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【感情紀行記】有閑階級

 丁寧に暮らしたい、そう願ってやまない季節がやってきた。常々思っているものの、やはり夏よりかは、寒いの冬の方が身がしまって、何か丁寧に暮らしていこうと思える。そんなことで初めた、「丁寧な暮らしライフプロジェクト」。暮らしなのにライフという、頭痛が痛くなるようなネーミングだが、完璧は求めない、なんとなく自分が丁寧に暮らせているな、と思えたら良いということで、この乱雑なプロジェクト名を命名した。

 ここで言う丁寧な暮らしというのは、一つ一つの動作や、物にこだわりを持って、優雅に暮らしていくと言うものだ。いわば、有閑階級の擬似体験である。朝や夜の閑暇を、娯楽や趣味に丁寧に使っていくのだ。コーヒー豆をハンドピックという選別からはじめ、焙煎したものを、エスプレッソとかハンドドリップでコーヒーにし、お盆にお気に入りの器を置き、こだわりの少し高級な茶菓子を載せ、選び抜いた角砂糖を丁寧に溶かす。そういう生活だ。忙しい時間をあえてゆっくりと時間をかけて過ごすのは心の余裕につながる。

 飲み物や食生活もそうだが、服装もそうだ。左手首につけていたApple Watchを右腕の奥の方に隠すようにつけ、左腕の見えるところに、いわゆるドレスウォッチをつける。丁寧にアイロンがけをし、綺麗に糊付けされたシャツを着て、カフスをその日の気分のカフリンクスで止める。その日のコーデの色のネクタイをこだわりの結び方で結び、ジャケットを羽織る。マフラーを綺麗にたらし、コートを羽織る。一つ一つの物にこだわりを持って、丁寧に、ゆっくりと時間をかけられる幸せというものはない。

 心が荒んだとき、色々なことを試したが、これが一番効果がありそうだ。自分のことがたとえ好きじゃなくなっても、自分の生活が好きであればやっていける。自分の生活を丁寧に、少し気を使ってみるだけで、日常は一変し、心の余裕が生まれる。

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