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そもそもプロダクトマネージャーって?

なんのお仕事されてるんです?

息子の所属する野球チームのお父さんやお母さんから「どんなお仕事されているんですか?」「なんのお仕事されているんですか?」とたまに聞かれます。
その原因は私の容姿が金髪だったり、ロン毛だったりと髪型がしょっちゅう変わり、時にはピアスしてたりとどう見てもネクタイ締めて仕事をしているようには見えないためなんですが。。。

それはさておき「どういう仕事」、「なんの仕事」という質問に対しては「インターネット系のお仕事です」という無難な回答をしています。
細かく咀嚼して考えると自分の仕事は所謂プロダクトマネージャー、PdMと答えるのが正解なのかなと思っています。

いつからPdMになったのか?

プロダクトマネージャーと自称するようになったのは前職ピクシブ社あたりからとなるのでしばらく経ちますが、入社当初は「ディレクター」を名乗っていていつの間にか「プロダクトマネージャー」と呼称が変わりました。

そう。言うならば自分がプロダクトマネージャーになろうと思った訳ではなくいつの間にか自身の仕事がプロダクトマネージャー(以下PdM)と呼ばれるようになっていたというのが正解です。
なので自身でPdMの仕事って定義はあまりしたことないのですが改めて自身で何を意識してやってきたかを記していきたいと思います。

PdMの一般論

PdMとは極論その務める企業やサービス、プロダクトにおいて定義がまちまちです!!以上!!
「わしが男塾塾長江田島平八である!」並みに言い切りたいところですが一般論に基づいてお話をしたいと思います。

PdMは自社のサービスやプロダクトを通じて満足度を上げるためにユーザー課題に尽力して、ユーザーとサービス双方が最大利益を得るために動く仕事であり、その上で企業の利益を作るために重要なポジションなのかなと思います。
PdMという言葉は近年SaaSサービスやtoC、toB問わずインターネットに関わるサービスを展開する企業を中心によく聞くようになりましたが、比較的まだ新しい職種だと考えています。

じゃあ、プロジェクトマネージャーとどう違うんよ!?

よくPMという言葉が使われ混同されがちなのがプロジェクトマネージャー。
 プロダクトマネージャーとプロジェクトマネージャーって何が違うの?って公私ともに結構多い質問です。
プロダクトマネージャーとプロジェクトマネージャーの視点と役割というところでいうと以下のような形になるのかと。

プロダクトマネージャー
◆ 視点
 ・ユーザー課題の解決

 ・技術的実現可能性

 ・経済性(ビジネスモデルに沿っているかや予実の意識)

◆ 役割
・ “課題の発見と解決、価値創造” に責任を持つ
・Why と What に集中する(どんな課題があるのか? 何を作るのか? なぜ作るのか?)
・会社のゴールをユーザー側に立ってプロダクトの形にすることが最大の役割

プロジェクトマネージャー
◆ 視点

・品質(要件の充足と不具合の少なさ)
・開発コスト
・リリーススケジュール

◆ 役割
・“プロジェクトの推進” に責任を持つ
・When と How に集中する(進行管理、品質、コスト、納期......)
・プロダクトを市場に出荷(リリース)することが最大の役割

なげーよ!って思われるかと思いますので要約すると。。。

PdMはプロダクトをつくること、リリースすることだけが仕事ではなく、ユーザーの課題を発見し、解決するための体験を考え、事業の成長といったビジネス面にも責任を持つことが仕事なのかと思います。

PdMは「賢者」を目指すべきだけどスーパーマンではない

ここまでつらつらと堅苦しく書いてきましたが、これはPdMのフレームワークに過ぎず、このフレームワークにそれぞれ経験してきたことや得意なことが肉付けされてPdMとしての活躍が望ましいのかなと思います。
理想を言うならばドラクエⅢにおけるジョブチェンジの世界観なのかなとは思います。
魔法使い、僧侶、遊び人だけはレベル20になったらダーマの神殿へ悟りの書を持っていき「賢者」へ転職できる訳ですがPdMもその概念に近しい感覚があります。さらに賢者からその先に戦士や武道家へとジョブチェンジをしていくことで魔法戦士といった攻撃力が高いアビリティを身につけていくことが可能になります。
PdMのレベルアップもその概念に近いものがあって開発に長けたPdM、事業開発に長けたPdM、集客戦略に長けたPdM、施策や企画に長けたPdMと100人PdMがいれば100色のPdMが存在すると思います。

また、PdMはスーパーマンである必要はないと思います。むしろ事業やプロジェクト、プロダクト開発の現場では仕事は一人でする必要はありません。それぞれ職能に合わせて得手不得手はあります。不得手なものは思い切って人にお願いする、調整するというのもPdMの職能の一つです。
ケースに合わせてチームの手綱が引けるか否かがPdMに対して求められるものなのかなと思います。

何よりも自身のプロダクトを知り、プロダクトを運営する、考える、開発するという高い山頂を目指す登山にも似た行程をメンバーと共に進んでいく意志が必要です。
そして時にはメンバーのための「シェルパ」のような存在であり、マラソンでいうなら伴走者なのかなと思います。

役割としてのPdM

PdMを「ミニCEO」と定義する方もいます。
プロダクトやサービスの関わりかたに対するイメージとしては当事者意識を持って携わるという点では間違ってはいないと思います。
ただ、PdMはステークホルダーといかに話し、道筋を定めゴールに向かっていくか、ゴールできるかを考えるため当然のことながらCEOとは視座は異なります。

なのでPdMは「艦長」的な存在なのかなと思います。
アニメでイメージするなら機動戦士ガンダムのブライト・ノアやエヴァンゲリオンの葛城ミサトのような存在であると。

エヴァンゲリオンでイメージすると。。。

使徒殲滅という課題解決を行うためのプロダクト「汎用人型決戦兵器人造人間エヴァンゲリオン」を運用する現場が「特務機関NERV」

ステークホルダー ・・・ 碇ゲンドウ or 冬月コウゾウ
CTO or テックリード ・・・ 赤木リツコ
PdM ・・・ 葛城ミサト
開発現場メンバー ・・・ 碇シンジ and 綾波レイ and 惣流(式波)・アスカ・ラングレーetcエヴァンゲリオンパイロット and 中央作戦司令部作戦局第一課

課題:第3新東京市の防衛と「サードインパクト」を防ぐこと
目的:接触してくる使徒の調査や研究、殲滅

こんな感じなのかと思います。これが人類補完計画になるとPdMは碇ゲンドウでステークホルダーがゼーレとなる感じですかね。
なので私は葛城ミサト視点での仕事ということを意識するようにしています。

「ですが、碇司令!?」と「行きなさいシンジくん!」と言えるのが理想的な姿なのかなと。

プロダクトオーナー(PO)との違い

プロダクトオーナー所謂POと呼ばれる人たちは、プロダクトの事業計画、開発計画を立案し、その青写真を実行するためのイメージを描いて、諸々の条件を満たしたプロダクトの開発指揮を行い責任を持つ人たちだと考えます。
また、プロダクトの価値を高めることに責任を担い、プロダクトの利用者を増やし、利用者にとって利用する意味のある状態や機能性を高めていくことに責任を持つのが役目だと考えています。私自身そう考えてやっていました。
プロダクトバックログを保全し、issueの一つひとつの中身を明確にする活動を地道に行います。
また、それに対してPdMはプロダクトを牽引するための集客やマーケ知識、施策検討、バックログ管理以外にもソフトウェア開発の知識やスキル、プロダクトマネジメント、チーム運営なども担うことが求められのかなと考えています。(全部が全部やれる訳じゃない)

「とは言うてもやで!?せやかて工藤!?」
とPdMが複数人いるようなチームや企業はこういう形を組織的に形成していけるとは思いますがなかなか都合良く職務分掌ができる訳ではなく職能や前述の得手不得手問題もあるので兼任していたり、上手く棲み分けられていないのが現実なのかなと思います。
それこそ企業において定義が乱立しているように思いますしプロダクトの数だけ形が存在していると思います。

さっきのエヴァの例えに戻ると、碇ゲンドウは「ゼーレのシナリオ通り」と発するので引きで見るとゲンドウがPOにあたるのかなと。
ゲンドウにはゼーレというステークホルダーの課題である「人類補完計画」があって、その課題解決をするためにNERVとエヴァというプロダクト運営の責任者をやりつつも自身の成し遂げたい「人類補完計画」が別に存在するといった非常にややこい感じにはなっていますが。。。

toC向けプロダクトを作る上で考えてること

これは私がクリエイター向けプラットフォームなど色々と携わってきた上で考えることですので主観的な見解です。


◉三方良しであるか否かの視座

基本的な考え方としてユーザー視点、利用者(クリエイター)視点、プラットフォーム視点の「三方良し」であるか否かを重要視していました。

本来の三方良しは「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の三つの「良し」です。 売り手と買い手がともに満足し、また社会貢献もできるのが「良い商売」であるという考え方です。

それをプロダクトに置き換えると「売り手」=クリエイターなどのプラットフォーム上での発信者。「買い手」=「クリエータのファン」、「世間」=「プラットフォーム」という考え方だと思います。

◉三方良しは近江商人の考え方

近江商人は、中世の封建時代に全国各地を商圏として活動しており、当時、他国で円滑に商業活動を行うためには、自己や顧客の利益だけではなく、商業を行う地域への貢献の視点を持つことが非常に大切でした。 そうした背景から「三方良し」の理念が生まれました。
これは現在のクリエイター向けプラットフォームなどのtoCプラットフォームを開発・運営をしていく上でも重要なことだと考えています。
プラットフォームの中でサービスや機能を提供し、クリエイター、そのファンや利用するユーザーが相互で利益を享受できる状態が最善であり、健全な状態であると言えます。

◉みんなが嬉しいを作るマインド

これはプロダクト、プラットフォームを利用する人々の「嬉しい」を作れることが最重要視されるべき前提です。
そしてその健全な状態であるプロダクトがより良いユーザー = 発信者や利用者を開拓していくことでクリエイターはクリエイティブを発信し続けることができる状態となって、その結果、利益やクリエイティブを発信し続けるモチベーションを担保していけると考えます。
またクリエイターの発信が継続されるからこそ、その対角線上に存在するファンもクリエイターとのエンゲージメントが切れずにモチベーションの維持または向上すなわち「好きであり続けられる」と考えます。
そしてそのエンゲージメントが濃いものであればあるほど他者へレコメンドされその経済圏は縦軸にも横軸へも拡張され続けることが可能になります。