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[日記]1粒ごとにパックに入れられている高級苺を食べた

いつか食べたいと思っていた。1粒ごとに恭しくパック詰めされた高級苺。一体、普通の苺(1パック400円前後くらい)とどれくらい違うんだろう。驚くほど甘いのだろうか。パックを開けた瞬間に苺の香りが強く漂って来るのだろうか。もしかして苺に対する既成概念が覆るほどの…などとデパ地下で孤高の1粒苺をお見かけする度に思っていた。

高級と言えども苺は苺なので、決して買えない値段ではない。しかし「苺1粒にこの値段…」と生来の貧乏性を発揮して今まで手を出さないでいた。食べてもしそれほどでもなかったら凹む。

遠くから見守るだけの憧れの存在。

そんな苺さんが、今日は一気に庶民的存在になっていた。

恭しく一粒ごとに白く柔らかい網のアレに包まれ恭しく一粒ごとにパック詰めされている姿はいつもと同じだが、今日はパックの蓋に原色の赤と黄で『100円引き』と印字されたシールが貼られていた。

近寄り難そうなお嬢様が実はアニオタだったと判明した時くらいの親近感がわいてしまった。
迷わず購入。

1パック500円少しの苺が半額で売られていたので、それも併せて購入した。食べ比べだ。

夕食後のデザートタイムに実食。

恭しく閉じられた蓋を恭しく開けて恭しく写真を撮り、恭しく白い網のアレを脱がして恭しく水で洗って恭しくお皿に乗せた。

気になっていた蓋を開けた瞬間の匂いだが、「無」だった。控えめな子なのかもしれない。

さて、高級苺、ヘタから行くか、先っちょから行くか。

インターネット知識によると比較的酸っぱいヘタの方から行くと比較的甘い先っちょの方をより甘く感じるらしい。

ヘタから行きましょう。高級だからヘタも甘くて驚くに違いない。

フォークで苺の胴体を横からブスリと刺すと、白いヘタ側にかじりついた。

驚いた。

酸っぱい。そして少しかたい。歯応えがある。

高級と言えどもヘタ側は酸っぱいものなのかもしれない。逆に考えればヘタ側が酸っぱいことで、ものすごい甘い先っちょ側がもっと甘く…

そんなことを思いながら、もう一口。今度は柔らかい。

驚いた。

味が薄い。水分は感じる。あれだ。甘くないメロンの皮に近い部分に似ている。噛む度に酸味とほのかな甘味を感じる水分が出てくる果実。

何かを予感しながら最後の一口。

先程の一口と変わらない。

なるほど。自称高級苺の味はわかった。念のために普通の苺と食べ比べてみよう。同じくヘタから順にかじっていく。

驚くほどに同じ味だった。見た目も大きさもほとんど変わらない。(上が普通の苺で下が高級苺)

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一体何がこの2つを分けたのか。

決して美味しくなかったわけではない。苺は苺だった。スーパーでよく買う苺と同じだった。

私が1粒苺に期待し過ぎたんだ。複数の苺が1つのパックに詰められていようが、1粒だけ小さいパックに入っていようが、苺は苺なんだ。

甘かろうが酸っぱかろうが味が薄かろうが、農家の方々が丹精込めて作ったものには変わりない。ありがたく頂こう。ありがたく頂いた。

ごちそうさまでした。

お金をください。