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【感情紀行記】正義の名前

 冬の夕さがり、数日間で急激に寒さが増し、冬へと本格的に突入した。冬といえば、暖かなココアが美味しい。そういうことで、ココアを買いに出かけた。そうは言っても、なんだか少し健康的そうで、朝も飲みたいと思えるmiloを買っている。コンビニでは、新たに増えた、湯河原に公用車で通っていそうな某元東京都知事のような男性の店員さんが会計を済ませてくれた。そんな店員さんは、会計を済ませるとなぜか、プラスチックの白いスプーンをつけてくれた。そのまま粉を食べるとでも思ったのだろうか。そんなことを考えながら、帰路へとついた。

 先程から、「milo」と記述しているが、皆さんはどう読んでいただろうか。私はいつも、「マイロ」と呼んでいる。その度に友人から、「ミロ」であるという指摘を受けるが、全くもって間違っているとしか言いようがない。海外でこの商品を見つけたのが、初めての出会いであった自分は、「マイロ」と呼んでいる。自分が調べた限りにおいても、英語圏を中心にマイロという呼び方が定着しているようだ。人を蔑んだようにミロという読み方であると指摘するのは、厚顔無恥も甚だしい。そういう人に限ってこう言う。「でも、みんなはミロって呼んでいるし、マイノリティはそっちだよ。」と。世界の大半は「マイロ」と呼んでいるもので、少数派扱いするとは、世界を俯瞰して見ることのできない恐ろしい人々である。そう言う人々は、海外に行って恥でも書かなければわからないのだろう。その時は、「ほら、見てミロ。」と大きな声で言ってやる。

 最近は不思議なもので、東京の中心を走る電車においても論争が絶えない。黄色い電車を「総武線」、オレンジの電車を「中央線」と認識していたものの、黄色い電車を中央線という人がいる。あれは、総武線であると何度言っても頑なに譲らないのだ。正式名称としては、「中央・総武線」らしいが、明らかに中央線ではないと思っている。総武線に乗っていると、アナウンスだって中央線への乗り換え案内が流れる時があるくらいだ。つまり、乗っていた電車は中央線ではない。そんなくだらない主張を繰り返していたら、ヨドバシカメラのコマーシャルが送られてきた。「真ん中通るは中央線」という文言を引き合いに戦いを挑まれたのだ。確かに今までにない戦法で、少し驚いたが、コマーシャルの映像に使われている路線図がオレンジ色だったことは見逃さなかった。調べてみると、ヨドバシカメラは、オレンジ色の電車のキャラクター「中央くん」と、黄色い電車のキャラクター「総武くん」を作っていた。完全に勝利である。ヨドバシカメラの清らかな見識に感謝したい。このような、友人との心からどうでも良い、訳のわからないイデオロギー的ポジション取りの議論はかなり高度に白熱する傾向があり、定期的に開催されるのを楽しみにしている側面は否めない。自分が一回取ってしまったポジションをいかに補強し、正当性を得るのかというのを楽しむのは、並大抵の暇人ではできない。

 それはそうと、昔のヨドバシカメラのコマーシャルでは、「まあるい緑の"やまてせん"」、「新宿西口駅"の"前」という歌詞になっていて、現在の感覚では、「の」をつける場所が逆なのではないかと思ってしまう。色々な変化を遂げていることはとても感慨深い。

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