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京都大学/国語(現代文)

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2022年12月の記事一覧

2011京都大学/国語/第二問(理系)/解答解説

2011京都大学/国語/第二問(理系)/解答解説

【2011京都大学/国語/第二問(理系)/解答解説】

〈本文理解〉
出典は林達夫「文章について」。筆者は京都帝大出身の思想家。
①段落。書かれる言葉は、話される言葉と違って、実は時代や社会によってその使命や性格を非常に異にしている。…現代においては、それはたいていの場合目で黙読されるために印刷される運命にある言葉であり、少なくともそれを理想的境地として目差している。このように印刷されるということ

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2012京都大学/国語/第一問/解答解説

2012京都大学/国語/第一問/解答解説

【2012京都大学/国語/第一問/解答解説】

〈本文理解〉
出典は尾崎一雄の私小説「痩せた雄鶏」。
①段落。「圭ちゃん来年の夏休み、お父ちゃんと二人で、国府津の海へ行くんだ」「ああ、いくとも。大磯へも、小田原へもいくよ。圭ちゃんと二人で」「うれしいな」。二女は、眠っているときにしばしば見せる、あの夢のような笑顔をする。父親と二人で国府津の海岸へ行く、という何の変哲もない空想が、どうしてこの幼女を

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2012京都大学/国語/第二問(理系)/解答解説

2012京都大学/国語/第二問(理系)/解答解説

【2012京都大学/国語/第二問(理系)/解答解説】

〈本文理解〉
出典は米原万里のエッセイ「前門の虎、後門の狼」。筆者はロシア語通訳者でエッセイスト。
①段落。通訳の使命は究極のところ、異なる文化圏の人たちを仲介し、意思疎通を成立させることに尽きる以上、両者がいかなる文脈を背景にしているかを事前に、そして通訳の最中も可能な限り把握し、必要ならば字句の上では表現されていない、その目に見えない文脈

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2013京都大学/国語/第一問/解答解説

2013京都大学/国語/第一問/解答解説

【2013京都大学/国語/第一問/解答解説】

〈本文理解〉
出典は中野孝次の随想『ブリューゲルへの旅』。
①段落。当時のそんな精神状態(※ 1944年、19歳の筆者は、戦時下の現実から目をそむけるために、西洋的教養主義を志向し、抽象的観念性を養っていた)を思い浮かべていると、それにたいし「もの」によって、屹然と対峙しているような一枚の絵が現れてくる。ニューヨーク、メトロポリタン美術館にある絵であ

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