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おしまいの夢

その夢の中で、僕はひとを殺した。

すっかり子供の姿になった僕は、おなじく子供の友達3人と暗いビルのなかで息を潜めていた。皆の手にはそれぞれ別の形の銃があり、僕はスナイパーライフルを持っていた。

だれをやろうか、なんてことを小声で話し合ったりしていた。先生に悪戯するような無邪気さだった。
クスクスと笑い声が響くなか、そっとスコープを覗きこむ。

ミニチュアになったような町のなかで、数人の大人が歩いているのが見えた。そのなかの一人に自然と照準を合わせていた。見たこともない人なのに、こいつは悪いやつだと、根拠のない確信があった。指はいとも簡単に引き金をひき、音もなくそいつは倒れた。

殺しの実感が生まれた直後、死体の横の人間が振り向いた。その人はじっとこちらを向いている。それは町の神父だった。
「バレた」と思った。心臓の動きが加速し、いまになって指が震えていた。

そして、教会に僕だけが呼び出された。

目の前の神父はただこちらを見て、僕がなにかを言うのを待っている。その目には愛も怒りも含まれていなかった。

品定めするようなその目に耐えられずに俯くと、いま言うべきことはなにかを必死に考える。

遊びだったと言おうかとおもい、友達にも被害がおよぶかもしれないとやめた。
あいつは悪いやつだったと言おうかとおもい、自分もそうなってしまったと気づいてやめた。
いろいろと考えても、免罪符など見つからなかった。かわりに友人達の無邪気な笑顔が思い出されは憎しみが沸き、それでも巻き込めば嫌われてしまうと唇を噛んだ。

冷や汗と血がぽたぽたと垂れる頃に、ふとおもい至る。


あぁ、人生はもうおしまいになっちゃったのに。それでも僕は人の顔色を気にしてしまうのか


途端、ひどくばかばかしくなって、冷笑がひとつこぼれた。
僕は顔をあげ、神父の目を見つめなおした。言うべきことなどなにもなかった。どこからか分からないが、とっくに終わっていたのだ。

目の端から涙が一粒だけ伝い、血と混じってまた床に垂れた。


***


1年ほど前にみた夢の話です。
たまに、「こんな状況でも、僕は僕なのか」と嫌におもう夢をみます。

基本的には自分ことが好きですが、どこかで心底嫌ってるのかもと、そういう時に感じます。

代行業者に追いかけ回され友達と車で逃げた夢もありますが、それはまたいつか笑

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