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ハッピーエンドは信じた人にだけ、訪れる【20代OLが「愛の不時着」を観て】

※本文には若干のネタバレが含まれますのでご注意ください

韓国の恋愛ドラマがどうも好きになれない。
(私の心が汚すぎて感性が鈍っている説あります)
韓国ドラマは美しく、切なく、愛情深く、諦めない粘り強さ、信じる心の強さなど、胸に染みる人間の心の美しさが魅力だと思う。
いやでも実際現実にそんな人いなくね?非現実的すぎるだろ!
主人公側キャラVS悪者キャラという構図がしっかりしていて、「こんな人いねえだろ」というような、まるで童話のような登場人物ばかりで、私の大好きな人間の汚さ弱さみたいな部分があまり描写されないのが面白くないと思っていた。


だがしかし!そんな私にも「おっ」と思える韓国恋愛ドラマがあった。Netflix視聴ランキング上位に君臨し続ける「愛の不時着」である。
毎話1時間40分程度、16話完結…
いやなげえよ!!!!!!!スマホのバッテリー疲弊するわ!!
主人公は財閥の娘でありながら立ち上げた会社も大企業…
またかよ!!!また金持ちの話かよ!!!!!!どんだけ金持ち設定好きだよ!たまにはテイスト変えろよ!!!
親の会社の相続問題で兄弟は対立しあい、出生問題で親とは気まずい関係…
またかよ!!!また相続だの隠し子だの意地悪な家族がいる設定かよ!!!家族仲良く暮らせよ!!あとお父さんはもう少し下半身落ち着け!!!
という…
もう皆が聞き飽きたような設定が盛りだくさんで、韓国恋愛ドラマはあと3000年くらい同じようなドラマを作り続けるのだろうと思われるのだが、このドラマの良いところは別の部分にある。


まず、日本には絶対に作れない国際問題が描かれている。
朝鮮半島の統一問題についてである。
本作は北朝鮮の兵士と、韓国財閥の女性の切ない恋愛模様を主軸に置いた映画であり、全体のうち半分強(10話くらいまで)は北朝鮮での生活が描かれている。
(ほぼ北朝鮮の映画!)
北朝鮮といえば、国に関するイメージはあるが国民のイメージ(どんな食生活なのか、どんな服を着ているのか、どんな宗教を信仰しているのかなど)って全然無い。
だが、このドラマ内では、一般市民の暮らしぶりがよく描かれていて、村の格差や、人々の優しさ、素朴な生活、平壌との格差…など、フィクションが含まれているにしろ、非常に興味深いものだった。
(個人的には、北朝鮮も韓国もハングルを読み書きするなど、扱う言語的には同一だという事が衝撃でした…。北朝鮮は独自の言語を話すのかと思ってました。無知でした。)
北朝鮮の人々も、我々と同じように(当たり前ですけど)恋をしたり、子供の教育に熱心だったり、意地悪な人もいれば優しい人もいるのだなあ(あくまでドラマなのでイメージですが)と思いを馳せる事が出来、その点に置いてとても新感覚と言えるドラマであった。


日本人が普段北朝鮮に思いを馳せるのは、ミサイルをぶっ放された時など、ネガティブな事件が発生した時だと思う。
しかし、この映画を通して北朝鮮に思いを馳せた時、純粋な興味や、面白さを伴った、海外に対するごく純粋な前向きな気持ちが発生するのである。
北朝鮮に対してこのような感覚を持ったことは生まれて初めてだったので、私はこんな機会をくれた本作に心から感謝したい。
そして、愛の不時着がこれだけ話題になっているので、日本人が北朝鮮について考える事が出来るのも、検索する回数が増えるのも、とてもポジティブな事象だと捉えている。


次に、善悪を押し付けずに愛を貫き通した部分は素晴らしかった。
前述したように、本作の恋愛は国際問題を伴う。
よって、どちらかが亡命しなければこの恋は成就しないのでは?もしくは一生叶わぬ恋だからどちらにしろバッドエンドでは?と思わされていた。
が、韓国恋愛ドラマらしく、ちゃんとハッピーエンドで終わってくれる。
その終わり方が個人的には素晴らしいと感じた。
どちらかが亡命する、ということは、どちらかの国(あるいは地域)を否定する事になってしまう(し、犯罪になってしまう)が、今回2人が結ばれた舞台はスイスである。
言わずもがな中立国である。(このドラマにとっては都合が良かったですね)
愛する2人は、それぞれの国でそれぞれの生活を送りながら、スイスで1年に1回だけ会える、それまでお互いを想いながら前向きに生きてゆくという終わり方をする。
(そんな恋愛出来るわけねーだろ、つーか資金繰りは普通の人間だったら無理だろと思うかもしれないが、そこはファンタジーとして目をつむりましょう)
ここで私が言いたいのは、繰り返しになるが、どちらの立場も否定せず、愛の力で解決させた(ように見せた)というところ。
平和への願いともとれるし、1年に1回しか会えない切なさを現状への皮肉と捉える事も出来るし、とにかくこのラストには様々な願いがこもっていた。
個人的に、胸があつくなった。


最後に、女性の社会進出を描いていた点が嬉しかった。
韓国の大企業社長を務める主人公はもちろんの事、北朝鮮の偉いとこのお嬢様も、最終的に、自立した生き方を選んでいる。
「お母さん、今は未婚と非婚がトレンドなの。これからは、トレンディーに生きていこうよ」
という決め台詞を吐くのだが、これがたまらなく最高だった!
今までの韓国ドラマは、女は恋愛・結婚しないと生きていけない、だから良い相手を見つけなさいという風潮のもと、真実の愛を探す…という流れが主流だったイメージがある。
本作では、北朝鮮の女性が未婚を選ぶのだ。
北朝鮮では、韓国よりもっと女性は結婚したがるのではないだろうか。(というか本作でもそのように描かれていた)
その中で、未婚を選ばせるとは…と、私にとっては衝撃かつ嬉しい展開だった。
どの国でも自分らしく、信じた道を素直に進める状況になってほしい。
ますますそんな願いが胸に残ったのである。

ずらずら書いてきたが、本作を通して、「平和は作れるということをもっと信じたい」という、純粋な気持ちが再燃した。
平和のために生きていきたい、と純粋に思えた。
まだ観ていない方は是非、(長いですが)本作を観て、普段関わりのない国の人々に想いを馳せて頂けたら幸いです。
あ〜〜〜てか韓国いきたい!
早く!
自粛解禁出来る日が来てくれ〜〜〜〜〜〜!!!!!!(キンパをバカ食いしたい、キンパってめっちゃ美味しくないですか?え?地味?…そうですか…)

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