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コンサルティング業界面接対策の裏話

1.はじめに

最近、面接の時期なのでしょうか?(2023年5月初旬)
コンサルティング会社の面接対策の投稿をツイッターで多く見かけます。しかし、その内容は玉石混交。コンサル面接対策警察になる気はありませんが、余りにも石が多く目立ってしまいます。

ファクトと異なる情報が氾濫する事を是正したい職業病。それがコンサルタントの性です。その様な背景から、この投稿を行います。

本投稿の目的は、コンサル会社の面接に関するある一面から見たファクトを提示し、些末な面接対策に流されず、本筋を外さない面接準備を可能とする参考情報の提示です。(賢明なる読者の方々には、自明の通りです)

そして、何よりコンサル業界に優秀な方々がより多く参画されることで業界の発展を通じて、各クライアント企業の課題解決の総量がより大きくなることを期待しています。

今更ながら。私自身は、新卒からいわゆる戦略領域のコンサルタント職を続け、数十年のキャリアを有します。その中で、新卒・中途採用活動にも相応に関与した経験を有します。また、見事採用された方々がコンサルタントとして活躍される(残念ながら離脱される)軌跡を見てきた中で、私なりの面接論を吐露させて頂きます。

2.会話は成り立ちますか?

ツイッターでは、フェルミ・ケース対策をよく見ますが。枝葉です。必要条件の1つぐらいに考えて下さい。今や対策本が書店に沢山販売されています。SPI?などと一緒です。本を買って対策しましょう。

え?ちょっと待って?という事は、皆が同じ情報にアクセス出来る様になり、事前の準備も出来るとなると、それだけでは大きな、差がつかないってことを仰っていますか?故に、フェルミ・ケースと気張ってみても大した成果が得られないという事ですか?

流石、賢明なる読者の皆様するどいですね!

そうです。お気づきの通り、フェルミやケースは、皆が平等に対策を取ることができるのです。勿論、全く差がつかないとは言いません。実際、かなり差がつきます。この人は優秀だ。一目で分かります。但し、フェルミやケース。冷静になって考えてみて下さい。それこそAIが解決してくれるレベルの課題じゃないですか?ラーメン店の売上を何倍にするかってのをChatGPTに入力してみてください。サクッと回答してくれますからね。

いつしかAIに我々の付加価値も置き換わっていくと思いますが、今のところ、対人関係を通じて価値をお届けするスタイルは当面続きそうです。

故に、会話が成立する事が重要になるんですね。なぜ、その様に考えましたか?こういうロジックも考えられたと思いますが、今回、その様な手立てを用いず、主張のロジックを適用されたのか。理由を教えて下さい。なぜ、このロジックが今回のケースに最適と考えたのですか?

これに対し、今回のケースの前提を踏まえると、依頼内容の背景をこの様に考えました。事前に3点ほど質問をさせて頂き、かくかくしかじかの回答を頂きました。これを踏まえると、〇〇を今回の試算で最も留意すべき点考えます。その際に、考慮すべきは主に3つあります。まず第一に〇〇であるべきと考えます。何故なら~。とか論理展開されると、おお!となります。(テンプレートっぽいですが、主張を述べて根拠の構文は鉄板で論理的に非常に強い話法です。もちろん、その根拠が聞き手側の想定を超える事が前提なのですが)

つまり、フェルミやケース問題を賢く計算できます。は、AIの世界。その上で、その解法含めて、なるほど、この方のご提案の内容は我々にとって聞く価値がありそうだ。と会話を通じて伝えらえるか。ロジック選定に至った背景の思考プロセスと、それを会話を通じて丁寧かつ説得力を持って伝えられる言語能力が大切ということですね。

(ちなみにフェルミやケースに関しては、AI登場前の文脈ですが、コロナで暇していた時に、駄文を連ねていますのでご参照下さい。)

3.強い意志はありますか?

コンサル会社は3年間修業に行く場なのでしょうか?

例えその様な背景があったとしても、ファームでお客様に貢献する身として、腰掛のお勉強の場にして欲しくはありません。何故か?その様な思考・態度(さすがに態度にまで出さないでしょうが)は、お客様に対して非常に失礼だからです。お客様の期待があってこそ成り立つのが我々の商売です。そのお客様の期待を軽く超える。それだけの努力、思考、あらゆる手段を持ってして貢献する強い意志はありますか?と、問われているのですね。

コンサル業界に入ってくる方の中には、ご実家で事業を行っていて将来は実家を継ぐことが既定路線。という方もいらっしゃいます。そういう方こそ、お客様への最大限の貢献をされますね。お尻を叩くどころではなく、手綱を絞る。仕事しすぎだから、少しは休んでね。プライベートも充実させてね。と、こちらが気にする程、お客様への貢献に真摯に向き合います。(まあ、こういう方は優秀なので、プライベートも超充実されているのですが)

故に面接でお伺いするのは、言葉には出しませんが、他に所謂ホワイトな職場の選択肢があるなかで(コンサル業界もホワイト化していますよ)、あえて、コンサル業界を選ぶ理由は何故ですか?とお伺いさせて頂いています。納得度が高いのは、原体験をお持ちの方。何かしらお客様の課題解決に貢献し、大いに感謝をされた。とか。それこそ、日本経済を元気にしたい。という様な理由でも大丈夫です。お話を伺っていると、ご本人が本心で仰っているのか、飾り作った言葉なのか。迫力で伝わりますからね。

つまり、コンサルティング業を通じて、お客様に貢献したい。その強い意志を根拠(原体験など)を伴ってお伝えできると、良いという事ですね。

4.非連続な成長経験はありますか?

そして、これです。

面接あるあるで、あなたの強みは何ですか?と問う前に、私の強みは~。とご説明を頂く事もありますが。極論、今お持ちの強みが通じるならば、今すぐパートナーになって下さい。となる訳です。あり得ないですよね?あなたは、まだ、何もできません。それこそ議事録がやっと書ける様になりました。ロジでこんなに頑張りました等々。ここから始まるのです。そう。これから、あなたは想像も出来ないぐらい成長されるのです。その期待を我々に示して頂きたい。我々としては、今後も大いに成長される方である。その様な確信を持ちたいのです。

故に、お伺いするのが、「非連続な成長経験」です。

自分自身でも予想だにしなかった、殻を破った成長経験をお持ちですか?といつもお伺いさせて頂いています。その事例は何でも結構です。勉強で外国語をエキスパートレベルまでマスターした。長年の伝統ある体育会の主将として組織崩壊していた人心をまとめて、〇〇大会の優勝に導いた。当時は考え得る手段は全て手を尽くして。それでも成果が出ないのは何故かと考えた時に、自分自身の振る舞いの過ちに気づいた。それを是正した事で~。という様な、自分自身を変革したお話をお伺いできると。この方は、無理難題と思えるタスクが降りかかっても、自ら解決する能力をお持ちだ。と明快に理解する事が出来る訳ですね。

但し、自分の過去は変えられません。素直に、自分の挑戦を語ってくださいね。そして、激務()と揶揄される難題から、逃げず(嫌になったらいつでも転職すればいいんですよ)、自己を成長させて、如何にお客様に貢献できる人材があるか。これを伝えることが大切なんですね。

過去の雑感を載せております。ご参考までに。

5.個性を発揮できそうですか?

最後は、対策でも何でもありません。素の自分で勝負しましょう。

ここまでくれば、大丈夫です。フェルミやケースが出来れば、コンサルさんになれる訳じゃない。と分かって頂けたでしょうか。

本稿をお読みになって、残念ながら、面接をハックしたり、安易に回答を与えてくれる内容では無い事にがっかりされたのではないでしょうか。一方で、よし!コンサル業界でお客様の経営課題の解決に貢献していこう!と覚悟を新たにして頂いた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

コンサルティング業界も多岐に渡ります。

この業界に共通する嗜好性を1つ挙げるなら、お客様への貢献。お客様の成功にどれだけコミットし、持ち得る能力、リソースを最大限活用して、ご支援をするか。これに尽きるのでは無いでしょうか?

そうです。貢献の仕方は、あなた次第。

プログラム化、工業化が進むコンサル業界を片目に見ながら、とはいえ、アサインされるコンサルタントの数だけ、解決策が出てくる。未だ、個人商店の集合が数千億円~数兆円の規模になってしまう、職人芸と工業化をない交ぜにした業界。それが今のコンサルティング業界なのですね。

是非、手段に踊らされず。目的意識を持って、お客様への貢献を通じて、世の中を少しでも、明るくする。その一助になりましょう。

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