【感情紀行記】綸言汗の如し
「綸言汗の如し」といのは、昭和天皇が使ったことでも有名であるが、一度言ってしまった言葉は汗のように元に戻して取り消すことのできないことを指している。
言葉による後悔は多々あり、よく引きずっている。言葉というのは重いもので、何度だって後悔する。軽はずみな言動に言葉選びのミスは、相手がそう気にしてなくても自分はとても気にしてしまう。
よく思い出すのは、とある少し値段の張る天ぷら屋さんに、自分の上司のような存在の人に連れて行ってもらった時のことだ。その上司が言葉遣いにえらく敏感なのは法学部出身者で、そのような世界で気を張ってきたからだろうと思われる。その人は、一番高級なセットである、お刺身と天ぷらのセットを頼むように言ってきた。しかし、自分はお刺身が苦手であることを伝えると、「せっかくだから、お刺身が本当に苦手か試してみる?」と冗談混じりで言ってきた。自分は咄嗟に「こんなところでそんなことしませんよ!」と返したが、こんな高級店でという意味ではなく、安価な店でという風に聞こえ失礼だと言われてしまった。咄嗟にお店の方にも聞こえるように高級店でという意味だというように訂正したが、そんな失礼なことを言う奴だと思われてしまったのかと思うと、後悔の念は絶えない。
誤解は解けてその後に美味しく食べたものの、その天ぷら屋をみるたびにお店の人に誤解されてないかなと心配になる。きっともう誰も気にしてないし、忘れているだろう。なんならあの場で聞こえていたのは自分と上司だけだったと思う。しかし、このような些細な言葉選びのミスはいつも気を抜いた時にしてしまいそうになる。そして、いつまでも後悔する。
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