見出し画像

自分だから。

枯れた植物に雪が降り、氷の蕾を作り出す季節。
土の混じった茶色い雪が、靴の隙間から入り込む。

ああ、冷たいなあ

生きてるなあ、どうしようもなく

お腹がぐぅと音を立てる。俺様は腹が減った、飯をよこせ、と言っている。
五月蝿い。クソなお前に、絶対飯なんかやらねえ。
意地でラーメン屋を素通りする。マクドナルドを素通りする。コンビニを素通りする。お前に飯なんかやらねえ。

びしょびしょだった。コートも、靴も、ズボンも、靴下も、目も。玄関で服を脱ぎ、洗濯機に放り込む。生きてるなあ、生活してるなあ。全部全部どうでもいいと心の中では呟きつつ、必死で自分を生活させている。

偉い
偉い
偉くない
偉い

自分で自分を褒めたくない。認めたくない。優しくしてやりたくない。喧嘩したい。殴ってやりたい。
褒められるべきじゃない。認められるわけがない。まだ何もしていない。
何もできない。かじかんだ指先で画面をタッチするだけ。食べるだけ。寝るだけ。
世界中の誰より嫌いだ。



・・・



優しい。僕は優しい人。誰にでも優しくできる。
気づいた。
他人に優しくするのなんて、僕にとっては簡単だ。
息を吐くのと同じように、優しい言葉をかけられる。欲しがっている言葉をあげられる。
でも、できない。できないのは、自分に優しくすることだ。
世界中で自分だけが、憎くて嫌いでしょうがない。
嫌いでしょうがないのに、こいつは自分だから。
自分だから、必死で生活させるし、ご飯を与えてあげるし、お風呂にも入れてあげなきゃいけない。服が濡れたら着替えさせてあげなきゃいけない。身体をあっためてあげなきゃいけない。自分だから。
全てがどうでもいい。どうでもいいのに、どうでもよくない。
何の為に?それすらわからない。わからないけど、生きている。生かしている。苦しんでいるのも自分。苦しめているのも自分だ。


身に降りかかる困難は、全て自分に原因がある



持論。持論っつっても、きっとどこかで一字一句同じ文言を誰かが言ってるだろうってぐらいのもの。誰にでも、とは言わないけど、大抵の人には当てはまるんじゃないかなって思っている。
どうすればいいのか。どうしたいのか。誰か教えてくれないか。嫌だろうがなんだろうが、もうそんなこと言ってられる場合じゃないのはわかっている。もう考えたくもないんだ。考えてもどうせ何も出やしないから。
自分のことなのに、さ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?