ヨガやピラティスの先生になる人たちへ③

多くの人が、自分の可能性を広げたいと思っています。自分の可能性を信じたいとも思っています。もちろん、他人の可能性を失わせたいと思っている人は誰もいません。ヨガやピラティスの先生通じて、レッスンに参加する人の可能性が広がることが理想的です。

私の場合、20代の半ばの2年間ほど、心身の健康を害して働くことができなくなっていました。日常生活もままならない時期も長く、病院通いが何ヶ月と続いても出口は見えないし、底なし沼にはまりこんだような日々を過ごしていました。薬の効果を感じるのは副作用ばかりで、何ヶ月服用しても効果は感じられませんでした。可能性の見えない、絶望の中から希望のシナリオを描けるようになったきっかけは、身体に目を向けたことでした。

当時は心理的な問題と関係は特にないと思っていた顎関節症から解放されたその瞬間。ピラティスを終えた後、床にしっかりと立てている、グラウンディングできていると感じられたその瞬間。背骨が小さな背骨(椎骨)の連なりであることが動きながら感じられたその瞬間。

さまざまなアウェアネス(気づき)によって、自律神経失調症・うつ症状・倦怠感から解放されていきました。病気になったと自覚する前からあった緊張、つねに何かに苛立っているような満たされなさ、焦りといったものも消えてなくなっていきました。身体感覚・身体の変化が、私にとっては人生の希望そのものでした。人の可能性が広がるセッション・レッスンによって、私は救われました。

ヨガやピラティスのレッスンをもうすでにおこなっている人、これからしていこう・してみたいなと思っている人たち。あなたに伝えておきたいのは、その人その人のアウェアネス(気づき)が湧き上がるきっかけとなるような、そんなレッスンができるような人になって欲しいということです。

人間関係で相手に嫌われないように我慢し続けていたことに気づいたり、自分が強情になっていて身勝手だったなと気づいたり、ただ単純に最近食べすぎだったなと気づいたり。頑張り過ぎてたと気づいたり、何かをふと始めたくなったり。さまざまなアウェアネス(気づき)があります。そういったものが湧き上がるレッスンやセッションには、優しさ・温かさが根底に流れています。アウェアネス(気づき)があってもなくても、どちらでもよいような時間的にも空間的にも余裕があります。トレーニング的な局面であっても、とても集中していても、それも禅的な、整うような厳しさと共に優しさがあります。

そんなレッスンやセッションを、自分ができるはずがない。そんなふうに思う人もいるかもしれません。でも、最初から無理だと諦めてしまったら、10年経ってもできないままでしょう。できるはずがないと決めつけてしまう時点で、自分の可能性は閉ざされてしまいます。

「参加者の可能性を狭めてしまっていないか」
「参加者のセルフイメージ(自己認識)を下げてしまっていないか」

最初はそういったことをレッスンの前後に意識することからはじめるといいでしょう。インストラクター(トレーナー・ボディワーカー・セラピスト)の何気ない言葉で、相手の可能性は狭められてしまいます。セルフイメージは傷つき、下がってしまいます。

『先生が「身体が硬いですね」といったから、私の身体は硬いのだ(だから、私はダメだ)』と、セルフイメージは簡単に傷ついてしまうのです。こんな光景を見ることは、残念ながらよくあります。悪意がなくても、些細な一言で、人は傷ついてしまいます。

そういったことを伝える必要があるのであれば、必ず「どうすればより良くなるのか」をセットで伝えるようになりましょう。伝えられないのであれば、口に出してはいけません。「じゃあ、どうしたらいいの?」に答えられない専門家の意見なんて、呪いでしかありません。自分の知識や経験の範囲で構わないので、「身体が少し硬いと感じているかもしれないですが、こんなトレーニングを家でしていると柔らかくなりますよ」と伝えるようになりましょう。

目の前の人の可能性を閉ざさないように、傷つけないようにしよう。そういう心がけがあるかないかで、1年後・3年後・5年後...と将来、ずいぶんと成長に差が出てくると思います。


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ヨガやピラティスの先生になる人たちへ①(https://note.mu/pilates/n/na9b1e27d9196
ヨガやピラティスの先生になる人たちへ②(https://note.mu/pilates/n/n20d6c3705f3e

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