見出し画像

人材エージェントと信頼関係を構築するには

こんにちは。ピノシタあらため木下です。
自分の知識の棚卸しのために始めたnoteですが、ながれで所属会社名と実名を公開することになったため、より(書ける範囲で)具体的な内容にアップデートすることにしました。

わたしは現在ダイレクトソーシングという会社で採用コンサルタントとして働いています。担当させていただくことが多いのは、エンジニア、プロダクトマネージャー、デザイナーなどをはじめとする、いわゆる採用難易度の高いと言われる案件です。
コンサルティングを行うなかで、採用する企業と転職する求職者のどちらにとっても「本当に良い採用」とはなんだろうということを中心に据えて考えることを大切にしています。
「本当に良い採用」ができれば、「企業が活躍人材を採用すること」と、「求職者が転職で叶えたい人生の変化を実現し、新しい場所で活躍すること」の両方を実現できると思っています。
そのために、エンジニアリングの技術やフレームワーク、デザイン思考やプロセスなど、日々アップデートされる情報を把握し、企業と候補者に対する理解を深めています。そして新しい採用手法や候補者の行動動線などについて整理し繋ぎあわせることにより、効果的な採用施策を模索しています。

ところで採用担当者のみなさん、人材エージェントと契約したけど思ったほど推薦数が上がってこない、書類選考率が上がらない、そんな悩みはありませんか?
エージェントと契約したら、あとは良い人をどんどん推薦してくるのを待つだけ...というと、そんなことはありません。待っているだけだと上記のような悩みを抱えることが多々あります。
この記事では、人材エージェントと協力関係を築き、エージェントという採用チャネルを活性化させるためのポイントについて、事例を交えながらご紹介します。

人材エージェントを理解する

人材紹介会社は、求職者と企業をマッチングさせるサービスを提供しています。

人材紹介会社のビジネスモデル

人材エージェントと信頼関係を築くには、まず、エージェントがどのような役割を担い、どのようなミッションを持っているかを理解することが大切です。

人材エージェントの役割:求職者と企業をマッチングさせる

具体的には、下記の流れとなります。

  • 候補者を探す

  • ポジションを紹介する

  • 候補者の応募意向を獲得する

  • 企業へ推薦

  • 書類選考が通過した後の選考のフォロー

選考フォローには、候補者・企業双方の日程調整や、面談後の感想回収、お互いのミスコミュニケーションになっている部分のフォローなどが含まれます。

人材エージェントのビジネスモデル

  • 内定に至った場合、企業側から一定の手数料を受け取ることで利益を得る

成功報酬が基本となり、金額は求人条件や採用された求職者の給与額によって異なります。一般的には、採用された方の年収の30%前後、場合によっては100%というケースもあります。

ひとりあたりのRA/CAが抱える案件数

人材エージェントに所属する営業担当者(以下、RA)やキャリアアドバイザー(以下、CA)が抱える案件数は、会社によって異なります。

一般的な例は下記の通りです。

  • RA 10~20件程度

  • CA 50~100件程度

候補者、企業、エージェントがWin-Winになるためには

契約時に一度ポジション説明と必要人材要件を伝えたら、あとはエージェントに任せきりという企業も多くあります。
しかし、前述の通りRAやCAが抱える案件は非常に多く、今や「エージェントが企業を選ぶ」時代になっています。
エージェントと企業が協力関係を構築することで、マッチした候補者にポジションの魅力が届き、候補者と企業側にとってお互いにベストな転職が実現できます。
これは同時に、エージェントも価値貢献していることとなり、3者(候補者、企業、エージェント)にとってWin-Winな状態が実現すると言えるのではないでしょうか。

人材エージェントとの信頼関係を深める

エージェントは「ひとりあたりの RA/CA が抱える案件数」通り、多くの案件を抱えており、毎月社内外に対し数字を追っています。
候補者から応募意向を獲得しても、書類選考が通らなかったり、候補者が他社と迷ったりすると、「決まりやすい案件」「候補者にウケのいい案件」に紹介が偏ってしまうことがあります。
では、どうすれば人材エージェントが積極的に協力してくれるようになるのでしょうか。

採用担当者と人材エージェントで協力体制をつくる

「決まりやすい案件」になると応募が増えるかもしれませんが、人材要件をいたずらに下げるわけにはいきません。
そこで、目指すべきは「応援したい案件」になることです。
エージェントの方に「応援したい」と思われるためには、企業側がお客様スタンスから抜け出し、「企業とエージェントで対等なタッグを組む」ことが大切です。

1.「どういう人が欲しいか」だけではなく、「なぜ必要なのか」を共有する

ゴールデンサークル理論を知っていますか?
なにかを伝えるときに「WHAT」→「HOW」→「WHY」で伝えてしまいがちですが、「WHY」から伝えることで、相手の感情を揺さぶり、共感を得ることができるというものです。

サイモン・シネック氏が2009年の『TED Talks』で発表したゴールデンサークル理論は、熱狂的なファンを持つ Apple の商品説明手法や、マーチン・ルーサー・キング牧師のスピーチがなぜ心に響くのかを解明し、話題になりました。

Appleが他の会社と同じだったらこんなCMを作るでしょう

(What)「我々のコンピューターは素晴らしく
(How)美しいデザインで簡単に使え、ユーザーフレンドリー
(Why)ひとついかがですか?

これでは心は動かされません
Appleならこんな風に伝えます

(Why)我々のすることはすべて、世界を変えるという信念で行っています        
    違う考え方に価値があると信じています
(How)私たちが世界を変える手段は、美しくデザインされ、簡単に使えて親しみやすい製品です。こうして素晴らしいコンピュータができあがりました。
(What)ひとつ欲しくなりませんか?

サイモン シネック: 優れたリーダーはどうやって行動を促すか/TED より抜粋

感情と紐づいた記憶は残りやすいため、印象に残ると言われます。また、共感は好感につながりやすく、その結果としてファン化する可能性もあります。

エージェントに対して、単に「どういう人が欲しいのか(WANT)」を伝えるだけではなく、「なぜその人材が必要なのか、何に取り組み、何を解決するために必要なのか(WHY)」という理由を伝えることで、相手の感情に届き、共感を得られる可能性が高まります。
人は感情的なつながりを持つことでより深く関わり、共感する傾向があります。

そのため、求められる人材の背後にある目的や課題、解決すべき問題を明確に伝えることで、相手がそれに共感しやすくなります。共感を得ることによって、人々はその人材や組織に好意的な印象を抱き、ファンとして支持する可能性が高まるのです。

2. どちらか一方が「待ち」にならないコミュニケーションをとる

次に目指したいのは、「気軽に相談しあえる関係」かつ「応援したいと思ってもらえる状態(ファン化)」です。

ポジションの背景や、現状の課題について熱く伝えエージェントの熱量も上がったけれど、書類選考の結果をもらうのに数日かかったり、選考のフィードバックが催促しないと出てこないなど、一方の「待ち」が多い状態では、ヘルシーな信頼関係は築けません。
どうしても社内事情により時間がかかってしまう場合は、なぜ時間がかかってしまうのかも合わせて相手に説明しておきましょう。

「この候補者さんのこういう部分はマッチしそうだけど、懸念点もあるな」とエージェントが感じた時に「ちょっと〇〇さん(採用担当者)に聞いてみよう」という気軽なコミュニケーションが心理的な障壁なくとれる関係性を目指します。

人材エージェントとの関係づくりの事例

実際にエージェントと、協力関係を構築している事例をご紹介します。

■『Podcast「LINEの横道さんに聞いてみよう!』(多分)PMに日本で一番会っているエージェントのキャリアnote ~三度の飯よりPMが好き!~/クライス&カンパニー社noteより

PMの採用に強いクライス&カンパニーが業界の有名PMをゲストに迎えトークをするPodcast。採用ポジションの紹介ではなく、PMという仕事そのものを掘り下げてお話しを聞いているのも面白いポイントです。

■フォースタートアップス株式会社 キャリアイベント

外資系テック企業からスタートアップへ転職した方たちに登壇してもらい、スタートアップでのキャリアを紐解くイベント。

企業の一社単独開催では集客に苦戦する可能性もありそうですが、エージェントを媒介に複数社で実施することで「外資系テック企業で働く方」という参加者条件での実施を可能にしたのではないでしょうか。
オフラインイベントだったため、交流会も設けられており、登壇企業と参加者が自然な形で交流できるのもポイントです。こうした人材紹介企業主催のイベントに参加するのもエージェントと協力関係を築くのに有効だと言えるでしょう。

ちなみにわたしが所属しているダイレクトソーシング社の基幹事業でもあるダイレクトリクルーティングと今回お話ししたエージェント採用は二項対立のように捉えられがちです。しかしながら、わたしが実際に担当している採用難易度の高いポジションの採用を成功させるためには、特定の採用手法にこだわらず、すべての採用チャネルのポテンシャルを最大化する必要がある案件ばかりです。

目指すのは、企業にとって活躍人材を採用すること、そして求職者の方が転職で叶えたい人生の変化を実現し、新しい場所で活躍できるきっかけを作ること。そこに少しでも貢献できることは採用コンサルタントとしてこの上ない喜びです。

まとめ

今回は、人材エージェントと信頼関係を築くために必要なポイントについてご紹介しました。まとめると以下の通りです。

  • エージェントを理解する

  • 協力体制を構築する

  • 適切な情報共有により、共感を得る

  • コミュニケーションを強化し信頼関係を深める

参考になる情報が少しでもあれば嬉しいです。


この記事が参加している募集

#人事の仕事

4,036件

#採用の仕事

2,184件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?