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子どもたちの思考を可視化させることで・・

「子どもたちが熱中して話し合える授業をつくりたい!!」
教師ならば誰でも思うことです。

しかし、現実は挙手をする子は決まっており、
自信がない子は教室で「お客様状態」に陥る・・
だから教室の空気がよどんでいる・・

挙手の数で成績をつける・・
という「脅し」にも近い教師も存在します。

しかし、子どもたちが頭に描いたことをアウトプットしなくては
いくら手を挙げろと言っても無理な話です。

もちろん私も若手の頃は、
上記のような状態でした。
(ただし挙手の数で成績をつけるという暴挙にはでませんでしたが・・)

その時その時の子どもたちと向き合い、
様々な所で学ぶ中で発見したことは、

〇全員参加を保証する
〇思考を「可視化」させる

ということです。


そこで、今回は小学2年生国語「スーホの白い馬」を題材にどのように思考を可視化させ、話合い活動を活発にさせたかについてお伝えします。
(なお、片野は国語の専門家ではないので、専門家の視点でさらにご助言いただけると幸いです)


読んで感じたことを伝え合おう

本実践は光村図書の教科書を使用しています。
この単元の冒頭には上記のように、「読んで感じたことを伝え合おう」と記されています。

学習指導要領国語科、第1学年及び第2学年の目標(2)には、
順序立てて考える力を感じたり、想像したりする力を養い、日常生活における人との関りの中で伝え合う力を高め、自分の思いや考えをもつことができるようになる。
と示されてます。

さらに、内容{思考力・判断力・表現力等}C読むこと(1)の中の
エ 場面の様子に着目して、登場人物の行動を具体的に想像する。
カ 文章を読んで感じたことや、分かったことを共有する。
と示されています。


そこで、
〇全員参加
〇思考を可視化させる
ことによって、話し合い活動を活発にするために次のような仮説を立てました。

全体の初発、6つの場面ごと、全体の最終ごとに、読んで感じたこと、頭の中で浮かんできた「色」を決め、なぜその色にしたのか理由をつけることで、話し合い活動を活発できるとともに、児童個々が、感じ合った他者の違いに気付き、違いの良さに気付くことができるだろう。

本単元では、片野が推奨する「3つのフレーム+切り口」を以下のように設定しました。
〇ビジョン
児童個々が、感じ合ったことに対して他者の違いに気付き、違いの良さに気付くことができる
〇戦略
2年 国語 「スーホの白い馬」において初発、6つの場面、最終ごとに
〇戦術
各場面で話合い活動、頭に浮かんだ「色」と理由づけをすること物語の感じ方、捉え方に対する深掘りをする
〇切り口
文章表現から感じ取る感情とその変化

*3つのフレーム+切り口については以下の記事を参照にしてください↓
https://note.com/pkjyasu/n/n34faae8e5847


違う価値を共有し合う


授業は、各場面を一読した後、表現の確認、登場人物の行動の様子などを確認した後に、ワークシートに色を決めて理由を書かせました。
そして書いたことについて発表します。

〇児童が書いたワークシート

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〇それぞれの場面での「色」づけ

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児童個々が感じたことを共有し合う

頭に描いた「色」を可視化させることで、各場面ごとに児童の捉え方が違っていることがわかります。

例えば「4の場面」(白馬が乗馬した殿様を振り落とし、怒った殿様が家来に白馬を撃ち殺せと命じた場面)では、
「白馬のなみだ」、「かなしい」「スーホに会いたい」、「矢の痛み」など様々な捉え方がわかります。

「5の場面」(瀕死の白馬がスーホのゲルにたどり着き、その姿に泣きながら延命を懇願するスーホ)では、青系を選択した児童の中で、悲しみが深く感じた児童ほど青の濃さが濃くなっています。
また、同じ色でも、「血・死」nイメージが先行した児童と、「生きてほしい」という願いが先行した児童がいたり、「生きてほしい」でも赤と黄色と違う色を付けたりする児童がいました。

理由は同じでも色が違うなど、児童個々の違いの良さに気付くことができました。

色の違いで読み深めたことがわかる
6つの場面を丁寧に読み終えた後にもう一度、物語全体の色を考え、話合い活動を行いました。

そこで「初発と最終でなぜ色が変わったのか」と問いただしたところ、
子どもたちが一瞬固まりました。
ちょっと小学2年生の発達段階では難しかったかなぁ・・
と感じました。

そこで、一人の児童の色の変化に着目させました。

この物語は、スーホと白馬との友情、殿様にぞんざいな扱いを受け、あげくに白馬は殺されてしまう悔しさ、怒り、白馬が死んだ悲しさ、白馬の亡骸を馬頭琴にし、思い出を語り合う、悲しみを乗り越えて強く生きていく想いなどが混在されています。

つまり、いろいろな感情がこの物語にはあるんだということです。
悲しみを乗り越えて強く生きていくということは小学2年生の発達段階で出なくても、楽しい思い出や悲しいことが入り混じっている・・そんな複雑な思いをもって生き続けるのだ・・と感じてくれればOKだと思っています。


児童はこの学習を通じてどう感じたのか。

「スーホの白い馬」実践での児童の振り返りを紹介します。
〇最初と最後の色が違っていたから難しかった。
〇スーホの白い馬をじっくり考えられて、みんなすごいなと思いました。
〇最初は楽しかったけれど、途中から悲しくなりました。
〇白馬は殺されてかわいそうだったけど、スーホが馬頭琴があるからよかった、(ママ)

この学習を通じて、児童個々が主体的に取り組み、学びを深めたことがわかります。

今回の学習には正解がありません。
感じたことを伝え合う。感じ方、捉え方が個々によって違う、違いの良さに気付くことがこの学習の「ビジョン」です。

そこで「頭に浮かんできた色」に対して理由をつけて考えることで、児童の思考が「可視化」され、頭に浮かんだ色を伝えるだけで児童全員が学習に参加できる状況をつくりました。(ちなみに全員がすべての場面で理由付けが言えました)

一方で課題もありました。
それは色を言うことが「目的」と捉えた児童が数名いたことでした。
理由付けにフォーカスさせることをもっと伝えるべきでした。

また、発言の後プレゼンソフトを使って色が具体化できるようにしたのは良かったのですが、タブレットを操作することで「空白」ができてしまったことです。(すぐに使えるよう事前に複製をしましたが)またパソコン操作や、大型テレビに目がいき、私も児童も空いてお顔を見て発言を聴きとるということがなおざりになりました。(音声を児童言語化するソフト、アプリを使う手はあるかもしれませんね)


話合い活動に対して、「思考の可視化」、「全員参加を保証する」ことで教室の空気を変えることができます。

国語科以外でも、いくつかの実践があります。
今後も発信していきます。
ぜひあなたの視点からご助言を頂けると嬉しいです。

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