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名作文学に見る家 謎とロマン編

"ブンガクとケンチクの間には、微妙な相関関係がある(中略)それを承知の上で、むしろその格差を楽しみながら、名作文学に描かれた家の図を描いてみようというのが、本書のねらいである。"1997年発刊の本書は。宮沢賢治からバルザックまで【名作文学を深読みする】楽しさを伝えてくれている。


個人的には『夢想大工』という読書家と建築家のユニットの存在については事前に知らなかったものの、割と古典文学好きであることからタイトルにひかれて本書を手にとったのですが。

2〜3ページで簡単にそれぞれの作品を紹介した上で、図面と【作図にあたってのポイント】を解説する、を繰り返す本書は、取り上げている作品も『注文の多い料理店』『ジキルとハイド』『変身』『砂の女』『女の一生』など約30の多くは有名作品ばかりで【馴染みも既にあることから】とても楽しく読み終えました。

また、本書は読書好きの空想と大人のあそび心、建築史も含めた専門知識に裏打ちされたプロの視点が【絶妙のバランスを保ち続けている】わけですが(=なので、空想ではなく実際に読者から『あのホテルはどこに実在するのか?』と問い合わせもあったらしい)【自分のイメージや映画化作品との違いを比べたり】といった読者それぞれによって楽しめる余白があって、こちらも素晴らしいなと感じました。

読書好きで建築好きな人はもちろん、お気に入りの古典名作を二度楽しみたい誰かにもオススメ。

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