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進捗なく繰り返す 空き家と伸び放題の木々の問題

父所有の築40年以上の空き家(木造4LDK一軒家)。私鉄の駅から徒歩10分程ではあるが、旗竿地で接道義務を満たしていない(境界杭も見つからない)ため、再建築不可の負動産

賃貸管理を委託していたA不動産屋からは、「リフォーム代460万円を払わないと、新たな入居者は探せない」と言われたため、現状のままで売ろうと企てるも、買い取り額20万円に父が難色を示し、棚上げ状態。 

タダでリフォームができちゃう?

そんなある日、夕方の情報TV番組で、空き家のリフォーム活用を手がける企業が特集されていた。フムフム…空き家の所有者がリフォーム費を捻出する必要はなく、その企業がリフォームをしてくれるらしい。代わりに、リフォーム後に賃借人が入居すれば、その賃貸料の何割かを企業側に支払うという仕組み。賃借人も、その企業が探してくれるようだ。

特集は、かなりボロボロの物件が見事に再生され、所有者も、リフォーム後に新たに入った入居者も、どっちもHAPPY!…という内容だった。

コレはイイんじゃない・・?と思っていたところ、母から電話。
「今、TVで空き家を活用…というのがやっていたのだけど、かなり古い空き家が綺麗になっていたワヨ!ああいう会社に連絡すれば、いいんじゃない?」
「ウンウン、私もその番組を見たよ。ちょっと連絡してみるね!」

早速、その企業のホームページにアクセス。問い合わせコーナーからメールを送ったところ、すぐに返事があった。空き家の写真や詳細、現在かかっている維持費(固定資産税額含む)を教えて欲しいとのこと。以前撮影した空き家の写真を添え、固定資産税は数万円であることや、再建築不可で壁にヒビがあること等、ありのままを伝えた。

それから1週間、、、何も返事は無かった。
急かすことになってしまうかな?と思いつつも、「いかがでしょうか?ご検討いただけましたか?」というリマインドメールを企業へ送付。

…あれから3か月……何も連絡は無い……。
どうやら、コチラも見放された模様。ウマい話ってないのね…
企業側も利益が見込めそうにないどうにもならない負動産には目もくれないということなのだろう…

ただ、やっかいなのは、父母が情報TV番組の特集を見てしまったこと。
父の空き家の現状では叶いそうにない夢物語が父母にインプットされてしまった。

リフォーム企業から返事が無いことを父に伝えた。しかし、父は余裕そうに言った。
「(TVでやっていた)あんなに酷い建物が、お金を出さなくてもあんなに素敵になるんだから、こっち(父)の空き家もいつでも綺麗にすることができると思うよ。やっぱりまだまだあの家(空き家)に価値はある!だからまぁ、それはおいおい考えていくとして、、、それよりもまた家の木がでっかくなってきたから切ってくれない?」

哀哀哀……この繰り返しである。

実家の庭の木はもう何度切りに行っただろうか。
厳しい寒さが和らぎ、暑くなる前のこの時期を逃すと半年ほど先になってしまう(その半年の間に信じられないくらい枝葉が大きくなる)ため、翌週末に夫と実家に向かった。

隣地が売りに出される

実家の敷地は、本来であれば5台も車が駐車できるくらいの広さなのに、木々が茂り過ぎて車が1台も停められない状態。いつも隣地の空き地に停めさせてもらっている。この隣地の空き地は親族が所有している。

「アレ?看板があるよ?」
その隣地の空き地に立て看板が建っていた。
よく見ると、不動産屋の名前と「売地」という文字がある。
駐車場として利用させてもらっていたこの隣地を親族が売りに出したようだ。

マズイ…もしこの隣地が売れてしまったら、もうココに車を停めることができなくなるではないか…

そして、その隣地のさらに隣の畑が前回来た時よりもやや拡大して、道路との境界ギリギリのところまで畑になっている…

自分たちの土地をどう使おうがもちろん自由、当然の権利です。否、ただ、言わせてください。

もともと実家と隣地、畑等が接しているこの辺り一帯の前面道路は非常に狭い。車2台はもちろんすれ違えないどころか、1台通るのもやっと。そんな環境下で、どの家も生垣をそれぞれの敷地ギリギリに立てているから、見事に狭い道路が長々と続き、生垣を擦りながら通る車が多数。

どの家の敷地も(無駄に)広々しているのだから、(土地の所有権を道路に譲るまではしなくとも)公共の福祉の観点で道路としても使えるように、もう少しそれぞれの家の生垣を奥に引っ込めればいいのに!畑も十分あるのだから、そんなに道路との境目いっぱいまで広げなくても良いのに!

単身高齢者ばかりのエリア一帯で、この道路の狭さでは救急車も満足に通れないのでは…と思ってしまう。ましてや、大都会ではなく、ココは高齢過疎化が進む田舎である。

土地が広ければ偉いという時代はとうに終わってるんじゃないの?(否、田舎だからむしろまだ土地信仰があるの?)

話が少々逸れてしまいました…

とにかく今回は、隣地に頼らず実家の敷地にせめて車を1台は停められるようにしたい。私が高枝切りバサミ、夫が鋸を手に、敷地入口の桜の木を手始めに、片っ端から木々を切っていく所存。隣地の境目にある椿も伸び放題で、長く生垣状態になっているから切りたい。その大量の花びらは全て隣地に落ちている。もしも隣地が売れて、購入者からクレームがきたら、もうアウトである。

ではまず、入口の巨大な桜の木。見上げると、電柱よりも高くなっている。何本かの枝が家の壁にしなだれかかっていて、このままではご近所の家々にもかかりそうだ。蕾がたくさんついて七分咲きのもうすぐ満開状態。

得意そうに母が言う。
「この桜の木、綺麗でしょう?これはねー実は植えてないのよ。どこからか種が飛んできて、勝手に生えたのよ~

こんな巨木が勝手に生えるの?噓でしょ?5mの高枝切りバサミでも、てっぺんの枝までは届かない。見上げながらひたすら切っていると、首が痛くなってきた。隣でただ見ている(だけの)母が言った。
「アーン、やっぱりもうすぐ満開だから勿体ないワー。もうこれ以上は切らなくてイイワ」

もはや愛でる気が失せている私は、疲れて答える。
「いやいや、このハサミで届くところは全て切るよ。すぐにまた枝が家に寄りかかってしまうからね」

「イヤイヤ、もうやめて。あとは私が切っておくから」
「は??何言ってんの?今日は切るために来たんだから!やめないよ!」
「やめてやめてーー!!ちょっと、●●君(夫)!もうやめてよー!この子(私)をとめて!」
半狂乱で止めに入る母と、断固として伐採を進めようとする私。そんな高齢と中高年の母娘の争いを横目に、父(高齢)は完全に傍観者で家から出てこない。夫は困惑。

結局、当初の計画ほどには切れないまま、もちろん車1台のスペースなんて作れるわけもなく、作業は終了。

帰りの車中、夫がつぶやいた。
「自分の実家だったら、何を言われても容赦なく計画どおり切っていたけど…義母さんに言われたらオレは止めるしかないよなぁ…」

その夫の実家が、また一つ新たに大きな空き家になったのです。
つづく・・・

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