei:母はもともと教師で真面目な人でしたが、承認欲求が満たされていない女性だったのではないかなって思います…。そのままの私を受け入れてほしかったです。その状態が高校にあがるまで続きました。

義務教育での美術教育における上手な作品、ってだいたい察しが付きますよね。写実的な風景を描けるかどうかが評価のメインでした。学校や個人の名誉のためにはそういう絵を描くもんなんだなぁ、って傍観していました。

アートに目覚めていないにしても、そのころから「より写実的な作品でないと評価されない、っていうのはおかしいな」と気づいていて、ファインアートの芽が私の中で芽生えていたのだと思います。

今の現代アートのように、その人それぞれの描き方を作品にしていいということをやれたら楽しかったでしょうね。当時はそこからは離れた場所にいましたね。

構:子供のときは思ったことを大胆に描くのが一番楽しい時期だったはずですからね。私、ふすまとかによく描いてましたよ。親は最初、消したりしてましたが、途中であきらめてましたね。

自分の一番近しい人からこうでないよと言われるのは辛かったでしょうね。今と違い、昔はなんでも型にはめて、こうあるべきという考えが強かった時代だったので、どこの家庭でも大なり小なりよくあったことなのかも知れないですけれどね。

momokei:ちょっとうちは度合いが強かったかもしれませんね。まぁ、大人が手を入れた子どもの絵って、傍から見たらわかりますよね(笑)

構:そういった作品はmomokeiさんが小さいころ憧れていた、手塚治虫さんのアシスタントになりたいという夢からは遠ざかっていますよね。イラストや漫画を描いていたのですか?

momokei:私は鉛筆と紙さえあれば一日中ずっと、自分が考えたキャラクターのイラストや創作漫画を描いている子どもで、私の絵の基礎は子ども時代のものすごい蓄積で出来上がっていると確信を持っています。誰にも負けないくらい描き続けていました。本当に朝から晩までずっと描いていました。

構:すごい!絵が好きっていうより生活の一部のようですね。とにかく好きっていうのがお話から伝わってきます。手塚治虫さんの絵に画風をよせていたりしました?

momokei:足のかたちを流線形にしてみたり、やったかもしれないですね(笑)

構:火の鳥は何度も読みましたよ。大人になってから読んだのですが、大人でも深く読み込める漫画があるんだってそのとき思いました。大人になってから読んでも、また違った解釈ができる素晴らしい作品ですよね。

momokei:火の鳥は本当によく読みました。手塚憧れ時代は、リボンの騎士、ジャングル大帝などかわいらしい作品にはまっていました。小学校4年生の時、手塚氏が亡くなられたのですが、そこから急に冷めちゃって。

構:そうなんですか?!なぜ?

momokei:本当にアシスタントとして手伝いに行くつもりで、その前に亡くなられたので具体的な目標がなくなったのでしょうね。

自分自身で作り出していたキャラクターを描き続けていたので、これで行こうっていう気持ちに変わりました。

構:なるほど、そのころからしっかりした軸があったのですね。

momokeiさんが働き出してから親の手を離れ、ご自分の行きたいほうにいけましたか?

momokei:なかなかたどり着けはしなかったですね。なぜか子どもの頃からガラスペンやインクに惹かれていたのですが、田舎でどこに行ったら売ってるのかわからず、大人になってからようやく手に入れました。

mixiで10年くらい文章創作コミュニティにいたことがありました。文章を書くのも好きなんですよ。そこで、文章につけペンで描いたイラストを添えることを始めました。

構:そこでペン描きの下地ができてきたのですね。

momokei:mixiにハマるまでは、しっかり仕事して絵から離れていた感じですね。

そのころは外資系のIT企業で働いていまして、普段着で働ける自由な会社でして、面白い人もたくさんいました。社会人としての良さを謳歌している時代で、人とのつながりを楽しんでいましたね。

データベースソフトの企業向けサポートにいました。おまけの業務だった技術文書を書くのが好きで、やりがいを感じていましたね。

構:企業向けサポートですか、それだと知識が詳しくないと大変ですよね。とても専門的な質問が来そうですね。

momokei:大学で情報処理の勉強をあまりしなかったので、当然ですが大変なことになりました。知らない言葉を最速でググって正解をまとめる能力はつきましたよ。

構:なるほどですね、お仕事をこなしているとアートから離れていきますよね。

momokei:そうですね。私は美術学校経験がなく、デッサンも最後までやりきれなかったりで。機会があっても根気が続かなかったですね。

構:でも作品にかける集中力がすごいですよね。

momokei:最近になってからできるようになったかなと思います。

本音が言えなくて親とか他人の価値観で生きていた頃は、どうも大事なことを続ける元気が出ない、怒られないとできないとか、そういう特徴があったように思い出します。

構:小さい頃の体験ってなかなか抜けきらないですよね。

momokei:アートに目覚めたのは、いまから6年前に辛い体験をしたことがきっかけです。

構:辛い経験とは?

momokei:ネットショップの店長さんや社長さんたちとご縁がありまして、facebookでつながっていました。その中で出会った方に、起業のきっかけとなるくらい親身にやり取りをさせていただいていたメンターのような方がいました。

構:経営者として意見を聞くことができる、影響力のある素晴らしい方だったということですね。

momokei:ある時、急に縁を切られてしまいまして。私自身が頼りすぎてちょっと依存していたのかもしれないです。

構:そうなんですね。本音で縁を切られたのか、起業するには自分自身で判断する必要がある、人に頼りすぎてはいけないという親心的な気持ちで敢えて突き放したとかあったのかもしれないですね。

momokei:そうですね。そのときは相当落ち込んでしまって。自分の内側に、深くて青い悲しみがたまっているイメージを体感していました。

どれだけ涙を流しても、たまっている青の色は外に出てこない。悲しみで具合が悪くなって、休み休み日常をこなしていました。
どうにかしてこれを外に出したい、と青インクをつけペンに浸して衝動的に大量の線を描きだしたんです。

ああ、これって世界標準で出していいやつだ、と思える感覚があったので、アート製作を始めることにしました。

構:悲しい出来事でアートに目覚めた瞬間だったんですね。

momokei:アートって、うまく描くだけのものではありません。それ以前から草間彌生さんや岡本太郎さんの作品を観ていて、感情や情熱をとてつもなく感じるけどどうやってそれを実現しているのかなって思っていました。

私自身精神的に落ちるところまで落ち込んだけど、胸の奥から湧き出るような感情を吐き出す、アートはこれだって当時は思いました。個人の実感に伴う表現がアートだと、そのときはじめて体感しました。

構:相当落ち込んだときに、悲しみという感情が青に繋がった感じですか?ということは、そのときは青色とは忌まわしい色だったのですか?今現在の作品を観るとそういう風には見えなくて。

momokei:忌まわしいというか、純粋に悲しみの色でした。ですが、自分について掘り下げていくと悲しみの根底はすべて愛だということに気付いたので、青は今は愛の色としてさらに強くなり自分の中で輝いています。

今は、自分を突き放してくれた方に感謝しています。私を違う世界に連れて行ってくれた大きなきっかけだったので。

構:その出来事から本格的にアート活動を始められたのですね。小さいころからずっと絵が好きだったのに、ようやくという感じですね。

momokei:そうですね。初個展では、東日本橋のギャラリーでつけペンと青インクを使って雨を表現していました。雨を青であれこれ描いていて、美しいなと思いました。

悲しみもまた美しい、泣いていたそのときも人生として美しいと気付きました。降っている雨をひたすら書き、それをその雨に実際に打たせて雨の軌跡を取り込むという作品群を製作していました。

2019 【樋(とい)】

構:雨は涙を想像させますね。それがにじむと何とも言えない気持ちになります。

個展に踏み出すにあたり、ギャラリーへ応募したのですか?

momokei:東日本橋の Roonee 247 fine arts というギャラリーが好きで通っていました。オーナーが公募展をよく開催されていて、アートに目覚めた辺りから作品を公募展に出させてもらっていたんですよ。

そのうちに雨の作品群が出来上がったので持ち込みまして、個展できませんかって聞いたのですよ。やりましょう、と言ってくださいました。

構:お気に入りのギャラリーで個展を開いたんですね。雨のシリーズに個展を開けるくらいの可能性を感じてもらえたのでしょうね。個展となるとたくさんの作品を創らないといけないですね、大変だったのではないですか?

momokei:30作品ぐらい制作しまして、確かに大変だったのですが、最終的には床にも展示するくらいたくさんの作品ができました。

構:心配の必要はなかったですね。そちらのギャラリーさんのどういったところに惹かれたのですか?

momokei:あるイベントクリエイターさんとfacebookで出会いまして、その方がナポリタン好きなのですよ。彼がRooneeのオーナーさんに、公募展のお題をナポリタンにしてくれって。実際それで公募展が開かれました。

そういったユニークな公募展に気楽に参加できたのがきっかけで、お気に入りになりました。

構:ノリもよくて、とても柔軟なところがいいですね。人柄がとても重要だということを感じることができますね。

momokei:初個展には会社時代の知人やfacebookの友人が大勢来てくださり、とても感動しました。

構:すごい、大成功ですね。

それに、賞ももらってますよね。

momokei:悲しかった出来事や初個展よりも前にさかのぼりますが、ごく最初にインクで描くようになったきっかけからお話ししますね。

最初のつけペンとインクを手に入れた頃に、文具専門店の伊東屋さんで万年筆インクを小瓶で売っているのを見かけて、いろんな色の万年筆インクがあることに気づきました。

万年筆インク画家サトウヒロシさんの存在を知り、ご主催のワークショップに参加してみて、いろんな色で楽しく描いていいんだ、万年筆インクだとらくに描けるんだって気づき、いろいろ描くようになりました。

万年筆インクは最近すごく人気がありまして、たくさんの色インクがあるんですよ。ご当地インクなどもありますよ。インク沼って言われているのですけれど、とても人気が高まっているジャンルなんです。

構:え、インクっていろんな色があるのですか、知らなかった!

momokei:ブームが始まりつつあったその頃にわたしも万年筆インクを画材として使い始め、ワークショップの仲間たちやサトウ先生に褒めていただいて続けました。

その頃にインク絵で東急ハンズのイラストコンペに応募してみたら、いきなりトップの賞をいただいたんです。


2020年 東急ハンズ年賀状コンテスト受賞作品

構:才能があふれている…。

momokei:万年筆インクの繊細な色でかわいい絵を描くというスタイルは、当時は他の作家さんがしていないっぽかったので、いけると思いました。

賞をいただいた結果、私はイラストはもうしなくていい、もっと難しいことに挑戦しようっていう気持ちになりました。

構:ん?!賞を取ったイラストを続けて描こうとするのではなく、新たなことに挑戦しようという気になったのですか。

momokei:そうなんです、私だけの新しいスタイルを目指そうと思いました。

構:すごい考え方ですね。日本人的じゃない。一つ所にとどまっていられない性格なのでしょうか。

今現在の作品はとてもキレイじゃないですか。確かにイラストでやっていたらそういう方向にはいかないですね。考え方と行動力がすごいですね。

Instagramを拝見すると、少し前はイラスト風の作品も多くありますよね。似顔絵も上手ですよね、実際のその人の姿が想像できる。

momokei:個人事業主となった後、アートで食べていくにはどうしたらいいかなと思い、収益を得るために似顔絵をデジタルで描くことを考えていました。

1980,90年代のころ週刊少年ジャンプがとっても好きでして、その辺りの漫画の作風に寄せた似顔絵をあれこれ描いてみました。そのことを発信したら、意外と女性の友人からオーダーをどんどん頂きました。昔あこがれていた、好きな漫画への気持ちが再燃したのでしょうね。


自画像のひとつ

構:漫画好きにはたまらないですよね。私だって描いてほしいですもん。

momokei:人気が出ましたし楽しかったのでそれでやっていこうと思ったのですが、親しい人から、それを自分のメインにするとあなたは似顔絵師だと思われちゃうよって言われました。

私の目標としている「アーティスト」からは離れちゃうんですよね。あなたは本当は何がやりたいのと言われちゃって。
似顔絵師ではないかな、って思って。

構:も、もったいないですね。現状で納得しない人ですね。それと、周囲の方のmomokeiさんを観る眼がまたスゴイ。かなり叱咤激励してくださる方がおられるんですね。普通人気が出たらそれでいいじゃないって言ってくれるはずなのに。

momokei:私の目標が高すぎるんですよ。周囲の方々もご存じなんだと思います。

ピカソを見ると嫉妬します。作品を見ると、絶対追い越してやるからなって思います(笑)

構:負けず嫌い、内に秘めた思い。アーティストさんにピッタリじゃないですか。

momokei:小さい頃の、絵を直される前の自分が最強だったなって今でも思っています。自分のことや自分の絵が好きだ!って心の中で叫びながら走り回っている子どもでしたし、ずっと絵を描いていたあの頃に戻っていくことが目標です。

今、わたしの子どもの学校で絵本の読み聞かせボランティアをしています。そこに子どもたちの描いた絵が並んでいるんですが、それをじっくり見ていくのが楽しみなんです。

自由な発想で、私には描けないわっていう作品がたくさん並んでいます。最高の場所です。

今の小学校の美術教育はいつの間にかすごく良く変わっていて、あふれる感情のままに絵を描いている子がたくさんいます。彼らの絵を見ると学ぶことが常にあり刺激を受けます。子どもたちから教わっている状態ですね。

構:ピカソに嫉妬したり、子どもの絵を称賛したりと感情豊かですね。

momokei:ピカソは生涯描く量がものすごく多かった方ですね。画風をどんどん実験していたり、最終的には彼もまた子どもに戻っていくことが目標だったのではないかなって思っています。

わたしの場合、子どもの病気が多くて子育てがうまくいかないことが多く、子どものことで悩む時期が長くありました。

生真面目に取り組むほど、固定概念に縛られて苦しくなることを何度も繰り返しました。発想を転換して、頑張りすぎるのを手放したりしていくと、自分の精神が軽くなって表現の手も自在に動くようになってきました。

生きていると、真面目に行動しているにもかかわらずトラブルを経験するものですね。そのたびにアート思考と言いますか、柔軟な発想、何物にも縛られない考え方に目覚めていっている気がします。

アーティスト活動を始めた頃、並行してまた子どもの問題がいろいろ出てくるようになりました。親として正しい情報を集めたり理性的にふるまう必要がある自分と、自由に表現活動をやりたい自分。その二面性に悩むことが多くなりました。自分のあるべき姿はどっちなのか。

理知的に対処しないといけない右脳的な部分が、かえって私にとっては、想像の世界に羽ばたく左脳的な翼をより育てていたのではないかと考えています。

直近の出来事としては、子どもにメンタルの病気が生じたことから、自分や相手の心のあり方や整え方に着目して暮らしています。アート作品のほうも心を描くものになりつつありますね。


2022 NY展示作品 "Strange Tree"

構:アーティストさんというものは自分本位であり、親は子どもに一切を与えるものと思っています。その相反するところを、バランスをとっていく生き方ができたらいいのではないかなと私は思います。

momokei:確かにそうですね。最近はっきり理解したのが、子どもに対しても作品に対しても、私は愛を表現しているということです。自分の奥底の沈み切ったところから、泉のように愛が湧いていることに気づきました。

悩む、悲しい、それら全ては愛から始まっている。私の中で、”青”は悲しみではなくて愛を示す色ということに気づいたんです。

先日、コロナ禍でほったらかしだった実家のお墓を大掃除しにいった夜に、私という存在は愛の塊だった!と強烈に気づく夢をみました。

母が、コロナ禍で認知症がひどくなったんです。わたしは夢の中で、母が驚かないように、とても注意をかたむけて優しく語りかけていました。目覚めたとき、自分はなんて優しい人なんだろう!と自分自身に感動して号泣したんです。そんな体験は生まれて初めてでした。

私がやってきたこと全て、愛をこめてやってきたのだ、だからやってこれた、だからわたしはもう何をやっても大丈夫。って実感を伴って理解できたんです。

私の中で大切なものは愛だということに気づき、それを表現するには青しかないという覚悟に行きつきました。

構:悲しみの色から愛情の色に変化した瞬間なんですね。

momokei:他の色はなくて大丈夫、青ですべてを表現できるように極めていく、と決めました。最初に申し上げた、どんどん削いで作品を完成させるところに美学を感じる、というゆえんです。

コロナ過では気づかされることが多くありました。青が好きな理由は自然界の中にもあって、当時は狭い世界に生きていたけれど空はずっと見ていたんです。空は青空でも曇り空でもきれいでした。些細な日常が続く中ですが、青は空を見ればいつでも感じられます。

構:momokeiさんの中での青という色合いは、横軸だけではなく縦軸もあり、奥行きもある。立体的に感じますね。見る側にその立体を感じ取れるということイコール、カラフルに見えたのかもしれないです。

momokei:色彩を青に絞ったことで、作品をすっきりとまとめたい想いにもマッチするように感じています。また、青だけを使うという目立たせ方を、戦略としても考えています。

今年からライブペインティングをしているのですが、とても楽しいです。この作品で使った万年筆のインクは青系5色ですよ。だから、カラフルという見方をしていただいたのかもしれないですね。


2022年 ライブペインティング作品

万年筆インクは繊細な色合いが出るのですが、色があせてしまう染料系のものが多いのです。色合いの良さをデジタルとして保存、発信できないかということはずっと考えていました。

そこでNFTというものを知りました。収益という点からもNFTには取り組んでみたいと思っていましたが、ウォレットなどの導入方法がわからなくて。なかなか踏み出せずにいました。

FuturemanさんやJCATさんの取り組みに参加させていただいて、やっとNFTに関わることができるようになりました。

※JCATについてはこちらをご覧ください。

構:なるほど、デジタルにするとずっと残りますよね。それは確かにいい考えだと思います。簡単に使いたいのでしたら、@HEXANFTはとても簡単に始められて、日本人向けですよ。是非ともご活用くださいね。

momokei:もちろん!出品もしていますし、これからも増やしていこうと思っています。


HEXA出展作品

構:アナログの作品をどのようにしてNFTにしておられますか?大事な色遣いをうまく残せていますか?

momokei:スキャンや撮影をすると飛んでしまう色があったり色合いが変わったりはするので、Photoshopなどで加工して、私が目で見て感じる色合いに近づけています。

構:やはりそういった作業が必ず必要になるのですね。

momokei:せっかくデジタルにできるので、キャンバスの凸凹をレイヤーとして載せたり、アナログのテクスチャを使っていろんな風合いを出すように工夫しています。

構:原画に近づける工夫ができますね。

momokei:原画以上の風合いを出せて、いろんなアイデアを形にできます。これからは、アニメーションNFTを作ることもしたいです。

HEXAに出品しているアーティストの方々やユーザーさんのつながりをtwitterで見ていまして、雰囲気がいいなって思っています。これから作品を作って皆様と楽しんでいきたいと思っています。

原画のよさとNFTを両方アピールできる展示会をしたいですね。

構:私もそういった展示会をしたいと思っているんですよ。基礎としてアーティスト活動されている方々が集まっているので、とても濃厚な展示会を催せると思っています。NFTをされていない方もこれがきっかけでNFTという存在自体を認識できるようになればいいなって思っています。

momokei:ぜひこれから進めていきたいですね。

日本には、アートを楽しめる風土をもっと作ってもいい、伸びしろがまだありますよね。美術館など大きな箱で観る人はたくさんいますが、作家の作品に縁を感じて迎えてくれる人は少ないのかなと感じます。ニューヨークのギャラリストから聞いている話からすると、温度差を感じます。あちらでは、5万円くらいのアートを学生さんでも購入するそうですよ。

ギフトとしてアートを買うとか、部屋に飾るためにアートを買う。カジュアルな広がりは、日本はまだニューヨークには及んでいない感じがしますね。私達にやれることがまだあるように思います。

手元に置けるような小さなフィジカル作品はあまり高く売ることはできないけれど(笑)、いろんな方がカジュアルにアートを手にする機会として存在価値があると思います。

構:今皆さんで製作されていますが、そういった意味ではスマホサイズで楽しめるNFTはいいのかもしれないですね。

momokei:そうですね。ニューヨークに2020年に行ってよく見た光景として、ビルの美観のためにアートを活用しています。壁一面に、広告とかではなくアートが描かれているんですよ。

構:生活の一つの風景としてアートが浸透しているんですね。

momokei:日本は、街並みがにぎやかだからビルに絵を描く必要がないのかもしれません。ですが、アートに興味のある人が建物の中に入っていってはじめてアートを楽しめる、というシチュエーションが多いですよね。

路面にあるガラス貼りのギャラリーで個展をしたとき、通りがかりの若いカップルが、絵が目にとまって入ってきてくれたことがあって、とてもうれしかったのです。思いがけない出会い、思いがけない感動や価値観を提供できるのがアートだと思いますから、自分の常識範囲から少し抜け出したい人はNFTなり何かしらのアート展示を見てもらえたらと思いますね。

構:この青はmomokeiさんの色だというのがすぐわかるので、見せ方を工夫したら、こんなところにmomokeiさんの作品がっていう将来があるかもしれないですね!

今回は、momokeiさんの作品に込めた気持ちをたくさんお聴きできて感動しました。是非ともたくさんの作品を展開してくださいね。これからもよろしくお願いします。

momokei:ありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします。

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momokeiさんは物静かな方と思っていましたが、内に秘めた感情があふれてくるさまがとてもよくわかりました。作品を観る眼が変わっちゃいますね。

間違いなくアナログでもNFTでもご活躍されると確信できました。

是非ともmomokeiさんの作品をごらんになり、手に取ってみてくださいね。

あと、10月は#Inktober でTwitter検索してみてください。たくさんのインク画の世界、作品を観ることができます。

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今回は以上となります。


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